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人が医者になる動機は何か  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月30日(月)19時47分5秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 話題は非常にいつもとは異なり、現代日本人にとって医者とは何か、です。

 いや、昨晩、ご近所から赤飯をいただきました。
 何だと思ったら、末っ子が医師試験に合格したのだとか。
 その家にとって最初の医者の誕生でした。
 それで、めでたいことを祝して、赤飯となりました。

 面白いことに、ご近所に、これで二人、医者が誕生しました。
 そして、もう一人、医者の予備軍がいます。

 小学6年の時に、突然、祖父から「お前は医者になれ」と宣告されたとか。
 以来、本人にはそれが負担となり、登校拒否。
 中学になっても登校拒否が続き、ついに、「医者にならなくてもいい」と前言が撤回されたとか。
 しかし、時、すでに遅く、同じ学校に行けずに、転校となりました。

 メディアでは、医者不足が報じられていますが、どういうわけか、わが地域は、開業医が花盛りです。
 どこにいっても医者ばかり、という状況が出現しています。
 これは何か、と私は、首をひねり始めそうです。
 え、哲学よりも医者のほうが、そんなに魅力があるのか、と。
 ありえないだろう。

 いや、まあ、日本社会には哲学者など、ほんの1世紀前までは存在しない身分でしたから、医者のほうがわかりやすいか。

 しかし、平和な戦後の日本では、学校教育の偏差値と、実際の職業的収入の点から考えて、誰もが認知するステータス職業とは、医者である、ということになり、そこにご近所どうしでの競争が始まるのでしょう。

 競争原理は健在なり、です。
 いや、もっと別の動機で医者が生まれていくのか。
 

アマテラス神話は、いかなる背景から誕生したか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月30日(月)16時36分39秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 ウキウキマンさん、その通り。
 日本人は、自分たちが生きる社会の権力構造について、その成立のプロセスを知らされずに、結果だけを受け入れるように強要されてきました。
 そのことに納得してきたのは、自分の頭で考える必要のない律令理性だったためでした。

 しかし、いったん、日本人が自分の頭で考える始めると、律令システムはたちまち崩壊します。
 アマテラス権力の根拠が、今、暴露されます。

 梅原猛氏が言います、

 「われわれは、戦前から日本の特殊性を天皇制に求める考え方を教えられた。日本では、ヨーロッパのようにキングでもなく、中国のように皇帝でもない、特殊な天皇が支配する。この天皇制が、万世一系、アマテラス以来、連綿として続いている。この天皇制こそ、日本の誇りであるとわれわれは教えられた。しかし、その天皇制とはいったい何か。それは王制あるいは皇帝制とどう違うのか、少しも明らかではなかった。
 とにかく、天皇は神聖なるものである。そういう答えのみが、われわれに与えられる答えであった。それ以上、そういう問いを問うことは、われわれにとって禁断であった。そういう禁断の問いを問うとき、われわれの自由が奪われるばかりか、われわれの生命の安全すらおびやかされる危険性があったのである。」『水底の歌・下』新潮文庫P.60

 梅原氏が述べているのは、古代の日本のことではなく、1945年の夏までの日本のことです。
 わずか64年前の日本社会です。

 幸い、私は、そのあとの日本に生まれました。
 1945年の夏から、私が生まれるまでの間に、アメリカ占領軍による日本占領があり、日本改造が行われました。
 その結果、天皇とは何か、という問いを問うことはタブーではなくなりました。

 では、それは何か。
 梅原氏が言います、

 「アマテラス神話は、高市皇子を含めて、持統帝の血を受けてない皇子にけっして皇位を渡さないためにつくられた神話であった。」前掲P.109

 つまり、それは、まったく権力闘争の所産だった、というわけです。
 自然理性からみれば、そこに未来永劫に続く権力の根拠の正当性はありません。

 しかし、これは皇室の貴重さを否定しているわけではありません。念のため。
 権力の根拠の問題です。


いかにして官僚主導は成り立つのか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月27日(金)14時27分19秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 メディアの目が届かないところに中川秀直氏の政治家体験が光を当てます。
 官僚主導とは何か。
 官僚とは、日本国の究極の勝利者組である、と。

 「〈ステルス複合体〉に政策を任せると、日本は必ずや〈日沈む国〉となる。私を突き動かすのは、その危機感だ。一時、勝ち組、負け組論が盛んだったが、彼らこそ〈究極の勝ち組〉である。
 なぜなら、大学卒業時点で〈究極の勝ち組複合体〉の一員としての身分を一度、確保すると、負け組になることはないからだ。〈競争があるだろう〉と思う人がいるかもしれないが、同期の競争といっても、本省か出先か、あるいは本社か関連会社か程度の差しかない競争であり、身分は保障されているのである。
 数年前、勝ち組といわれた人たちはいま、どれだけ生き残っているか。市場原理に生きる人に永遠の勝ち組はいない。というのも、彼らは〈ステルス複合体〉の外にいるからだ。〈ステルス複合体〉の中にいる人のみが永遠の勝ち組で、彼らが〈身分〉を剥奪されるケースがあるとすれば、複合体を裏ぎったときだけなので、身分を守るために、〈身内の論理〉に絶対の忠誠を誓う。そこに隠蔽や偽装が発生する。〈ステルス複合体〉の中では、政策論争が起きないのだ。」『官僚国家の崩壊』P.24

これが不比等戦略の現在形です。
 日本のメディアも、教育も、すなわち次期駐日大使とうわさされるジョセフ・ナイ氏が言う「ソフト・パワー」は、日本の場合は、すべてこのステルス複合体に奉仕する存在です。
 政治家も学者も同様です。

 「日本の危機の本質は経済政策論争以前の深層部分にあり、〈ステルス複合体〉=〈究極の勝ち組複合体〉が経済政策論争を阻んでいる。したがって、経済政策論争は彼らとの闘いであり、理論の問題ではなく、政治の問題だ。」前掲P.25

  したがって私たちが解明すべきは、なぜそのようなステルス複合体が成り立つのか、です。
 いかなる歴史的背景があるので、日本社会には、官僚を核とするステルス複合体が成立するのか。

 ズバリ核心に入れば、ここが不比等の戦略の一つの柱である「アマテラス神話」戦略です。
 官僚に権力行使の根拠を提供するのが、日本書記にあるアマテラス神話です。
 で、これを作ったのが藤原不比等でした。

 私たちは、日本国の誕生の時点までさかのぼって、ステルス複合体の根拠と対決する必要があります。
 対決するのは、時代の課題であり、今という時代を生きる私たちの義務です。

 これからの日本国をさらに発展させるために。
 

舛添・厚労相の挫折  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月27日(金)11時20分38秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 日経新聞が「ザ・厚生省」という連載をしています。
 目につくのは、あいも変わらずの官僚主導ぶり。
 昨日の記事にこうあります。

 「審議会は官僚が人選や議題の設定を独占し形骸化している。医療では医系技官が中央社会保険医療協議会などを隠れみのに強大な権限を握る。官僚主導でない政策決定システムを確立できないものか。(東大医科学研究所准教授の上昌広)」日経新聞2009.3.26

本日の記事には、舛添厚労相の苦労ぶりが出ています。
 後期高齢者医療制度の改革に取り組み、舛添大臣が自分でプランを考えました。「私案」です。
 それを与党である自民党の議員に説明したら、どうなったか。

 「昨年12月のある朝、ホテルニューオータニの会議室で尾辻秀久(68)や鈴木秀一(55)ら与党の厚労族にその私案を説明した。返ってきたのは怒りの声だった。『勝手に動くな』『自民党の政策を否定するのか』部屋から出てきた舛添の顔は青ざめていた。・・
 ニューオータニの事件後、舛添は自身の考えをあまり表に出さなくなった。」日経新聞2009.3.27

東大教授を務めた舛添氏にして、こんな状態です。
 さて、どうしたものか。

 厚労省にも問題は山積みです。
 感染症、食品安全、麻薬取り締まり、戦没者遺骨収集・・。

 個々の問題は、官僚主導であれ、政治家主導であれ、いかなる政体であろうと日々、出てくる問題です。
 それらの日々の個別の問題を、どう処理するか、ここで官僚主導と政治家主導の違いが出てきます。
 現状は、舛添大臣の意欲的な行動が挫折しているように、官僚主導であり、それと結託する自民党の族議員たちの天下です。

 一方、ほとんどの国民は、自分が暮らす社会の政体がいかなるものかに関心をもっていません。
 関心を持つのは、たとえば、医者が少ないという現実です。

 なぜそうなったのか、と、国民の具体的な関心と、政体的背景を連動して説明する日本語がありません。
 私たちにはここが必要です。

 メディアには期待できません。
 猪瀬氏が『霞が関解体戦争』で書いていますが、メディアも官僚主導の一部に巻き込まれています。

 それだけこの国は不比等戦略に洗脳されています。
 なにしろ1200年間にわたって日本人を洗脳し続けた統治思想です。
 戦後のデモクラシー世代の努力では、まったく動じません。

 とはいえ、戦後世代の政治主導への動きは、今、始まったばかりです。
 悲観するには、まだ早すぎます。というか、まだ何も成果が出ていないところで悲観も何もないでしょう。


小沢・西松事件が意味するもの  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月26日(木)08時29分5秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 一昨晩、小沢一郎氏が民主党の代表に留まることを宣言しました。
 それを受けて昨日、民主党の幹部が、小沢代表を支えることを決めました。

 簗瀬・参院国対委員長が言うには、「民主党を一つにまとめられるのは小沢さん以外にいない」。
 鳩山由紀夫氏が言うには、「私たちは官僚主権から政治主権へと言っているわけだから、ここでひきさがることはできないでしょう」。
 以上、昨晩の民放のテレビ・ニュースから。

 で、小沢氏自身の言葉では、代表に留まるのは、この国で政権交代を実現させるため、ということです。

 もちろん、その意図はグッドです。
 今では、日本が官僚主権国家であることが周知されてきました。民主党はおろか、自民党の中でさえ、中川秀直氏のように、官僚主権から政治主権へと転換を訴える議員がいます。
 だから、誰がこの国の政治を引っ張るか、という点では、民主党の立場は大いにグッドです。

 しかし、それでも、今回の騒動の中から見えてくるのが民主党の弱点です。
 日本国の政治は、内政だけで動いているのか、と。
 民主党の国家安全保障政策はいかに?
 もしこれが明確になっていたら、小沢代表によるあの「第七艦隊」発言が飛び出してきたか。
 その発言がいかに重いものであるか、民主党の誰に理解されているのか。

 私は、対米従属問題と、官僚従属問題は、同時に進めないと、どこかで足をすくわれると思います。
 それを証明したのが今回の事件だったのだと思います。
 なんで今、西松問題なのか、です。
 そして、なんで自民党側の問題は、たちまち消えてしまったのか。
 二階経済産業相、漆間(うるま)巌官房副長官。

 小沢・西松事件の背後にあるものはなにか。
 日本の官僚による小沢つぶしか。自民党による世論工作か。
 それとも、アメリカによる小沢つぶしか。田中角栄元首相のロッキード事件の発端がアメリカからの情報操作だったごとく。

 小沢・西松事件のタイムラインです。
 読売新聞のこのサイトがわかりやすいです。
 http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090304-527751/index.htm


吉田茂の政治家失望体験が戦後の官僚主導をつくった  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月25日(水)15時40分0秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 警察官僚として32年間、日本の官僚システムを体験した金子仁洋氏の『政官攻防史』が面白いです。
 政官の攻防は1899年にスタート。
 以後、現在に至るまで続いています。

 戦後のハイライトは、なんといっても吉田茂時代です。
 なぜ1955年体制ができたのか。
 いわゆる自民党の一党独裁体制です。

 金子氏の説では、吉田茂の失望からでした。
 外務官僚だった吉田茂は、戦前、イギリス大使を経験したことから、日本にイギリス式議会制度を普及することを夢見ていました。
 で、明治政府が帝国議会を設置した時から、形式的にはそれが実現可能となりました。

 終戦直後、吉田茂は外務大臣になり、アメリカ軍による占領下において首相になりました。
 彼は、このとき、ついに自分の夢を実現できる好機が到来したと考えました。
 ところが、彼が自分の目で見た「国会議員」なるものは、いかなる日本人だったか。

 「吉田は、イギリス政治を、新憲法下の日本の統治の指針にしたのである。英国のパーラメンタリズムは『多年の政治的経験よりきた慣行で、この慣行は一種の不文律となって行われている』。今、日本は、憲法の後盾を得て、正にこの英国式を目標にできるようになった。吉田はその完成を目指したのである。
 しかし、日本の現実は吉田の理想とは遠かった。吉田は書いている(『回想10年』)。

 『政治家の多くの動きは余りにも政権本位なのである。我が国の政治家は、政治を功利的に、自己本位に取り扱い過ぎる嫌いが多い。どうかすると金儲けの道具とする極端なものもある。いわんや何等主義主張なく、ただ金力をもって人を集め、集めてもって勢力とし、また金を集めるそのボス的な存在は、市井浮浪の輩の類であって、政界に共に処すべからざるものである』

 要するに吉田は、日本の現実の政治家に失望したのである。
 こうして吉田の眼は、自然ふるさとの〈官〉に向かうことになる。」『政官攻防史』文春新書P.203

 この吉田の失望は、考えさせられます。
 これは彼が天皇主義者だったから、政治家という身分に、最初から冷めた目でいたためにそうなったのだ、と説明することで済ますことができるものか。

 こう疑問を持つと、次に気になるのは、では、日本にいかにして政官の対立構造が発生したのか、です。
 それがあって、そのあとで、なぜ官僚は信用でき、政治家は信用できないのか、という問題が出てきます。

 といえば、もちろん、1889年です。
 帝国議会が開設されたことで、日本に選挙による政治家なるものが初めて出現しました。
 それまでは、政治家と官僚は同じでした。両者の区別はありませんでした。

 では、なぜ国会が開設されることになったのか。

 「国会開設そのものが、そうしなければ欧米先進国に対等に扱ってもらえないから、という消極的理由によるものだった。欧米で民主制が出来上がるまでの過程を省略し、出来上がった〈かたち〉だけを輸入して日本人の身の丈に合わせようとしたのである。」前掲P.10

戦後のデモクラシーは、もちろん、アメリカ占領軍による強要でした。国民主権の憲法です。
 となると、明治の国会開設が欧米諸国向けの外交政策であり、戦後のデモクラシーはアメリカ軍による強要となると、では、いつ、どこから日本人の自発によって「選挙政治家」が誕生したのか。

 そもそも日本人には、選挙政治家がこの国の政治を管理することの根拠を周知されているのか。
 そうではないので、吉田茂は失望せざるを得なかったのではないか。

 いや、あくまでも、1950年代の話です。
 吉田茂は、戦後世代ではありませんでした。
 いかにイギリスのパーラメンタリズムに共感したとしても、彼が共感したのはその貴族の側でした。

 2000年代に入り、戦後世代が登場してきました。
 今度は、失望するのは、政治家が官僚に対して、ということになりました。
 官僚って、もっと、優秀だったはずではなかったか、と。無私無欲で。
 

小沢一郎氏、代表を続けると宣言  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月25日(水)12時27分49秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 昨晩、小沢一郎氏が記者会見し、民主党の代表を続けると宣言しました。
 しかし、その一方で、公設第一秘書の起訴が決定しました。

 日本・律令システムでは、これでアウトです。
 疑惑が起きたこと自体が、すでに致命傷です。

 とはいえ、小沢氏はここで辞めるわけにはいかないでしょう。
 彼の政治生命の最後のチャンスです。
 ここで辞めたら、政治の前面での活躍の機会の終わりです。

 今回の西松建設問題の引き金を引いたのが小沢氏の第七艦隊発言だとしたら、小沢氏も後年になって大いに悔やむことになるでしょう。
 たとえそれが正論だとしても、日本の国家安全保障をアメリカに「丸投げ」の現状では、日本側からアメリカの軍事戦略に口出し(公言)するのは、まずかったでしょう。いや、結果的にそうなったわけです。

 これでますます民主党による政権取りが遠のきました。二大政党による政権交代は、まだまだ、絵に描いた餅です。
 なぜ、日本人にとって政権の交代がこれほど難しいのか。

 といえば、二つの大きなハードルがあります。
 自分で選択した対米従属。
 そして、自分で選択していることを自覚しない官僚従属。

 そうした中で、庶民は、野球の世界一で憂さ晴らしです。


「市場原理主義者? それはいったい何か?」 by サマーズ、竹中平蔵  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月23日(月)15時45分10秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 中川秀直の『官僚国家の崩壊』の中に、日米の経済学者の基本的な姿勢について、面白いエピソードが紹介されています。

 「構造改革は〈ステルス複合体〉からは市場原理主義だとの激しい批判が起こった。
 私は竹中平蔵さんに聞いたことがある。
 『竹中さんは市場原理主義者なんですか』
 竹中さんは笑って答えた。
 『経済学者に市場原理主義者はいません。市場の失敗を認めるからです』
 そして、竹中さんは、こんなエピソードを紹介してくれた。
 いまから20年ほど前、米国の経済学者、ローレンス・サマーズ(当時ハーバード大学教授)が初来日した。そのとき、六本木の地下鉄通路を一緒に歩いていた竹中さんが彼に尋ねた。
 『あなたは何学派と言われているのか』
 サマーズは怪訝な顔をして、『そんな質問はアメリカでは受けたことがない』といい、しばらく考えたあと、『まあ、あえていえばモダレート・ケインジアン(穏健なケインズ学派)かな』と答えた。」p.210

 このエピソードを紹介したあと、中川氏が言います、

 「日本では、なんでもいい加減に分類したがる。安易なラベル貼りが横行している。市場原理主義批判はその典型だ。しかも、明らかに政治的思惑が絡んでいる。
 市場原理主義批判が一定の支持を受けるのはなぜだろうかー。」前掲p.211

 これは実に面白い問題です。
 そもそも誰が、そのようなラベルを貼るのか。

 といえば、霞が関から見れば、市民の自由な経済活動が経済を発展させる、というのは、一つの、主義・思想となることでしょう。
 彼らから見れば、日本人の庶民は、官僚の指示で動くだけの民にすぎないのだから、その民が自由意志を持って、自己利益のために経済活動することが国家の富を増大させる、なんて発想は、愚劣でしかありません。愚か者の考え、です。
 そうですよ、アダム・スミスさん。日本に来たら、スミスさんの思想は、くそみそにけなされます。
 日本は官僚統治国家であり、人々の自発的な活動は社会を混乱に導くだけのもの、というのがコンセンサスです。

 中川氏の自民党議員としての体験を、私たちは、律令理性論として一般化する必要があります。
 というか、もう、そういう時期に入りました。


吉田邸、炎上  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月22日(日)18時52分12秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 菊地さん、吉田邸炎上の話題、ありがとうございます。

 麻生氏が首相になったことで、吉田茂の話題が一度は、世間に浮上するに違いないと私は予想していたのですが、こういう形になるとは、まったく想定外でした。

 菊地さん、この際、先生になってしまったらどうでしょうか。
 そして、間接的にも、直接的にも、不比等戦略を日本の若い世代に普及してください。
 藤原不比等の話のコマ数を日本史の授業の中に増やすだけでも、絶大な効果があるでしょう。

 さて、梅原猛氏にきいても、わかるのは彼の意見だけでしょう。
 やはり、最後は、自分の判断です。

 しかし、人の意見は人の意見として、常に明記しておかないと、自分の意見と混同されてしまうケースが多々あります。
 律令理性人は、これを是としてきました。
 他者と自分を区別しないことが、善とされた心理的・精神的慣習のせいかもしれません。

 「我思う、ゆえに我あり」の世代は、次第にこの慣習を窮屈に感じるようになるでしょう。
 子供が成長するにつれて、以前の服や靴を窮屈に感じるように。

 しかし、梅原氏に関しては、聖徳太子の仏教書については、耳を傾ける価値があります。
 梅原氏は、どうやら自分で太子の仏教書に目を通しているようです。
 ここまで労を惜しまず、太子を検討した研究者がどれほどいるか。
 自分でそれができない時は、それをやった人の意見を、とりあえず尊重するしかありません。


「お茶の間が主計官に」 by 中川秀直  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月22日(日)11時19分7秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 中川秀直の『官僚国家の崩壊』は、体験記でした。
 いかに日本国が官僚主導の国なのか、中川氏は自民党の国会議員としてこれを身をもって体験しました。

 それを説明するに、中川氏は、アイゼンハワー大統領の「お別れスピーチ」を持ち出しています。例の、アイゼンハワーが大統領として体験した、アメリカの権力層にはびこる「軍産複合体」演説です。これがアメリカの権力をハイジャックしている、というのがアイゼンハワーの体験でした。

 で、中川氏が言います、

 「いま、日本が警戒すべき〈複合体〉は、もちろん、米国のような軍産複合体などではない。
 既成の組織、既成の方針、過去の成功体験などを金科玉条とし、学歴に基づく自らの身分に誇りを共有する、官僚機構、日本銀行、経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところにネットワークをはる複合体の人脈だ。
 それは学歴による優越意識に基づく大学同窓などの見えざるネットワークであり、たとえば、東京大学法学部出身者を核とするエリート人脈で、彼らはあるときは意識的に、またあるときは無意識的に、巨大なネットワークをつくり上げている。この大学同窓を原点とする同質の人脈が〈空気〉をつくり、政策の〈相場感〉をつくっていく。
 彼らの醸し出す空気と相場観に反するものは〈異端〉扱いされるか無視され、あらゆるエリート層に、予定調和的な言動を強いて、同質化圧力を加えていく。」前掲P.23

これが中川氏の体験です。
 日本社会には、東大法学部卒を核とするエリート集団、階層がある、と。

 で、たとえば、今では国内外ですっかり有名になり、同時に不思議がられている事態になったのが、大蔵省の官僚が東大法学部閥であることです。
 経済官庁であるはずの大蔵省、今では金融庁と財務省に分離しましたが、本来は経済学部卒であるほうが自然であるはずなのに、なぜか法学部卒、と。

 なぜか。
 これが、つまり、不比等戦略です。
 日本社会は律令制度であり、律令とは、行政と刑罰のことです。つまり、法統治です。
 であるなら、東大法学部が日本・律令制度の頂点に立つことにまったく不思議はありません。
 むしろ、そうであることが、日本は今も不比等戦略の通りの社会になっていることを証明しています。
 歴史的順番で言えば、先に不比等戦略があり、そこに、明治政府がつくった東大法学部が乗っかった、という具合になります。
 中川氏が言う「見えない権力構造」の正体とは、要するに、不比等戦略のことであり、それを具体化したのが大蔵官僚を頂点とする霞が関官僚機構です。

 では、不比等戦略の核心は何か。
 中川氏が見事にここを突きました。

 「〈官尊民卑〉〈官賢民愚〉という言葉があるが、なぜ、官が民より上などという論理が生まれるのか。
 第一に考えられるのが、〈公共性〉である。・・〈天下り官僚のいないところに公共性はない〉」

 その通り。
 不比等戦略の核心は、日本国の定義をこうしたことです。国=官僚。
 だから、日本国の「公共」を官僚が独占しました。
 これが官僚主導を構成する思想的土台であり、根源です。

 で、もちろん、戦後の日本はデモクラシー社会ですから、不比等戦略とクラッシュしています。
 それでいてなぜ今も官僚主導が続くのか、といえば、残念ながら戦後の日本をデモクラシー社会にしたのは、アメリカ占領軍だったためです。
 戦前には形式的に議会制度がありましたが、国民主権の憲法はありませんでした。
 国民主権の思想を憲法に成文化したのがアメリカ軍でした。

 日本人は、どちらを自分の本来の思想と見なすか。
 官僚=国家=公共性
 市民=国民主権=市民社会が公共性そのもの。

 現実は、まだまだ不比等戦略のほうが圧倒的に優勢です。
 しかし、猪瀬氏のゲリラ戦や、中川氏の「ステルス権力機構」の体験により、日本人も次第にこの国がいかなる権力構造で動いているのか、理解を始めました。

 「公共性は官僚の専売特許ではない。・・
 国民が税で納めるか、民間の公益団体に寄付するかを選択できるようにすべき・・。
 いままでは、官僚の天下りを受け入れる団体のみが、一人前の公益団体として扱われる時代が続いた。これが官僚の既得権益となった。しかし、時代は変わった。今後は税金として納めるか、寄付として納めるか、あるいは何が公益かは、国民が判断するようにすべきだ。」前掲49

ベリー・グッド。
 日本人がこういうことを発言する時代が、ついに、来ました。
 私は、もう、40年も待っていましたよ、ホントに。
 

纏向遺跡は卑弥呼の邪馬台国だったのか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月22日(日)10時08分25秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 古代の遺跡が発掘されています。
 日本列島の産業化により、地面が掘り起こされ、大地の中に眠っていた古代が今に甦っています。
 一方、アメリカ占領軍の神道指令により、戦後の日本人から「国体」を解明するタブーが消えました。

 それゆえに、今では、たとえば、邪馬台国はどこにあり、何だったのか、と古代史研究者たちの議論が活発です。
 西尾幹二氏によれば、中国の書物に出ているだけの根拠によって「邪馬台国」のことをなんだかんだと言うのはナンセンスということですが、考古学者たちは、どうやら西尾氏の指摘に耳を貸すつもはないようです。
 3月21日の日経新聞の記事です。

 「邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纏向(まきむく)遺跡の中心部を調査中の同市委員会は20日、三世紀前半の建物跡や柵跡を発見したと発表した。約30年前に見つかった、〈神殿状建物〉とされる建物跡の周囲に整然と並んでおり、同市教委は〈特別な施設の一部だった可能性がある〉としている。・・
 市教委は〈当時、このように複雑かつ整然と構築された建物群は珍しい〉としている。同遺跡をヤマト政権の発祥地とみる奈良県立橿原考古学研究所の寺沢薫・総務企画部長は〈調査地点が纏向遺跡の中枢だった可能性がより高まった〉と話している。
 纏向遺跡は東西約2キロ、南北約1.5キロに及ぶ二世紀末ー4世紀初めの大規模集落跡。卑弥呼の墓との説がある箸墓古墳などがある。これまでに大規模水路跡のほか、祭祀用とみられる木製仮面や鳥形木製品などを発見。関東から九州まで広い地域から搬入された土器が大量に出土している。」日経新聞2009.3.21

三世紀の遺跡ですから、これを日本語の文献にその資料を求めても無理でしょう。
 その時代の列島人たちは、口語としての日本語を話していたとしても、文字言語としての日本語はまだ存在しませんでした。

 口語言語から文字言語への言語の転換は、プラトンが『パイドロス』で扱っていますが、人類の知の発展史にとって大問題です。
 わが列島では、これが、卑弥呼の時代から不比等の時代にかけて起こりました。
 日本史の中でも非常に興味深い時代です。

 文字の記録がない時は、物質の痕跡に頼るしかありませんが、物質の痕跡も、人間の歴史の一部です。

 現に日本史のある時代に「大和政権」が誕生した以上、そうなることのプロセスの痕跡が列島のどこかにあるはずです。
 というわけで、今のところ、纏向遺跡は要チェックポイントです。


纏向遺跡は卑弥呼の邪馬台国だったのか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月22日(日)10時08分25秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 古代の遺跡が発掘されています。
 日本列島の産業化により、地面が掘り起こされ、大地の中に眠っていた古代が今に甦っています。
 一方、アメリカ占領軍の神道指令により、戦後の日本人から「国体」を解明するタブーが消えました。

 それゆえに、今では、たとえば、邪馬台国はどこにあり、何だったのか、と古代史研究者たちの議論が活発です。
 西尾幹二氏によれば、中国の書物に出ているだけの根拠によって「邪馬台国」のことをなんだかんだと言うのはナンセンスということですが、考古学者たちは、どうやら西尾氏の指摘に耳を貸すつもはないようです。
 3月21日の日経新聞の記事です。

 「邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纏向(まきむく)遺跡の中心部を調査中の同市委員会は20日、三世紀前半の建物跡や柵跡を発見したと発表した。約30年前に見つかった、〈神殿状建物〉とされる建物跡の周囲に整然と並んでおり、同市教委は〈特別な施設の一部だった可能性がある〉としている。・・
 市教委は〈当時、このように複雑かつ整然と構築された建物群は珍しい〉としている。同遺跡をヤマト政権の発祥地とみる奈良県立橿原考古学研究所の寺沢薫・総務企画部長は〈調査地点が纏向遺跡の中枢だった可能性がより高まった〉と話している。
 纏向遺跡は東西約2キロ、南北約1.5キロに及ぶ二世紀末ー4世紀初めの大規模集落跡。卑弥呼の墓との説がある箸墓古墳などがある。これまでに大規模水路跡のほか、祭祀用とみられる木製仮面や鳥形木製品などを発見。関東から九州まで広い地域から搬入された土器が大量に出土している。」日経新聞2009.3.21

三世紀の遺跡ですから、これを日本語の文献にその資料を求めても無理でしょう。
 その時代の列島人たちは、口語としての日本語を話していたとしても、文字言語としての日本語はまだ存在しませんでした。

 口語言語から文字言語への言語の転換は、プラトンが『パイドロス』で扱っていますが、人類の知の発展史にとって大問題です。
 わが列島では、これが、卑弥呼の時代から不比等の時代にかけて起こりました。
 日本史の中でも非常に興味深い時代です。

 文字の記録がない時は、物質の痕跡に頼るしかありませんが、物質の痕跡も、人間の歴史の一部です。

 現に日本史のある時代に「大和政権」が誕生した以上、そうなることのプロセスが列島のどこかにあるはずです。
 というわけで、今のところ、纏向遺跡は要チェックポイントです。


「日本が抱えている構造問題は、もっと複雑で、見えにくい」 by 中川秀直  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月21日(土)10時17分38秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 日経CNBCにウォーレン・パフェットが出ていました。
 アメリカ人がついに貯蓄を始めた、と述べていました。
 「大統領とか、誰かがそうせよ、と発言したわけではない。多くのアメリカ人が自発的に始めた。」

 テキサスの主婦から寄せられた「アメリカは大丈夫でしょうか」という問いに対しては、
 「まったく心配ない。アメリカの経済マシーンはよくできている。1700年代のアメリカの人口は400万人だった。それが今のように成長した国なったのは、土地が広いとか、資源があったからということではない。経済マシーンがあったからだ。誰もが自由に経済活動を行えるというマシーンがアメリカを今のようにしたのだ。機械だから、ときどき故障するときもある。しかし、アメリカのマシーンはよくできている。心配ない。」
 こんなふうに世界的に有名な投資家パフェット氏が述べました。

 私もそう思います。
 それにひきかえ、わが日本国はどうか。
 といえば、猪瀬氏に続いて、今度は、中川秀直氏の『官僚国家の崩壊』を読んでいます。
 自民党の国会議員として政権の中枢を体験した人だけに、この「国のかたち」の本質を見事についています。

 「私は、小泉構造改革以来の経験から、現在の日本の病根を〈官僚対反官僚〉という対立軸で見ると本質を見誤ると思っている。日本の抵抗勢力は、一部の業界でも一部の族議員でもない。まして単なる官僚機構でもない。日本が抱えている構造問題は、もっと複雑で見えにくい。」『官僚国家の崩壊』講談社P.22

そう、もっと複雑で、みえにくいです。
 それが律令システムです。


小沢事件は第七艦隊発言が引き金だった、という情報  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月19日(木)11時00分39秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 福岡国際問題研究所さんの昨日の書き込みに、小沢事件があります。
 必見です。
 といっても、あくまでも「一つの情報」という意味です。

 以下です。

 「ベンジャミンフルフォードは、いわゆるアチラ側の世界の住人となったが、只のアチラ側ではない。写真のようにデビッドロックフェラーにアポとれるということは、彼らのエージェントとも考えうる。そんなパンピーの詮索は別にして、氏はその旨割り引いても時として意味深な情報を送ってくる。

3/17の氏のサイトの小沢一郎に関する記事もその一つだ。第七艦隊だけでいいというのは、言葉足らずだが、象徴的なメッセージとしては超爆弾級で、これをアメリカ政府が看過するはずもない(なんていうのも古典的な属国論の文脈かもしれない。太田テーゼ?からすれば少なくともベクトルとしては是認すべきか?)

本題?に戻って、ベンジャミンフルフォードは(もちろん)ネイティブであるので、当たり前だが英語の表現が柔らかだ。(最近の氏のサイトは英日で書かれている)英訳のよい見本として、氏のサイトから一部転載させていただく。
trump up:でっち上げる、捏造する

http://benjaminfulford.typepad.com/

(転載はじめ)
小沢一郎の秘書逮捕事件は、やはりアメリカに依頼された「国策捜査」だった。大物右翼からの情報によると、小沢一郎民主党代表秘書の逮捕はアメリカに依頼された国策捜査だった。小沢代表の「第七艦隊だけでいい」という発言が直接のきっかけであったそうだ。
Japan’s prosecutors ordered by US to trump up charges against opposition leader Ozawa’s secretary. The US criminal regime ordered the current Japanese puppet/slave colonial government to trump up charges against the secretary of opposition Democratic Party of Japan’s leader Ichiro Ozawa, according to senior sources in the Japanese secret government. The reason was that Ozawa said “the only US forces we need here are the 7th fleet.”
(転載おわり) 」
 http://blog.zaq.ne.jp/fifa/1


官僚統治は当然であるという発想 対 戦後世代の主権在民=猪瀬直樹  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月19日(木)10時07分36秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 今度は猪瀬直樹の『霞が関解体戦争』(草思社)の話題です。

 地方分権委員会と官僚のやりとりの記録が収録されている本です。
 これを拝見して思うことは、今もまったく不比等戦略のままであるなあ、ということです。
 官僚たちは、自分たちがこの国を統治する権限を持っていることにこれっぽちの疑念も持っていません。日本国=官僚である、という意識は彼らには絶対のものとしてあります。

 これに対し、戦後世代の国民主権を土台にして、日本国=国民である、という立場から戦争を挑んでいるのが猪瀬氏です。
 まさに、律令理性と自然理性の闘いです。

 で、私たちの理性論から見れば、こういう図式になりますが、経済合理性(効率性)の立場から見れば、思想の立場とは異なって、官僚統治であっても、日本国の経済が全体として成長すればそれでいいではないか、という見方も成り立ちます。
 つまり、官僚たちの天下りとか、身内びいきというものは、日本経済が成長すれば、成長のおこぼれとして見逃すことができるではないか、と。
 で、これが高度成長時代でした。
 日本経済が全体として成長している時代は、それでOKでした。

 官僚主導問題が浮上したのは、90年代のバブル経済の崩壊からです。
 それ以前は、日本の経済システムがおかしいと指摘していたのは、アメリカでした。日本経済のアメリカ市場への輸出攻勢があったためでした。
 それだけアメリカに輸出してくるからには、日本経済に何か構造的におかしなところがあるからだ、というのが彼らの発想でした。日本国内で充分な需要があれば、かくもアメリカ市場に輸出してくるはずがない、と。
 これがセンセーショナルとなって日本語言論を騒がせ始めたのが、パパ・ブッシュ時代の日米構造障壁協議でした。もちろん、80年代のレーガン政権時代もずっとこの問題がありました。それがついに表面に浮上したのがパパ・ブッシュ時代でした。

 今では、かってのアメリカの役割をすっかり猪瀬氏が引き継いだ形になりました。
 それだけアメリカ占領軍による日本人改造計画である「デモクラシー」思想を当たり前とする戦後日本人が健全に育った、ということでしょう。

 猪瀬氏は具体的にこう言います、

 「中央省庁の補助金行政はしょせん、夕張市に見られたようなバラマキに陥りやすい。なぜなら自分の住む場所を、自分が住みたいように変えたい、とする住民の創意工夫を引き出すシステムではないからだ。全国どこでも似たり寄ったりの画一的な基準をあてはめては街づくりは難しい。」P.219

 『空気と戦争』にはこうあります。

 「天皇主権でも主権在民でもない官僚主権がつづいているという意味では戦前も戦後も連続している、・・」P.166

 さて、肝心なことは、私たちはこの官僚主導システムを変えることができる、ということです。

 たとえば、日本の農業はいかにあるべきか。
 誰が日本農業のありかたを計画し、実行するのか。
 官僚による計画農業か、それとも、各農家による市場経済農業か。
 現実は、官僚計画農業でやってきた戦後日本の農業史でした。
 

東条英機が「あの戦争は防衛だった」と弁明した根拠がわかる  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月19日(木)07時46分9秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 猪瀬直樹の『空気と戦争』に東条英機の話題が出ていました。
 いかにして開戦当時の日本国の首相になったか。
 そして、いかにして日米開戦を決意したか。
 非常に面白いです。

 そのいきさつを直接体験した人がいました。
 石油事情を計算する仕事に携わった高橋中尉。
 東大卒のこの中尉が日本国の石油保有量を計算しました。
 これに基づいて、日本は対米開戦に踏み込みました。

 で、数字の問題は猪瀬本に出ているので、ここは別の機会にして、今は、2つの疑問です。

 1 私にとって、東京裁判の時の東条英機の自己弁護が非常に不可解でした。
 すなわち、日本は自己防衛のために対米戦争に踏み切ったのである、という東条英機の説明です。

 日本軍が中国大陸に展開しているのは事実であり、日本海軍が先に真珠湾攻撃を仕掛けたのに、なぜ、東条英機はそれでも、対米戦争は日本の自己防衛の戦争だったと言い張ったのか。いや、そのように言い張ることができたのか。しかも、本気で。
 答えが高橋中尉が計算した石油事情でした。

 1941年6月22日、ヒトラー・ドイツがスターリン・ソビエトに戦争を仕掛けます。

 「そんな状況のなか、独ソ開戦の前日、6月21日は土曜日だが、陸軍省整備局燃料課はてんてこまいの忙しさとなった。
 現在、どの歴史年表をひもといてみてもアメリカの対日石油禁輸措置は8月1日と書かれている。しかし、実質的な禁輸は〈石油製品輸出許可制〉が完全実施された6月21日で、その後、一滴の石油も入手できなくなっていた。」『空気と戦争』文春新書P.65

 そこで、高橋中尉が日本の石油在庫を計算し、東条英機・陸軍大臣に説明しに行きます。
 陸軍大臣に説明するのは、高橋中尉の上司の中村課長。
 で、石油事情の説明を聞いた陸軍大臣が言います、

 「『泥棒せい、というわけだな』
 ・・
 後にA級戦犯とされた東条首相は、〈侵略〉を想定していないからこそ怒った』P.69

 つまりは、これが東条英機の弁明を組み立てたのでした。
 日本はアメリカに石油を止められたので、自己防衛のために真珠湾攻撃を行うしかなくなった、と。
 となると、今の2009年の時点にいる私たちから見て、東条英機の自己弁明のどこが間違っていると見えるか。
 というと、あまりに視野が狭すぎます。

 2 その実例が、まさに、いつ、アメリカが日本への石油の供給を止めたか、です。
 ヒトラーがスターリンを攻撃した日です。
 その前日でした。
 このとき、フランクリン・ルーズベルトは何を考えていたのか。

 といえば、アメリカをしてヨーロッパ戦線に参入するには、どうしたらいいか。
 ドイツと同盟を結んでいる日本と戦争に入れば、アメリカはドイツと戦争することができると、と。
 日独伊の三国同盟は、1940年9月に結ばれていました。

 つまり、アメリカにとって、日本は、ドイツと戦争を行うために、戦争参戦の口実をつくるために利用されたわけです。
 このへんの国際戦略の図が東条には見えていなかった、と言えます。
 陸軍大臣といえば、このような世界全体の国際戦略を見通す立場にある人です。しかし、東条には、国内の石油事情しか目に入らなかったわけでした。

 さらにそのあと、悲劇が続きます。
 陸軍の暴発を止めようと、昭和天皇が東条英機を今度は首相に抜擢します。
 東条には青天の霹靂でした。

 このような人物をあの時点で首相にしてしまったことの悲劇。
 システムの悲劇といいますか。


WBC日韓戦、日本の負け/天智天皇と法隆寺  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月18日(水)16時14分37秒
   こんにちは、皆さん、植田です。

 午後のひととき、WBCの野球を見ました。
 またもや日韓戦。

 3時間半もゲームに付き合いましたが、うーむ、韓国戦は戦後の日本人が失ったものが何であるかを感じさせてくれる気がします。
 国の代表として試合をすることの意味、といいますか。

 サッカーの場合は、国際試合は「戦争」と言われます。
 で、野球の場合は、これをいままで経験する機会がありませんでした。
 WBCの国際大会が始まり、日本のプロ野球がこれを経験し始めています。

 そして感じた韓国チームの日本に対する闘志。
 あれは何なのか。
 彼らは戦後の日本人が失ったものを持っている、と感じさせてくれます。

 もっとも昨年は、日本は世界一になったわけですから、別に、野球選手としての能力に日本人が劣っているとか、非力だとか、そういう悲観的になる必要はまったくないわけですから、あとは、マネジメントでしょう。
 しかも、野球のスキルのマネジメントではなく、心理マネジメントだろう、と思います。

 しかし、野球はゲーム時間が長いです。
 きっと現代人は時間的に余裕がありあまっているのでしょう。

 さて、ウキウキマンさん、天智天皇問題は、私もそうだろうと思います。
 小林惠子説では、天智天皇は百済人であり、百済を応戦して唐に対抗するために倭軍を編成して白村江の戦争に参入。
 しかしそこで大敗北。

 非力を悟った天智天皇は、態度を変えて唐に臣従。
 再建された法隆寺が態度を変えた後の天智天皇の統治政策だとしたら、聖徳太子の権威にすがりたい、というのも理解できます。
 敗戦の責任を周囲から盛んに問われたでしょうから。

 そして、最終的に天武天皇が天智政策にノーを突きつけます。
 ここらへんの列島内の動きが、法隆寺・聖徳太子問題とどう関係するか。

 非常に面白い展開になってきました。

 古代日本史は今も生きている、と痛感させてくれるNHKの番組です。
 また再放送されることでしょう。
 皆さん、ぜひ御覧なってみてください。


イノセ本を二つ  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月17日(火)11時32分14秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 猪瀬直樹の『空気と戦争』と『霞が関〈解体〉戦争』を読んでいます。
 で、思ったのですが、平成時代の日本の最高の経済学者は猪瀬直樹である、というような
評価が、これから数十年後に出てくるのではないか、と。

 といっても猪瀬氏は経済学理論を述べているわけではなく、まして理論を構築しているわけでもなく、本の題名にあるように、やっていることは一貫して「霞が関の解体」運動です。これを一人、ゲリラ戦で仕掛けています。
 とはいえ、今や、猪瀬氏の知名度とマスコミ露出度、そして東京都副知事という肩書を見れば、ゲリラ戦とは言えなくなってきましたが。

 始めたのは96年。『日本国の研究』という論文を「文芸春秋」に発表して、ゲリラ戦開始の宣言をしました。
 これがドン・キホーテにならなかったのは、まだ首相になる前でしたが、小泉純一郎氏が共振したためでした。
 以後、道路委員会が立ち上がり、ここを拠点に道路公団が民営化されました。

 「たったひとつの数字、あるいはひとつの決断が世界を変える、と僕は知ったのだった。
 十年前に小泉純一郎という代議士に出会った。その人物が総理大臣になると予想した者は皆無だった。運命とは、ほんとうにわからないものだ。06年9月22日、官邸の執務室で、5年半の任期を終え退任直前の小泉首相は、鼻孔をちょっと膨らませて感慨深げに言った。
 『道路公団民営化がほんとうにできるとは思わなかった。できちゃったんだよねえ。』
 ほっとひと息ついたところで、作家の大先輩の石原慎太郎都知事から、『つぎの戦場があるぞ』と呼ばれた。
 官僚システムとの戦いをつづけてくれ、との要請であった。」『空気と戦争』P.191

 そう、猪瀬氏を平成時代の最大の経済学者と呼ぶとしたら、それは、彼の前に律令システムがあったためです。官僚主導の日本経済です。

 猪瀬氏は、このシステムがいかにして出来たのか、あるいは、いかなる理由から機能しているのか、という側面を無視して、「与件」としてゲリラ戦を挑んでいます。すでに律令経済システムがある以上、そしてこのシステムが国民の目線で構築されていない以上、ゲリラ戦を続けるしかない、と。

 まさに、戦後世代のヒーローです。
 

法隆寺金堂は、668年に切られた木によって再建された  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月16日(月)11時56分24秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 昨晩、NHK総合テレビで法隆寺なる番組を見ました。
 前もっての番組案内によると、昨年、金堂を修理したことで、驚くべき過去が判明したとのことでした。

 それは何か、と、非常に期待してみたのですが、期待通りの内容でした。

 法隆寺は、一度、670年に焼失しました。
 最初の法隆寺を建てたのは、もちろん、聖徳太子です。

 で、太子は622年に死に、太子の息子である山背皇子一族も、643年に蘇我入鹿に攻められて、滅亡しました。
 というわけで、太子一族は、643年以降、誰もいないことになりました。

 太子一族は滅亡しても法隆寺は残りました。
 しかし、670年に焼失。

 ところが、今も私たちは現役の法隆寺を目で見ることができます。私もこのお寺を自分の目で一度だけですが、見ました。

 そこで疑問。
 法隆寺が全焼し、その時点で太子一族は全滅していたのだとすれば、誰が法隆寺を再建したのか?
 その目的は?

 で、昨年、金堂の修理の際に、年輪学の専門家が金堂に使われている木の年輪から、金堂が立てられた木がいつのものかを割り出しました。金堂は、法隆寺の中でも最も古いといわれるお堂です。
 年輪を数え上げ、近畿地方の木の年輪の増殖パターンと照合させるという手法でした。

 そしたら、驚くことに、668年に切られた木が使われていることが判明しました。
 天智天皇が統治した時代です。
 従来は、持統天皇の時期に再建されたという説が有力だったので、これを覆す発見となりました。

 さて、「法隆寺=怨霊寺」という梅原説は、この発見を受けて、どうなるか。
 実に興味深いところです。


「東京・大阪の連合軍が霞が関に『乱』を仕掛ける」by 猪瀬メールマガジン  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月14日(土)14時22分3秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 「昔は陸軍、今は国交省」。

 猪瀬直樹氏が日本国の官僚主導国家ぶりをこのように一言でいい切りました。
 小泉政権下では、道路公団問題と格闘した猪瀬氏は、麻生政権下で地方行政問題と格闘しています。
 ここ二週続いて配信されたメールマガジンがこの話題です。
まず先週の分から、抜粋です。

 「国、都道府県、市町村による「三層構造」についてはかねてから弊害が指摘
されてきたが、国の出先機関についてはつい最近まで見過ごされがちだった。

 出先機関とはいえ、その規模は巨大だ。行政機関に勤める国家公務員は計33
万人いるのだが、なんと、このうち21万人が出先機関の職員なのである。霞が
関にある行政機関だけが中央官庁ではない。出先機関の予算額は、今回の対象
となっている8府省だけで10兆円にのぼる。

 ところが、これら出先機関の予算、事業の執行具合などについて国会で取り
上げられたことは皆無だったに等しく、地方に事務所をおきながら、国の機関
ということで、地方議会でチェックされる対象にもならない。監視の目が行き
届かないため、やりたい放題だったのだ。」
 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html

 次に今週の分。
 大阪府知事の橋下氏との対談です。

 「「東京・大阪の連合軍が霞が関に『乱』を仕掛ける」

【対談】
 橋下徹/大阪府知事
   ×
 猪瀬直樹/作家・東京都副知事

■国の出先機関は地方に監視されるべきだ

○橋下● 猪瀬さんが委員の一人を務める政府の地方分権改革推進委員会(以
     下、分権委)が、国の出先機関の統廃合を目玉に据えた第二次勧告
を決定し、昨年12月8日に麻生太郎首相に提出された。

 僕は非常に注目していました。なんといっても国の出先機関の統廃合に向け
た方向付けをしたことがよかったと思います。国土交通省地方整備局、北海道
開発局、農林水産省地方農政局など地方にある6機関を統廃合して「地方振興
局」と「地方工務局」に再編する。そして、これが重要なんですが、地元自治
体と調整するための仕組みとして都道府県の首長らで構成する「協議会」を設
けて出先機関の仕事内容をチェックすることを明記した。

 これまで国の出先機関は地方に事務所を置きながら、国の機関であったため
に地方議会が監視できる対象でなかったのはもちろんのこと、国会で取り上げ
られることもなかった。非常に巨大なブラックボックスです。地方が介入でき
るようになれば画期的です。

○猪瀬● 出先機関といっても規模は巨大です。国家公務員33万人のうち実に
     21万人が出先機関の職員です。先日、分権委で明らかにしたのです
が、東北地方の中心の仙台市に20階建ての合同庁舎を建てようとしていた。18
階建ての宮城県庁の真正面にね。21万人のためのハコづくりに毎年1000億円の
無駄遣いです。

 今回、議論の対象としたのは海上保安庁や気象庁や税務署など10万人余を除
く15系統の10万人です。それだけで予算額は10兆円にものぼりますからね。

 僕たちが提案した「協議会」は、単なる監視組織というだけにとどまりませ
ん。出先機関が行う次年度の事業計画、予算案などについても「協議会に付議
する」。それについて、「協議会及びその構成員」が意見を提出することがで
きる。要するに、協議会の中で、たとえば橋下知事が孤立無援の状態に陥った
としても(笑)、主張したいことがある場合は意見を提出でき、「出先機関は
これを尊重するものとする」という文言も入れた。地方の首長などが「国の言
うことだから従わなくては」などと思わないように。」
http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html

 なぜ官僚行政がこのように日本社会を覆いつくすか。
 不比等戦略の現代版、というのが答えです。

 そのような理論的な側面からではなく、地道に現場でこの律令システムとコツコツと戦う猪瀬氏は、私たちの理論の大ヒーローです。


速水さんの念頭にあったのは、たぶん、律令経済学のことでしょう  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月12日(木)08時04分24秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 オイルさん、ペリー・グッド。

 今回の書き込みは、80年代にターガート・マーフィーが日本に来て発見したことです。
 日本人は日本語に翻訳された経済学用語を使っているが、意味が私たち(アメリカ人)のものとは違うと。

 >他先進諸国と比して日本は、
20008/Q4のGDP成長率が極端に低かった事から、またぞろ、『構造改革』を囃し立てて
いる連中がいますが、全くナンセンスで、円高要因が大きいです。

 いや、私は、ここをオイルさんの知力に期待しているところです。
 竹中・知的商売人の立場を理解しつつも、その立場が出てこざるを得ない日本経済の構造事情です。ここを解明してほしい、と。
 それまでは、せっかくのアメリカ経済学の学識での日本経済分析も、オイルさんをリッチにするだけのことではないか、と。それではもったいないではないかと思えるわけですよ。
 オイルさんが私の掲示板に投稿していることは、単にリッチになったことを自慢したいわけでないだろう、と私は推測していますが。
 世には、リッチはたくさんいますから。
 今年は、どうやらファーストリテイリングの社長さんのようです、日本一は。


「現人神」が答えだろうと思います  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月11日(水)22時27分16秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 「Xファイル」を一つ見ました。
 ファースト・シーズンのDVD5の「闇」。
 山奥。夜になると、太古の虫が人間を襲い、体液を吸いつくす、という話題でした。

 これも面白いですが、次の疑問も面白いです。

 >天皇を「お飾り」にする意思は、どこから来ているのか?ですね。

 これは、あれだと思います。
 「現人神」。

 これは何か、です。
 日本語の神がキリストのことを意味するのではないことはむろんとして、エホバでもないでしょう。
 では何か。

 この線をたどると、答が点滅しそうです。


舶来主義者 対 不比等発掘者  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月11日(水)21時20分11秒
   こんばんは、皆さん、植田です。

 次の話題で書きました。Nサイトです。

 大宝令から養老令へ=梅原説と大山説がクラッシュする


 ウキウキマンさん、今番はこれくらいにしておきましょう。
 この話題から解放されて、「Xファイル」が見たいです。


太政官の権力掌握装置は、論奏式だった  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月11日(水)19時04分15秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 次の話題で書きました。Nサイトです。

「(養老律令では)軍事大権も含めて、論奏式の中にある」 by 梅原猛

 いや、ウキウキマンさん、今、養老律令の軍事大権の話題を会員コーナーに書いたところですが、大宝律令も養老律令も不比等が主導しています。
 梅原氏が、その内容を唐の律令と対比しながら、不比等・律令の特徴を浮かび上がらせています。

 日本の律令法の最大の特徴は、天皇に属する大権をことごとく太政官に集中させていることです。
 さてそうすると、このような和製・律令制度の特徴を新羅人が創作できるか、という疑問になります。

 新羅と倭国の関係は、やはり当時のパワー・ポリティクスのレベルであり、つまり、倭王の争奪戦のレベルではなかったかと私は思います。
 そして列島内の政治体制を和製・律令制度に形成していくのは、藤原一族だったのではないか、と思います。
 唐・律令と不比等・律令の決定的違いが、神祇職が和製・律令法にあることです。
 これは、中臣氏の存在なしには考えられないだろうと思います。
 そして中臣氏をそこまで権力の中枢に押し込んだのは、倭国伝統の氏族制度の祖先崇拝の信仰である、と。

 なんか梅原説と、小林説の間にはさまって、思考のアクロバットを余儀なくされている感じです。


文武天皇は新羅人、という小林説  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月11日(水)18時21分26秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 きょうは都合で午後、ちょっと外出でした。

 さて、ウキウキマンさん、その新羅ですが、小林惠子説では、文武天皇は新羅人です。
 年齢も書記に出てくるよりもずっと上。

 となると、ここで困るのが、書紀の通りに計算して、不比等を発掘した梅原説との整合性です。
 文武天皇の年齢が書記通りでないと、アマテラス神話が不比等によるもの、という梅原氏説の土台のところに影響が出てきます。

 ここをどうするか。
 難問です。


その通り、文武天皇とは何者だったのか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月11日(水)11時05分4秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 その通り。
 文武天皇とは誰だったのか?

 桓武天皇が平安京に遷都するまでの倭国・日本史はナゾだらけです。

 特に、中華帝国と半島と列島の政治関係と、列島内での律令体制がいかに形成されていくかの絡み合い。
 ここをどうやって解きほぐしていくか。
 日本・律令体制の形成と、日本の外交関係の関係はいかに?

 ここが解ければ、戦後の太田述正氏がいう「アメリカ丸投げ」構造の秘密もわかるでしょう。
 古代の日本史と、現代の日本問題がここで完全に一つになりました。


太田氏の小沢・第七艦隊についてのコメントはどこに出ているのでしょうか、誰か御存知ですか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月10日(火)08時09分30秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 メガネさん、先輩にすごい人がいてよかったですね。

 さて、昨晩、久しぶりに太田述正氏のサイトを訪問してみました。
 小沢問題で太田氏が何と言っているのか、と気になりました。

 最近の世論調査の支持率から、もう小沢は辞職しかない、と述べていました。
 私と同じでした。

 で、今になって小沢一郎とは何だったのか、と考えると、田中角栄、金丸信系列の政治手法のラスト・ランナーだったのか、なんて思えます。
 で、金丸信が逮捕されたところで、自民党内に自分の居場所がなくなり、それで宮沢内閣の時点で党を飛び出した、と。
 以後は、小沢氏の個人的な自民党との闘争の軌跡ではなかったのか。つまり、それだけのことだった、と。
 それを周囲は、二大政党制の自民党に代わる一つの柱と見立ててきた、と。

 こう見ると、小沢氏の第七艦隊発言も、国連決議を日本国の主権者に仕立てる発言も、どうでもいいか、ということになりそうです。
 とにかくニックキ自民党を倒せ。何が何でもオレの立場を奪った自民党を倒せ、と。

 不思議なもので、政治家がその政治生命が終わってみると、こんなふうにも見えます。
 いや、「オレは本当に日本に二大政党制を根付かせたかったのだ」という小沢氏が本当の姿であれば、それにこしたことはないです、もちろん。

 そして、ここでこけたのが民主党というのがいかにも民衆党(民主党)らしさ。
 情けない。
 しかし、この政党は、安全保障問題でしっかりした立場を打ち出さないと、国民が信頼できないでしょう。
 自民党のように、アメリカの属国と言われようと、吉田体制をどこまでも堅持するそ、とか。
 アメリカ依存はいやだ、かといって憲法九条の改正はいやだ、なんていってたら、誰も信頼しません。
 あとは鳩山家の財力だけの政党になります。

 ところで、太田氏の小沢氏の第七艦隊発言のコメントが見たいと思ったのですが、まだどこに出ているのかわかりません。
 どなたか、ご覧になりましたか。

 しかし、それにしても、スタンフォード大で体験したことからの応用という、誰とでもチャットするという太田氏のプログ、すごいです。
 これにはホトホト感心させられます。
 そのエネルギー量は測り知れません。

韓国 1−0 原・日本  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 9日(月)21時55分28秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 WBC、日本と韓国の決勝戦、後半の三回のイニングを見ました。
 先日の試合とは違って、韓国チームの迫力がすごかったですね。
 負けたら国に帰れない、という迫力。
 あれには勝てないでしょう。
 1ー0で負けました。

 あの迫力は、最近の高度成長後の日本人選手には出てこないでしょう。
 そんな感じがしました。

 ところで、オイルさんが日本の文系についていろいろとコメントを書いてくれるので、ちょっと定義を考えてみました。

 日本の文系とは何か。
 漢字を1006文字以上知っている人たちの、日本語作文の共同体、というのはどうでしょうか。
 小学校の六年間で覚える漢字量です。

 だから、これだけの漢字を覚えている人たちは、互いに何を書いていもいい、と。
 それを学問と見なす、と。
 もちろん、論理など、あってもなくてもどうでもいい、と。
 もちろん、近代西洋の学問とは異なるでしょうが、どうでもいいか、と。
 ま、ジョーダンです。

 しかし、西洋で論理学が登場したのがアリストテレス。それ以前にはありません。
 ここで人類の知が大きく変わりました。
 それから2400年。
 ついにオイルさんのように、日本人にも論理にこだわる人が出てきたか、という感じですねえ。
 いいことです。
 日本人も変わりつつあるか、ですね。
 

小沢一郎が政局の中心を去る日  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 9日(月)19時52分46秒
   こんばんは、皆さん、植田です。

 残念ながら、小沢一郎氏は、もうこれで終わりでしょう。
 テレビニュースを見ていると、マチの、ふつうのおばちゃんたちが小沢氏を見放し始めています。
 「今までは小沢一郎にしようとかなと思っていたけど、あれだね、やっぱり自民党かな。」

 第七艦隊発言がよくなかったのか、
 自民党が巻き返しを図ったのか、
 西松建設問題が時効になることを東京地検が心配したのか。
 私には本当の理由は分かりませんが、小沢一郎氏が政局の中心の座から去ることで、気勢が上がる人たちが多いことでしょう。

 私が思うに、勝利者は、官僚システムです。
 「官僚主導よ、永遠に」がこれで当分、安泰になりました。
 当分、このシステムを脅かすものは出てこないでしょう。

 小泉構造改革の反動の季節が当分続きます。
 やれやれ。
 不比等戦略よ、永遠なれ、です。


オイルさん、平成日本人の姿が実像を結んできました  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 9日(月)15時13分33秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 オイルさん、長文の書き込みをありがとうございます。

 >www2以降に先進諸国において、創造的な破壊理論を真朋
に取り上げる国は、日本以外にありません。

 これはグッド・ポイントです。
 (なお、「真朋」は「まとも」の意味ですね?)

 なぜそうなのか。
 といえば、日本が律令経済システムから自然理性経済システムへの移行期にあることを意味しているでしょう。
 戦後どころか、明治以後の日本現代史が問題の範囲です。

 日本経済は、近代経済理論の対象であると同時に、歴史哲学の対象にもなります。
 小室氏的には、社会学の対象でしょう。

 で、オイルさんの存在が、私には非常に興味深いです。
 平成時代の日本人の企業家はいかにあるか。
 学生時代に相場で億に近い資金を形成。
 そして、MITの経済理論は軽く消化。
 それを日本経済の状況にすぐに応用して、たちまち資算を膨らませる。
 小泉・竹中経済政策の意味を察知し、起業し、たちまち富を形成、と。
 平成時代のジャパニーズ・ドリームか、です。
 オイルさんにしてみれば、ドリームではなく、ざっとこんなもんさ、でしょう。

 次の話題です。
 日本語はコミュケーションの数ある中の一つの道具にすぎず、欧米ではワーズ(言葉)は決定的な(主要な、重要な)道具である、という点、その通りでしょう。
 日本語の言霊イズムの問題ともなります。

 で、私の日本語文が自然理性ではない、という点については、そうだろうなあ、というところです。
 私のアイデアを人に「説得」する作業は、次の世代にまかせます。
 私の役割は、探究・発掘です。

 こんなところで。

 しかし、オイルさんの存在は、興味深いです。
 平成時代の日本人が、私に一つの実在感を持ってきました。
 そのサクセス・ストーリーが、実に面白いです。
 ま、上は上がいるよ、というところでしょうが。
 しかし、実際、日本人も、立派にこうやれる、という見本です。

不比等はいかにして権力の側に立てたか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 9日(月)08時51分52秒
   おはようございます、皆さん、植田です。

 次の話題で書きました。Nサイトです。

「不比等戦略」は、いつ、いかにして誕生したのか


 菊地さん、ここを追加させてください。

 >西方の先進的な文物の受容が日本を作ってきました。これからもそうなのでしょう。

 日本人が律令理性人である限り、と。


 で、ここは、ルー変換と同じくらい、面白いです。

 >DSGEモデルは奈良時代における華厳経みたいなものでしょう。で、ミクロマクロは法華経あたり。

 日本人の知と、洋学、漢学、仏学(フランス学ではなく、仏教学のほうです)の関係がよくわかります。


ルー大柴の変換規則に見る、古代倭国における日本語の誕生事情  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 8日(日)08時49分50秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 メガネさん、
 大阪弁フィルターのことは知りませんでした。
 しかし、やはり、ルー大柴の変換規則にはまりましたか。
 これを見ていると、ところどころ、古代日本で列島人が中国語から日本語を立ち上げる時、そんなふうに変換規則を作ったのだろうな、と、ふと、頭に浮かびます。

 藪からスティック。
 はははは、というところです。

 シュムペーターの創造的破壊ですが、これは、個別的企業に注目するのがいいと思います。
 三井、住友、これは江戸時代の起源であり、今も健在。これのどこが創造的破壊なのか、とも疑問になりますが、小室直樹氏によれば、番頭制度が明治になり、別の経営形態になったことで、新しい時代に生き延びることになった、と説明しています。

 三菱はどうか。明治以前には遡ることができない会社です。明治維新なしには存在し得なかった会社、とも言いますか。

 それから、今週、私のマチで二店目か、三店目のイオン系列のスーパー点がオープンしましたが、その一方、駅前商店街はシャッター街になって久しいです。
 90年代の大店法の成果でしょうが、こういうところにも創造的破壊の概念を適応できるのではないかと思います。そうしようと思えば、ですが。

 小室氏の説を見ると、中世から近代への変わり目のイギリスで、経済活動を担うマチと人が、ごっそりと入れ替わった、と述べています。中世的行動様式から、モダン行動様式への転換は、マチと人の交代で起きた、という具合です。

 日本の場合では、これが、徳川の武士から、明治への官僚への転換であり、明治になってから「実業家」の誕生と説明されています。

 小室氏の説明は、かなりワイドな説明になっているので、なんでもあり、という面があります。

 続いて、戦後に誕生したホンダ、ソニー、京セラ、浜松ホトニクス等々はどうか。
 最近の、楽天、マネックス、カブ・ドットコムなど、ネット企業はどうか。

 企業はいかにして起こり、衰退するか(市場から退場するか)という一般的な視点から検討できるでしょう。
 経済学的にどういう意味があるのか、私にはわかりませんが、面白い問題です。
 明治以後に株式会社が誕生したのであれば、それ以前になぜなかったのか。ここにはなにがあるのか、などと。日本人の行動原理・思想史にとって、と。
 ここまで視野を広げると、律令理性論の領域にも入ってきます。

後のフェスティバル、なんていったら、吉田拓郎の「祭りの後で」が台無しになるだろうなあ  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 7日(土)12時56分11秒
   こんにちは、皆さん、植田です。

 メガネさん、たまには気晴らししてください。
 こんなのはどうですか。

 泣きっ面にビー。

 小6の息子がゲラゲラ大笑いしているので、なんだと思ったら、ルー大柴の「変換規則」だとか。
 サイトもありました。
 http://lou5.jp/

 太宰治の小説のルー変換もありました。
 息子によると、これに入ると、「中2病」になるとか。
 中学2年レベルが夢中になるという意味だそうです。

 ま、気晴らしです。


原監督、初戦を勝利で飾りそうだ  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 5日(木)21時41分49秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 なんだかよく知りませんが、夕方から日中の野球をテレビ放送していたので、見ていました。
 二時間を過ぎたところで、ギブアップしました。長すぎます。
 サッカーと同じように、きっちり、90分で終わってほしいです。
 それ以上は時間の無駄。

 イチロー、四打席ノーヒットでした。
 天才といえども、こういう時もあるのでしょう。

 8回を終わったところで、見るのを止めました。
 中国戦は勝ちそうです。

 で、話題は変わって、本日の新井信介氏のホームページから。
 新井氏のサイトを見ると、何かと、思いつくことがあります。
 きょうはこれです。

 「先月、国務長官として初来日したヒラリー女史が、我国の美智子皇后と、
  しっかりと手を握り締めていましたが、そこには、私達がうかがい知れない、
  信頼感があったように感じられます。
   その直前に確か、小和田さんの国際司法裁判所所長が正式に決まりました。
  国際紛争での、日本とアメリカの発言力が高まったのでしょうか?
   日本の「和の精神」が、 生かされるなら、 大歓迎です。・・

  テーマ :  『古代出雲の復活が、日本と世界を再生する』
    皆神塾では、ここ3年間、日本国の成り立ちを研究してきました。
    〔縄文・稲作〜古代出雲〜倭国〜冊封脱却〜日本国(アマテラス)〕
    その成果は、私達、日本人自身が、地球のあらゆる部族が融合し一つと
    なった民族で、 しかも、各時代の文化的特徴を保存し、創造性に生かして
    いること と判明しました。」
 全文はこちらです。
 http://mediacapsule.ne.jp/purplejade/


 新井氏の長い古代史探究に成果が出てきました。
 もし、古代の日本がそういう国だったとしたら、アメリカと似ています。
 地球上の各地から人々が押し寄せてきて出来た国、と。

 で、では、なぜ倭国は「和」となり、アメリカ合衆国は、「契約国」となったか、です。


 話題をもう一つ。
 オイルさんの書き込みから。

 >「i think」等という曖昧な表現など皆無で、換言すると逃げ道はありません。

 いや、ここには西洋哲学史の2600年があります。
 あいまいにしているのは、ここが表の掲示板であるためです。

 一方、日本語の歴史では、もちろん、意味はありません。
 ここに律令理性と自然理性の違いがあります。

 逃げ道というのも、今の時点ではそれで十分です。
 焦らず、急がず、です。そして、休まず。
 ゲーテのモットーでした。

 そのうちに日本史の全体が「律令理性と自然理性」のパラダイムの一千年期に入ります。
 日本人のすべてが、私が見ているように日本史を見るだろう、ということです。
 ま、誇大妄想です。

 というわけで、以前から言っているように、「日本一の無責任男」と。
 植木等も故人になりました。
 こういう人は、もう2度と出ないのでしょうかね。


律令理性の定義の一つ  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 5日(木)12時50分5秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 律令理性とは何か。
 オイルさん用にいい定義が見つかりました。

 >先月友人宅を訪問した際、中1の娘さんが国語のテストが返ってきたと言っていました
ので、私は問題をみて唖然としました。

内容は、下記の文章を読んで、次の問いに答えよ。
(1)傍線部において筆者の主張は
(2)傍線部における主人公の気持ちは
です。

これらは、音楽を聴き、或いは絵画を鑑賞して感じるのと同様に、個々のセンス、趣
味、及び価値観により、上記が分かるのは超能力者くらいでしょ。
これを人文科学等と恥ずかしげもなく称していますが、所詮、腹芸の訓練で、流石に
腹芸とは言えないので、『空気』等と言い換えているだけの事です。


 まさに、律令理性とは、その問題をオイルさんのように感じ取るセンスがない理性です。
 この点では、私もオイルさんの指摘に同意します。
 律令理性が何であるか、を解明することは、なぜ日本語の問題にそういう問いが平気で出てくるのか、ということを解明することです。
 しかも、今に始まったことではないです。

 つまり、明治以来、日本の文系入試は、何か非常に勘違いしています。
 しかし「自分たちはこれを学問と見なす」、と宣言すればそれでいいわけですが、それを近代西洋流学問と同義であるかのように錯覚させるところから、問題が生じます。
 要するに、律令理性の典型で進んでいるのが文系学問です。

 そこに洋学が侵入してきているので、混乱しています。
 明治以来、ずっと続いています。

 ある意味では、それで平気で毎日を過ごしているわけですから、日本人の理性は天才的です。

 理系は、混乱のしようがありません。
 アラビア数字は、万国共通。

 現代日本人の理性は、これが並立して進んでいます。
 

キリストが登場した時、東洋がその影響圏から遠く離れていたことの意味はなにか  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 5日(木)12時10分47秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 次の話題で書きました。

 「with the exception of the oriental peoples,(by シュタイナー)」の
        意味は何か



 オイルさん、確かに。

 >> 一か所、事実に反しているところがあります。

それは、律令理性に関する明確な定義を植田さんが提示なさらないからでしょう。


 それも含めてボチボチとやりましょう。
 ところでその「思い込み」については、ケプラーの火星軌道の探究物語があります。
 軌道は円であるはずだ、というのがケプラーの思い込みでした。
 で、ティコ・ブラーエの観察記録を手に入れたケプラーは、計算をし直しました。そして楕円であることを発見しました。その間、20年。

 私には「律令理性」問題のことは明らかなのですが、目下のところ、たとえば、オイルさんが誤解するような段階にある、ということでしょう。
 そこを察してくれよ、というのが、ま、いままでの日本人の内輪のスタイルだったのだろうと思います。

 これからは、一大理論に仕立てていくつもりですので、オイルさんも協力をよろしく。
 批判者の意見は、非常にありがたいです。
 不比等の一千年の呪縛を上回る理論ですよ。

ま、ここは表の掲示板なので、気楽にいきましょう。
 どんな意見もご自由に、というところです。

 「正しいことしか言うな、というルールを作ると、モノを言う人は消える」、と言ったのは、ハンゼンベルグでした。
 彼も、思考(試行)錯誤の連続だったのでしょう。


ヒラリー国務長官と美智子妃殿下の、お手つなぎ「なかよしこよし」  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 4日(水)16時00分55秒
   こんにちは、皆さん、植田です。

 昨夕、小沢氏の公設第一秘書が逮捕されました。
 本日、小泉元首相が第2次補正予算関連法案の採決に欠席しました。現在の自民党の中で小泉氏が浮き上がってしまったようです。
 この両者を結び付けるものはなにか。

 本日の新井信介氏のサイトに、とんでも、に属する部類の情報があります。

 「山路さんの最新ブログを覗いてみました。

以下、転載します。
http://www.google.co.jp/gwt/n?u=http%3A%2F%2Fyamaji.iza.ne.jp%2Fblog%
2Fentry%2F926533%2Fallcmt%2F%23C1002403&hl=ja&source=m&output=xhtml1
_0#C1002403



<< 真実告知板 何故ヒラリー氏は明治神宮に参拝したか >>
2009/02/22 20:11

何故ヒラリー氏は明治神宮に参拝したか

 かつてアメリカ大統領ブッシュジュニアーが初めて日本国を訪れた時靖国神社
の参拝を希望した。その時日本国政府はこれを思い止まる様に要請して実現しな
かった。 今回のヒラリー氏の明治神宮参拝はブッシュ氏の靖国神社参拝とは
その狙いは全く違う。

国務長官に就任したヒラリー氏はそれまで報じられていたアジアにおける中国重視
という日本国政府の観測を覆し、日本国最優先に切り替えた。実に天晴れである。
しかも先に明治神宮に参拝し、美智子皇后にあった。そして麻生総理をワシントン
に招請した。

 これは要するに未曾有のアメリカ経済危機にあたり、いま日本国、そして日本国の
正統な皇統に裏付けられた天皇家の重要性を認識したからである。 一般国民には
その責めはないが、日本国の馬鹿なジャーナリストや日本国の政治家どもよりも、
天皇家の重要性をより認識しているのである。

いまの世界危機を乗り切るには先ず金が必要だ、「京」という金が消えてしまった以
上は、何処からかそれを補充しなければならない。その財源は特殊資金しかない。

これを動かすのはアメリカ、イギリス、を中心にフランス、ドイツも共同して働きかけな
ければならない。

 本来なら日本国が率先して働きかける必要がある、しかしそれが出来ない。そのた
めの環境整備が出来ていないからだ。

 いま麻生総理を中心とする良識派のやるべきことは、財務省の粛正である。そして
この特殊資金を掠め取った小泉純一郎氏と高級官僚が盗んだ特殊資金を受け取っ
ている小沢一郎氏を政界から追放することである。
                           山 路 信 義」

 全文は、以下です。
 http://mediacapsule.ne.jp/purplejade/

 一つの説です。
 これから、いろいろな角度からの説明が出てくるでしょう。
 面白いと思えるものを、そのつど、紹介してみたいと思います。

 で、今の時点で私が思うに、小沢一郎氏に政治的ダメージを与えることで、誰が最も利益を得るか。
 そして小泉氏を政治的に排除することで、最も利益を受けるのは誰か。

 というと、小沢氏の民主党の旗印は、脱官僚政治です。
 小泉氏の場合は、官から民へ、です。
 共通項は、官僚統治の排除、です。
 で、今、逆に両者が排除されました。
 すると、得になったのは誰か。

 小沢氏については、第七艦隊発言があります。
 そしてヒラリー国務長官が来日したとき、面会をしぶったことがありました。
 ここから受ける印象は、どうも小沢氏はアメリカを忌避しているのではないか。
 となれば、アメリカから見れば、小沢氏が消えてくれた方がいい、と。

 アメリカでは民主党政権になったが、日本とチームワークを組むには、アメリカに言いなりの自民党のほうがいい、と。
 オバマ大統領に真っ先に会いに行ったのが麻生首相。
 戦後の自民党・日本は、アメリカにとって、「ういやつじゃ」。

 で、新井さんが紹介した山路氏の情報から受ける印象は、アメリカは占領中も今も「天皇利用計画」を遂行していると。それが本当ならでは、ですが。

 しかし、新聞の写真で見たのですが、ヒラリー国務長官と美智子妃殿下が手をつないで歩いている様子には、私は驚きました。
 日米は、本当に、「なかよしこよし」の関係であるなあ、とうまく演出されています。


  皆さんも、この問題で何か面白い情報、説を見つけられたら、紹介してください。


新井信介氏サイトに、不比等による列島遮断戦略の実例がある=徐福伝説  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 3日(火)18時59分19秒
  こんばんは、皆さん、植田です。

 昨日の新井信介氏のサイトに、興味深い記事がありました。
 不比等による列島遮断戦略の具体例です。

 以下です。

 「ネットで、面白い歴史研究者たちのブログを見つけました。
http://jofuku-net.com/modules/eventguide/

 そこには、昨年末に、温家宝首相が韓国済州島にいった様子が触れられて
います。
 なんと、この島は徐福に関係し、そこで温首相は揮毫し、日中韓3カ国の和解の
切っ掛けなることを確信したようです。
 天智の時代から、現代の日本政治家まで、済州島とは、浅からぬ縁があります。

 以下、転載します。 これは、本当に時代が動いています。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<< 韓国・済州島で温家宝中国首相揮毫の石碑除幕式 >>
韓国の中央日報2008年12月29日のイェ栄俊(イェ・ヨンジュン)政治部門次長に
よる記事によれば、

韓国の徐福渡来伝承地の一つである済州島の西帰浦徐福公園で、 先週(他紙に
よる情報によれば12月26日のようです)、温家宝中国首相揮毫の石碑の除幕式が
あったとのことです。」


 興味深いのは、この記事についての新井氏のコメントです。

 「始皇帝による「中華」と、天皇を生み出した「日本」の関係も、はっきりさせましょう。
ちなみに、日本では、明治政府ができると、熊野に残された徐福関係の史跡を壊し、
その反対に、記紀を真実とするために、新たに作ったのが奈良の橿原神宮でした。」
 全文はこちらから。
 http://mediacapsule.ne.jp/purplejade/

 なるほど、徐福は、韓国にも足跡を残していたのでした。
 不比等は、これを消したわけです。
 日本国を立ち上げるために。
 

第七艦隊発言に続いて、今夕、小沢氏に大事件が発生!!  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 3日(火)18時31分21秒
   こんばんは、皆さん、植田です。

 小沢一郎、夕方になってビッグニュース。
 なぜ、今?

 朝日コムからです。

 「小沢氏側団体を捜索 規正法違反の疑い 東京地検特捜部

 国内外で多額の裏金を作っていたとされる準大手ゼネコン「西松建設」(東京)側の政治献金に絡み、東京地検特捜部は3日午後、政治資金規正法違反の疑いで、東京都港区にある小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」など関係先の捜索に乗り出した。

 小沢代表側の複数の政治団体は、西松建設のOBが代表を務めていた二つの政治団体から多額の献金を受け取っている。小沢代表側の政治団体関係者が、西松建設の資金と承知して受け取っていた疑いなどがあるという。

 政治資金規正法は、他人名義での献金や政党側以外への企業献金を禁止している。政治家側の政治団体関係者が、OBの団体を経由した西松建設の資金と認識していれば、政治資金収支報告書の虚偽記載などで同法違反となる可能性がある。

 西松建設のOBが代表を務めていた政治団体は、「新政治問題研究会」(95年設立、06年解散)と、「未来産業研究会」(98年設立、06年解散)。特捜部はこれまで、二つの政治団体の関係先を捜索し、団体関係者などから事情聴取していた。

 西松建設元幹部などによると、西松建設は社名を出さずに国会議員の政治団体に献金する仕組みを作り、OBが代表の政治団体を通じて国会議員側に資金提供をしていたという。

 両団体の04〜06年の政治資金収支報告書によると、小沢代表の資金管理団体「陸山会」は、新政治問題研究会から1100万円、未来産業研究会から300万円の計1400万円の献金を受けた。

 さらに、小沢代表が代表を務める政党支部「民主党岩手県第4区総支部」は、新政治問題研究会から700万円、未来産業研究会から300万円の計1千万円の献金を受けている。」
 http://www.asahi.com/national/update/0303/TKY200903030171.html

 テレビ・ニュースでは、関連者が逮捕、とニュースが流れました。

 鳩山・民主党幹事長が言うには、「陰謀の疑いがある」とのことです。
 さて、佐藤優氏の出番です。国策逮捕、か。


「天」と「天下」と、モンゴル起源の「上天神」/与謝野大臣、リップサービスで効果を上げる  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 3日(火)16時30分18秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 次の話題で書きました。Sサイトです。

「〈天〉という概念は、遊牧民に由来するだろう」 by 西尾幹二


 本日の日経平均、7000千円割れを免れました。
 財務大臣の与謝野氏のリップサービスがあったようです。

「与謝野馨財務・金融・経済財政相が午前の閣議後の記者会見で、株式相場の下落について「必要以上の下げは看過することはできない」と発言したと伝わった。」
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/summary.aspx?id=ASS0ISS16%2003032009

 きょうのところは、まずは、ひと安心の日経平均でした。
 今夜のダウはどうなるか。
 そして明日の朝は?
 平和なこの時代における、毎日の興奮を呼ぶ株式ショーです。

 ところで、今朝のオイルさんの書き込みですが、一か所、事実に反しているところがあります。

 >日本経済社会主義論、或いは律令経済諭は

 ここです。
 「律令経済」と社会主義は違う、と私は書いたはずですが。
 で、この違いを解明してくれるのをオイルさんに期待しているとも。

 この掲示板を訪問しているオイルさん以外のかたが誤解しないように、念のために書いておきます。
 皆さん、律令経済は社会主義経済ではありませんよ。

しかし経済学のしっかりした知識を持っているオイルさんの頭の中に、「律令理性」という言葉か定着しているようで、私には、うれしい限りです。
 それが誤解であってもなんでも、まずは、日本は律令システム国家であり、社会であることの認識を普及させましょう。


意見の違いこそ、戦後の日本にデモクラシーが機能していることを立証する  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 3日(火)08時15分44秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 いやいや、そんな焦らなくても、じっくりと問題につきあっていけば、見つかりますよ。実証の実例は。

 70年代問題では、オイルさんの意見は意見として、大変貴重です。
 実証的には、意見ではなく、事実である、というところでしょう。
 私としては、私の立場から見るだけです。
 これぞ、認識のデモクラシーです。

 オイルさん、日本社会でデモクラシーが機能する絶好の実例です、オイルさんの発言は。


ダウ・ショックと小沢ショック  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 3日(火)07時51分4秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 日米とも、株価がどんどん下がっています。
 昨日の日経平均。

 「 2日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落。終値は前週末比288円27銭(3.81%)安の7280円15銭で、後場中ごろ過ぎには先月24日の直近安値7268円を下回る場面があった。前週末の米株式市場で米ダウ工業株30種平均が続落し1997年5月以来約12年ぶりの安値で終えたことを受け、朝方から幅広い銘柄に売りが出た。・・
 東証株価指数(TOPIX)も大幅反落。一時は2月24日に付けた、83年12月以来の安値である730を下回った。」
 http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/summary.aspx?id=ASS0ISS16%2002032009

 そして昨晩のニューヨーク・ダウ。

 「[ニューヨーク 2日 ロイター] 米株式相場は続落して始まった。ダウ平均は1997年10月以来の7000ドル割れで推移。

 保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)が四半期決算で617億ドルもの赤字を計上するなか、金融危機がさらに深刻化しつつあるとの懸念が広がった。

 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「米経済は2009年を通じて大混乱に見舞われるだろう」と発言したことも市場心理を圧迫している。(カッコ内は前営業日比)」
 http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-36766320090302

 最終的にはマイナス299ドルの6763ドルでした。
 そうすると、本日の日経平均も、ついに7000円を割り込むと予想されます。

 こうした経済状況の中で、小沢一郎氏の爆弾発言が出ました。
 「第七艦隊だけで十分」。

 これは何を意味しているのか。
 多母神論文に続いての、世間をお騒がせする発言ですが、小沢氏の影響力は、政界を揺るがせています。
 なにしろ、次期日本国の首相の可能性もある人の口から出た発言です。
 真意は何か。


明治維新は社会形態のイノベーションである、という説  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 2日(月)08時05分57秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 オイルさん、ここはグッドです。

 >私はむしろ、70年代に入ってから官僚が跋扈しだした
と考え、例によってこの考えは、実証検証でもたらされた物です。

 小室直樹氏によると、日本に科挙制度が根付いたのは、昭和26年前後です。つまり、戦後です。西暦では1950年代です。

 オイルさんのいう1970年代というのは、中西輝政氏によれば、戦前に官僚になった「天皇の官僚」の世代が、現在、団塊の世代が大挙して現役を引退していくように、官僚を引退していく時代でした。その時を境に、官僚のモラルが変わった、と言います。
 たぶん、中西氏の指摘とオイルさんの実証検証は符号するだろうと私は思います。

 オイルさんの会社がシュムペーター説に反証するとなれば、逆に、シュムペーター説を実証する会社もあることでしょう。
 現在の日本で理論的な側面でシュムペーター説を大々的に紹介しているのが小室直樹氏ですが、人によってはこの人が経済学を専門にしていないために、無視しています。

 しかし、私のように経済学の専門外から見ると、これがなかなか面白いです。
 たとえば、明治維新そのものが「企業革新」である、という説です。
 経済学者の皆さんでは、あまりこれほどのワイドの視点で論じることはないでしょう。

 で、明治維新を企業革新であるとすれば、確かに、徳川時代の日本には資本主義はなかったと言えます。
 その日本人が、いかにして資本主義を立ち上げたか。
 私に興味深いのがここです。

 そして、以後、日本人はいかに資本主義を使いこなしているか。
 ちなみに、オイルさんの会社は、資本主義を使いこなしていると推察されますが、どうでしょうか。


松岡正剛の「白川静」、大前研一の「さらば、アメリカ」  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 1日(日)11時08分34秒
  こんにちは、皆さん、植田です。

 最近はめったに新刊書は読まなくなったのですが、松岡正剛の『白川静ー漢字の世界観』には関心を覚えました。
 現在、平凡社新書で9万部です。

 白川氏の漢字研究の三部作のうち、私は『字統』を持っているのですが、どうも追求の手が途中で終わっているような感じで、これまでのところあまり参考にしていません。
 『字通』でないとだめか、と思ったりもするのですが、いまいち、踏み込めません。

 梅原猛氏の対談本も、ちょっとしらけました。

 しかし、生涯の全部を費やして漢字を研究された人ですから、もっと何かあるはずだ、と思っています。
 その「何か」をもしかしたら松岡氏が突き止めてくれたのか、とちょっと期待しています。
 やはり読んでみようか。

 それから大前研一の『さらば、アメリカ!』。
 本日の新聞の宣伝に出ていますが、「著者初のアメリカ論、緊急出版!!」とのこと。

 大前氏は思想家ではないので、あまり期待していませんが、つまり、ビジネスマンとしては、時代のヒーローの一人としては大いに評価しているわけですが、なるほど、これまで大前氏の「アメリカ論」はなかったですか。

 今回のアメリカ発の世界大不況は、とうとう大前氏をして「さらば、アメリカ」と言わせたようです。
 「さらば」というのは大前氏の個人史のなかでの「アメリカよ、さらば」でしょう。日本の映画界は、今年はダブル受賞で、新たにアメリカ・ブームに沸いています。プロ野球もメジャー・ブームは当分、終わらないでしょう。
 ということは、60年代に他の分野に先駆けてアメリカ・ブームに入った製造業界、その上に乗っかったビジネス・コンサルタント業界の大前氏にとっては、もう40年にわたるアメリカ体験があるわけで、今回のアメリカ経済の大チョンボは、自分のアメリカ体験の清算ということでもあるのでしょう。

 しかし、そう思って、アマゾン・コムのレビューを拝見したら、コメントが人によって180度違っています。面白いことです。
 アメリカ在住の方が大批判しているかと思えば、大評価している人もいます。
  http://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%B0%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB
-%E5%A4%A7%E5%89%8D-%E7%A0%94%E4%B8%80/dp/4093896089/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=123587
2018&sr=1-2


 私の体験では、普通の仕事をしながら思想・思考活動を深めるのは、不可能です。
 だいたいは、パラダイムが決まっています。そのパラダイムを決めるのは、20代までです。
 大前氏の場合も、20代までがご自分のパラダイムの形成期だったことでしょう。あとは、それを時代の状況の中で、自分のアンビシャスと絡めて実現していくことになります。
 日立で原子力産業、アメリカでマッキンゼー、退職してから東京都知事選挙に出馬。以後、政治に失望して、ビジネス・スクール。
 このようなキャリアの人が、いかなるアメリカ論をぶつか。

 私の予想では、ヘロドトス版の大前体験論でしょう。
 つまり、自分の体験にことよせてアメリカを論じる、というスタイルです。
 西洋での歴史書のオーソドックスです。(日本では、これが権力史としてスタートしました。だから、日本人が国家権力と離れたところで個人史を書き、それに一定の読者がつく、というのは、それだけで画期的な現象です。)

 というわけで、やはり、なんだかんだと言いながら、大前氏は戦後日本のある時代を代表していた人物、となるでしょう。大前氏を通して、「戦後日本のアメリカ時代」が表現された、と。

 だから、実際は、21世紀も10年がたとうとする今、「オピニオン・リーダーとしての大前氏よ、さらば」、なのではないかとも思われます。つまり、自分のアメリカン・キャリアをここらで大清算したくなったのだろう、と私は思います。時代が自分の体験から乖離していく、と。

 久しぶりに大前本を読んでみましょうか。


「経営者党」が近いうちに誕生するだろう  投稿者:ウエダ  投稿日:2009年 3月 1日(日)08時30分22秒
  おはようございます、皆さん、植田です。

 ドトール・コーヒーの鳥場博道氏の「私の履歴書」が、昨日で終わりました。
 最終回で興味深い提案をしていました。

 「私には急激なGDPの縮小でスパイラルに陥るという危機感がある。私はこんな提案をした。公共事業での需要創出では時間がかかりすぎる。1500兆円の個人金融資産を即、消費に結びつけるため、今年に限り生前贈与の税率をゼロにする。ただし現金で贈与し、1年以内に消費した場合に限るという条件を付ける。車やその他の消費がかなり起きると思う。
 また消費税を福祉税に改め年金、医療、介護その他の社会保障をすべて賄い、国民に分かりやすく説明する。それにより将来不安が無くなればさらに内需は拡大するはずだ。」

 これは鳥場氏が上場企業の創業経営者7人でつくる「だるま会」での提案とのことです。
 メンバーはAOKホールディングスの青木拡憲氏、カプコンの辻本憲三氏、ファンケルの池森賢二氏、スターツの村石久二氏、二トリの似鳥昭雄氏、富士ソフトの野沢宏氏、そして鳥場氏。
 プレーンに境屋太一と、PHP総合研究所社長の江口克彦氏。

 会社を創業して成功されたこの人たちは、今や、故・松下幸之助と同じ意欲を持ち始めました。
 国家を良くしたい、と。

 で、さらに提案します。

 「他のメンバーからは『15歳未満の子供を持つ親に、子供一人当たり年に100万ずつ無条件に支給する』との提案があった。費用は年間17兆円強。消費振興と少子化対策を兼ねる案だ。・・
 このような議論は理想論と思われるかもしれないが、まず理想を打ちたて、それをいかに実現していくかというのが経営者的発想だ。ぜひ政治家にも取り入れて貰いたい。私たちの願いは≪卓越した国家経営者≫だ。」日経新聞2009.2.28

 経営者の皆さんというのは、シュムペーターによれば、資本主義社会のヒーローです。
 この人たちが、社会と経済を前進させます。社会前進の駆動力です。

 私自身はデカルトのように、この世で一番やりがいのある仕事は、哲学であると思っていますが、これはその社会がいかなる社会であっても妥当します。
 しかし資本主義社会にあっては、ヒーローは哲学者ではなく、経営者でしょう。
 日本の中世の時代は、もちろん武士でした。西洋の中世では、騎士です。ヘーゲルは、「美学」で騎士身分の意味を詳細に分析しています。現代社会の身分を代表するのが経営者とすれば、この人たちを哲学することも面白いでしょう。

 あ、そうすると、「官僚主導」問題も、自動的に後退することになります。
 ということは、やはり「官僚主導」も、日本社会の経済発展が発展途上国であったことが必然的に要求したものにすぎなかった、ということになるでしょう。

 そうすると、近いうちに、政党の区分けは、経営者党と官僚党の二大政党になりますか。そしてここに労働者党が出てきて、三大政党制になると。
 アメリカでは、共和党と民主党の二大政党制ですが、日本には、官僚党という日本独特の律令システムという条件が加わります。

 官僚の発想と、経営者の発想と。
 どちらがこれからの日本を前進させるか。

 自民党に献金するだけだった経営者たちが、若返って、自立するのではないかと私は予想します。ここでも世代交代が起きるでしょう。
 要するに、日本社会の全体が、すでに律令システムから自然理性へと向かって、大移動を開始しています。

 あとは、この事態を明瞭に言語化することです。
 言語という鏡を見ることによって、人々は今の時代がどうなっているのかをしっかりと知ることができます。
 そうすれば、大移動にさらなるはずみがつきます。