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鳩山兄弟連携はあるか エール封印の兄、弟への劣等感は

2009年6月20日11時46分

 民主党の鳩山代表が、実弟の鳩山邦夫前総務相へのエールを封じた。弟が乱を仕掛け麻生政権を揺さぶっているため、2人が否定しても「兄弟連携」説が消えない。だが、次の総選挙で「首相の座」を射程に入れる兄と、「政界の先輩」である弟との関係は、そう単純ではなさそうだ。

 日本郵政の社長人事騒動は麻生首相の指導力の問題であり、弟とは関係ない――。

 兄は最近、そんな姿勢を貫き、17日の党首討論で日本郵政社長人事問題にふれた後も「弟のためにふれたということではない」とわざわざ断った。周辺は「再編が焦点になれば、政権交代の機運に水を差すからだ」と解説する。

 兄は今、次の総選挙で政権交代を果たせば、首相になるかもしれない「次の首相」候補だ。総務相、法相、労相、文相を歴任した先輩の弟を、閣僚経験のない兄が一気に追い越す可能性が出てきた。

 「弟に対し、敬意とコンプレックスが入り交じった複雑な気持ちを持っているのではないか」。周辺がこう指摘するように、政治家としての2人の関係は複雑だ。

 ともに、祖父・鳩山一郎元首相が提唱した「友愛精神」の継承者を自認している。しかし、父・威一郎元外相が後継指名した後継者は弟の方だった。兄は弟に10年遅れて政界入りし、当選回数では弟10回、兄7回と差がある。

 弟は幼少期から「将来は政治家になる」と志したが、兄は政治家を嫌い、学者を夢見た。それが、米国留学をきっかけに突然、政界転身を決意して、威一郎氏に反対された経緯がある。

 これまでの2人の歩みも、愛憎相半ばする。96年に旧民主党を一緒に立ち上げたが、旧社会党議員の入党や処遇などを巡って激しく対立。弟は離党し、自民党に復党した。だが、昨年4月に兄弟は人材育成のための「鳩山友愛塾」を開講して急接近。兄が昨年末に「弟から政界再編を持ちかけられた」と暴露し、「兄弟連携」がうわさされた。

 こうした歴史から、民主党内には「弟が合流したらまた混乱する」との警戒感が根強い。兄も「こちらから(再編を)呼びかけることはない」と打ち消すが、「友愛」の旗のもと、総選挙後に再び連携が浮上するという憶測は消えそうにない。(村松真次)

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