十数年ぶりに奈良で取材活動するようになり、遺跡の発掘現場を訪ねる機会も増えた。元々、考古学に関心があり、楽しみながら仕事ができる環境を喜んでいる。
この間、調査を担当する人たちの環境も様変わりした。例えば、奈良国立文化財研究所は名前から「国立」が消え、独立行政法人として活動している。「お役所のにおい」が消え、かなり自由に調査、研究活動に取り組んでいるのは、学問的にも好ましいことだと感じる。
ただ、それが気の緩みにつながらないように気をつけたい。文化財に限ったことではないが、一度失えば二度と取り戻せない。高松塚古墳での経験がそれを教えている。(山成)
毎日新聞 2009年6月20日 地方版