「娯楽の王様」と呼ばれ、不況の影響も受けにくいといわれたパチンコの店舗が全国で減り続けている。昨年末は、全盛期の1995年より約3割少ない約1万3000店となり、九州・沖縄でも約2300店が約1500店に減った。ギャンブル性が高い台が増え、お小遣いで遊べなくなったところに不況が追い打ちを掛け、客足は遠のくばかり。借金してまでパチンコに興じる「ギャンブル依存症」の認知度も高まり、業界を取り巻く環境は年々、厳しさを増している。
●不況追い打ち 業界悲鳴
警察庁によると、九州の店舗数は昨年末現在で福岡が30%減の422(95年比で186減)▽佐賀81(同じく41減)▽長崎181(76減)▽熊本189(107減)▽大分147(72減)▽宮崎152(96減)▽鹿児島264(157減)。
店舗の減少について、福岡県遊技業協同組合は「ギャンブル性の高い台が増え、客層が限られる傾向があったが、そうした層も景気の後退で離れていった」と分析。さらにパチンコ台がかつての1台約20万円から約30万-40万円に上昇し、競争に伴う店舗の大型化でも費用がかさみ、経営を圧迫している。
こうした現状を打開するため、貸し玉料を従来の4分の1にした「1円パチンコ」導入の動きが広がっている。福岡県でも昨年の夏以降に増え、約70店が導入した。ただ従前の収益を確保するには4倍の客を集める必要があるといい、苦境脱出の決め手になり得ていないのが実情だ。
福岡市のある店長は「初心者や離れていった人たちに、パチンコが気軽に楽しめる大衆の娯楽であることを再認識してもらう方策を考えたい」と力を込めるが、ギャンブルに対する根強い批判もあり、道のりは険しそうだ。
=2009/06/20付 西日本新聞夕刊=