宮城のニュース
産科救急の搬送先決定に調整役 宮城県、来月にも
産科救急の受け入れ態勢を充実させるため、宮城県と日本産婦人科医会県支部は19日までに、「周産期救急患者搬送コーディネーター事業」の実施を決めた。県内2カ所の基幹病院にコーディネーターを配置、産科施設などからの連絡に24時間体制で応じ、搬送先を迅速に決める。産科救急に対応するコーディネーターの事業化は東北で初めてで、7月中の運用開始を目指す。
県によると、東北大病院(仙台市青葉区)と総合周産期母子医療センターに県内で唯一指定されている仙台赤十字病院(太白区)の産婦人科医師がコーディネーターを務める。東北大病院には補佐役の事務職員1人も配置する。
県周産期ネットワークに参加する12カ所の病院に毎日朝夕、患者の受け入れ状況を確認。平日は東北大病院、夜間や休日は症例に応じて2基幹病院のコーディネーターが診療所、助産所、消防などから連絡を受け、適切な搬送先を決める。
搬送先が決まらない場合はコーディネーターが協議し、可能な限り2基幹病院が収容。いずれも受け入れが難しい際は県外の施設に照会する。
脳疾患などで母体の救命を最優先するケースでは、診療所などが県内3カ所の救命急患センターに直接連絡する。緊急を要さない症例はコーディネーターを介さず、病院と連絡を取る。
県内ではこれまで、容体急変などで妊婦の救急搬送が必要になった場合、医師同士が電話で受け入れ先を探していた。
産科医不足は県内でも深刻化している。県保健福祉部は「限られた医療資源を生かすため、搬送方法をルール化し、医療機関の役割を明確にした」と説明する。
仙台市内の産科医は「搬送依頼の窓口を決めたことで、現場の医師がやりとりしていた搬送網が対外的にも分かりやすくなる」と評価している。
産科救急では2007年以降、奈良県や東京都などで受け入れ先の確保に難航した妊婦が死亡する事態が相次いで表面化した。コーディネーターの事業化は厚生労働省が推進し、京都府、栃木県などが導入している。
2009年06月20日土曜日
|
|