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きょうの社説 2009年6月20日
◎エコ商戦本格化 消費ムードを地域全体へ
省エネ家電の買い替えを促すエコポイント制度に加え、エコカー補助制度が新たに始ま
り、北陸でも「エコ商戦」が本格化してきた。エコカー補助は自家用車の保有率が高い北陸にとっては大きな商機になる。熱気が高まってきたエコ商戦を地域全体に消費ムードを広げる弾みにしたい。政府は6月の月例経済報告で事実上の「景気底打ち」を宣言したが、内需の柱である個 人消費は力強さを欠き、まだ実感が伴わないのが現実だろう。悪化する雇用や所得との綱引き次第では、景気が下振れする恐れもある。底打ちを確実なものとし、反転上昇へつなげる、今がまさに正念場である。 月例経済報告では、景気の基調判断で「悪化」の表現が7カ月ぶりに消え、企業生産、 輸出の持ち直しに加え、個人消費でも「緩やかに減少」から「一部に下げ止まりの兆し」と2年ぶりに上方修正された。個人消費の改善は定額給付金や売れ行き好調な省エネ家電、4月からのエコカー減税などが引き出したとみられる。 政府の追加経済対策が確実に効き始めた表われであり、この流れを家電や車といった一 部の市場から全体へと広げる必要がある。北陸の百貨店などでは下取りセールなど顧客の足を店に向かわせる新たなサービスも始まったが、本格的な夏商戦に向けて地域全体で消費喚起に知恵を絞ってほしい。 省エネ家電のエコポイント制度は、獲得したポイントと交換できる商品がようやく決ま った。北陸を含め、商店街の商品券や地域の特産品、旅行・宿泊券など271件で、幅広い業種にわたっている。家電業界で火がついた消費を他の業界に波及させるチャンスであり、相乗効果を引き出したい。 政府はこの機を逃さず、エコ制度の仕組みをPRする必要がある。エコカー補助制度に してもハイブリッド車だけが対象と勘違いしやすいが、適用は160車種と幅広い。景気対策の効果を最大限に引き出すには制度の分かりやすさと周知徹底がいる。景気が底を打ったとしても、まだまだ楽観できる状況にはない。政府は回復の兆しを広げる手立てを途切れなく講じてほしい。
◎西松建設事件初公判 小沢氏の反論聞きたい
西松建設の巨額献金事件をめぐる前社長の初公判で、検察側は、民主党の小沢一郎代表
代行の事務所が公共工事の業者選定に関する「天の声」を出していたと指摘した。政治資金規正法違反などの罪に問われた前社長は、起訴状の内容を認めたが、民主党への支持率が自民党を上回る状況の中でも、依然、国民の多くは西松事件について小沢氏が説明責任を果たしたとは思っていないだろう。検察の主張に対し、献金の違法性と自らの関与を一貫して否定してきた小沢氏の反論を聞きたいものだ。検察側は冒頭陳述で、岩手、秋田両県の公共事業の業者選定で小沢事務所の意向が決定 的影響を及ぼし、西松側に、ダミーとされる2政治団体を通じて分散献金するよう要請したと指摘した。 「2政治団体からの献金が西松建設からの献金だと知っていた」とする公設第1秘書の 供述調書も証拠採用されたが、事実とすれば、違法性の認識を示すものであり、公共事業をめぐる「政治とカネ」問題の根深さが、あらためて浮き彫りになったと言えよう。民主党の一部からも、「小沢氏が身を処す必要も出てくる」と進退を問う声が挙がっている。 小沢氏はこれまで同事件に関して、1企業から長年にわたって巨額の献金を受け取って いても、適正に処理されていれば「何らやましいことはない」として進退問題を先送りしてきたが、世論の逆風に抗しきれず代表辞任となった。それでも巨額献金の使途などについて説明不足との批判は消えていない。初公判で指摘された公設第1秘書の談合をめぐる重い役割も含めて「黙して語らず」の姿勢では国民の信頼は得られまい。 同事件のヤマ場である秘書の公判は、衆院選後とみられるが、秘書は争う姿勢を示して いる。また検察側も秘書の公判に向けて、まだ多くの新事実を温存しているとの見方もある。新たな展開も考えられる中で、衆院選いかんにかかわらず、政治とカネの問題に厳しいとされる民主党のけん引役として、自らの声で真実を語ってもらいたい。
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