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社説:西松前社長初公判 「天の声」小沢氏説明を

 岩手・秋田県での公共工事で行われていた談合で小沢事務所の「天の声」を得るために西松建設は多額の献金を行っていた、と検察側は前社長の国沢幹雄被告(70)の初公判で指摘した。なぜ高額の献金をもらい続けたのかという疑問に対し、小沢一郎・前民主党代表は「なんらやましい点はない」と主張してきたが、検察側は小沢事務所が同社に献金の増額を示唆し、また、小沢事務所の「天の声」で同社の共同企業体(JV)が受注した両県の公共工事は122億円に上ると指摘した。小沢前代表から明確な説明を聞きたい。

 検察側によれば、小沢事務所との関係が良くなかった西松建設は両県での公共工事を思うように受注できなかったため、95年ごろ年間300万円程度だった献金を1000万円以上に増額した。95年に政治資金規正法が強化され、同社は社名を出さずに献金するためダミー団体を作り、97年以降は小沢事務所の示唆で献金額を2500万円に増額。どこにいくら振り込むかは小沢氏側から請求書が送られ、また、「多額の献金が社会の耳目を引かないよう、名義をできるだけ分散してほしい」と求められたという。小沢前代表の公設第1秘書の大久保隆規被告(48)は、00年ごろから献金を巡る交渉や「天の声」を出す役割を担い、献金名義や額の割り振り案を記した一覧表を西松側に提示したという。

 検察側の指摘が真実だとすれば、小沢事務所が深く関与した悪質な行為と言わざるを得ない。民主党の第三者委員会は「罰則を適用すべき重大性・悪質性が認められるかなど多くの点に疑念がある」と批判したが、そうした批判自体が軽率だったのではないかと思えてくる。

 一方、大久保被告の弁護側は「検察官の主張は、ゼネコン関係者の一方的な供述に基づくものに過ぎない。具体的に裏付ける証拠は何一つ出されていない」と批判する。総選挙を控えた時期に野党第1党党首を辞任に追い込んだ捜査を疑問視する声は根強い。検察側が批判をはね返すには、大久保被告の公判でさらに事件の全体像や悪質さを具体的に立証する必要があるだろう。

 ともあれ、特定の政治家への多額の企業献金には必ず理由があることを検察側は改めて示した。西松建設は二階俊博経済産業相など自民党議員の関係団体にも献金を行っていた。二階派の政治団体が同社のダミー団体名義で計838万円のパーティー券代を受領していた問題では、検察審査会が二階派団体の会計責任者らを「不起訴不当」としている。多額の献金にどのような理由があったのか、捜査で徹底解明すべきだと改めて指摘しておきたい。

毎日新聞 2009年6月20日 0時12分

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