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’09都議選:都政の課題/5止 高校改革と貧困 /東京

 ◇競争原理の都立、門狭く

 「私立には絶対やれません。行けそうな都立はありませんか」

 今春、多摩地域の中学校に勤務する教諭は、こう打ち明ける保護者を前に進路資料を懸命にくった。ここ数年、同じ悩みを訴える保護者は増える一方だという。「貧困が子どもたちの教育機会を奪っている」と教諭は懸念する。

 あしなが育英会(千代田区)から奨学金を受ける都内の高校生は159人(03年度末)から191人(09年度)と増加傾向にある。病気や災害などで父親を失った「遺児」の母子家庭の平均勤労所得は98年度の200万円から07年度には134万円まで減った。減少率は33%で一般世帯の6%を大きく上回る。都の奨学金事業にも今年度は前年より約300人多い1880人の申し込みがあった。

 そんな中、学費の安い都立高は狭き門となりつつある。09年度入試は単独選抜方式が導入された94年度以降最高の1・38倍(全日制)。背景には公教育への競争原理の導入を進める都立高校改革がある。「多様化する生徒のニーズに応えた」(都教委)という中高一貫校などが人気を集める一方、学校の統廃合が進む。改革の始まった98年度入試で5万5694人だった募集定員(全日・定時)は09年度入試では4万5404人に減少した。

 「家庭の状況から都立高しか受けられない層が取りこぼされている」とある区立中学校長は話すが、都教委は、生徒を収容する校舎確保の問題などから定員増には消極的だ。「都立の復権」の陰で、貧困問題が広がっている。【林哲平】=おわり

〔都内版〕

毎日新聞 2009年6月20日 地方版

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