前回のインタビューでは、インターネットやホームページをはじめた頃のことについて赤裸々に話してくれた小田嶋さん。氏は1998年から自身のホームページで『偉愚庵亭日乗』という日記を付けはじめた。が、2004年10月からは現在のブログに移行している。その移行した理由について教えてもらった。
「自分でウェブサイトを作っていると、更新すればするほど、そしてページが立派になればなるほど、やるべき仕事が増えていきます。ひとつ何かを更新しただけで、4つのリンクをいじったりとか……。そうなると、更新するモチベーションが確保できず、書きためたうえで月に1度だけ更新すればいいや、と思ったりするようになってきてしまったんです。そういう状況のときに、ほかの人のブログを見てみたら、技術的なことだけでなくデザインなども含めてブログがとても魅力的に見えたんですよね。それと同時に自分のサイトのダサさを痛感しちゃって。それにブログは更新が簡単だという点が魅力的で……。それで日記だけはブログで展開していこうと決めたんです」
ブログに限らず、小田嶋さんの文章には絶えず社会を斜めから見ているような姿勢が感じられる。そのような感覚は、いったいいつから持っていたものなのか。
「そういう姿勢は、高校で落ちこぼれたときから持っています。自分という人間は人並みの力で生活していると、いつの間にか道から外れていってしまうんだなあ、といった感覚。もう一つは大人になってから持つようになった『人と付き合うということはめんどうなことなんだなあ』という感覚です。私が社会を斜めから見ているように読者から見えるのは、おそらく物事をひっくり返して書くことが多いからでしょう。たとえば、ただオムライスがおいしかったと書くのではなく、その話に到達するためにわざと遠回りをするような書き方や、反対から物を見るような書き方をよくしますからね。」
それでは商業誌紙では書けない強烈な社会批評も、ブログでは想いのままに書けるということがあるのだろうか。
「内容に関しては、特にブログと商業誌紙で書き分けているということはありません。何を書くにせよ、そのときに思いついたことを書きますし、それぞれの媒体に書く内容というのは一過性のものですからね。何を批判するにしても、その姿勢には変わりがありません。
ただ、物を書くときは着地点が見えている状態で書いているわけではないので、ブログのように字数制限がない媒体は、雑誌のコラムよりもスラスラ書けたりすることはあります。井戸は掘り続けていないと涸れてしまうって言いますけど、書くネタというものは書けば書くほど減っていくものではなく、書けば書くほど増えるような気がするんですよね。でも、ボブ・ディランが登場するエントリーのように、ジャンル的に、どの雑誌でも展開が難しい文章はブログだから掲載できるということはあります。いずれにしても、自分の文章を人に読んでもらうということ自体が私にとって大切なことなんですね。このことは小学生のときの日記にしても、バンドのときの作詞にしても同じことです」
強烈な社会批評を繰り広げる小田嶋さんの文章は読み応えがあるが、そのブログの文章に対して過敏に反応してくる読者もいないとは言い切れない。
「そうですね。読者の反応に関しては、私も最初はナーバスになった時期がありました。一度、コメント欄のルールに関するエントリーを書きましたが、個人のブログであればブログ主がコメントのルールを決めてもいいと思います。そうはいっても、コメント欄は解放していますし、『荒れた(ブログの内容に対して批判などのコメントが殺到しブログそのものが炎上してしまうこと)』としても10個のエントリーのうちの1つくらいのものですから、ブログ運営者もそれくらい荒れることには慣れる必要があると考えています。以前はコメントに腹を立て、ブログを閉じようと思ったこともあります。でも、長くやっているとだんだんと慣れてくるものなんですよね」
辛口の社会批評はもちろんだが、サッカーネタやイラストなど興味深い記事が満載の小田嶋さんのブログ。その更新方法についてはいったいどのように行なっているのだろう。
「短い文章の場合はブログの更新画面にそのまま打ち込みます。長い文章だと、いったんテキストエディタに下書きしてから公開するようにしています。イラストは手描きのものですと、まずスキャナで読み込んでデータ化し、フォトショップで色をつけてからアップしています。最近、文章とイラストをセットにしてアップすることがしばしばありますが、その理由は文章だけだとページを見たときにどうしても重たい感じがしてしまうからです。ブログの文章に挿絵を入れるような感覚ですね。
それとアクセス解析を利用して分析をすることもありますね。アクセス数の特徴を一言でいえば『荒れると増える』ということでしょうか。ブログのアクセス数って健康な水準があると思うんですけど、それを越えている場合は荒れているケースが多いような気がします。あと、人気ページで紹介されたりすると、一気に数字が上がりますよね。島田紳助氏がスタッフを殴った事件のことを書いたときに、ワイドショーでの勝谷誠彦氏の無責任な発言をブログで批判したことがあったんですが、そのときは勝谷氏のページからのリンクが異常に増えたりしましたね。そういうときに、たまたま見にきた人の何人かが、私のブログを継続して見てくれていたりするのではないでしょうか」
それでは最後に、ブログを利用して感じること、また今後ブログに望むことなどがあればお聞かせください。
「更新が簡単であることや読者との距離感などからいって、メール、ウェブ、SNS などといった媒体のなかでは、ブログがもっとも使いやすいものだと私は思います。 SNS は巷で話題になっていることもあり、一応入ってみました。しかし、肌が合わなかったので今では使っていません。何よりも足跡が残るというのが気味悪い。相互監視社会の縮図みたいじゃありませんか。コメントをもらったら、コメントを返すのが礼儀だとか……。世間の作法をそのままウェブに持ち込んでいるように見えます。でも、ブログはハンドルネームでやれるという意味で匿名性を確保できますよね。私にとってネットの付き合いで重要なことは、いつでも消えられるということだったりするので、今のところは自分の性に一番ぴったりとくる媒体ですね。
ブログの欠点は、サーバーのトラブルでなかなか更新ができないときがあったりすること。また、人気のあるページへのアクセスや多くの人が見ている時間帯に、やたらと重くなったりすることぐらいかな。とはいえ、それは仕方のないことですし、メンテナンスの問題なのですから、これからいくらでも解決できることでしょう。
ブログに望むことですが、私は機能や場所があればやってみたくなることがたくさんあります。だから、プロバイダーなどがさまざまな機能を開発し、それが簡単に使えるようになればユーザーもその機能を使うため積極的にブログと関わるようになるでしょう」
言葉にこだわりを持つ文筆家ならではのブログに対する意見を聞くのはとても新鮮だ。痛烈な社会批評も実は表現手法の一つだったと聞いて納得。その素顔が謎だった小田嶋さんがとてもリアルな存在として身近に感じられてくる。「自分が書いたものを誰かが見てくれていることがブログを続けていける唯一のモチベーション」と話してくれた小田嶋さん。氏のブログはあと2年でスタートから10年目を迎える。
<次回予告>
次世代癒し系アイドルとして幅広く活躍中の磯山さやかさんにご登場していただきます。磯山さんは東京ヤクルトスワローズの古田敦也監督公認の女子マネージャーでもあり、ブログ『女子マネ日記』では選手たちの熱いメッセージをリポートしてくれています。ブログのことはもちろん、普段は聞けないプライベートなこともたくさん話していただく予定です。ご期待ください!(次回更新 10/12)
●文 :谷川茂
●撮影:聡明堂
取材協力: peace café(ピースカフェ)
〒115-0045 東京都北区赤羽1-14-1-1階
電話 03-3901-4521
左の写真は、peace café の人気ランチセット(ほうれん草ベーグル・スモークサーモン&クリームチーズ、ホワイトカレースープ)。ドリンク付きで880円。
<ブログ紹介>
『偉愚庵亭憮録』
サッカーをはじめとしたスポーツの話題や政治・経済ネタの批評、テレビ CM や広告のことまで、小田嶋さんの健筆ぶりを確認できるのがこのブログ。氏の批評精神にまだ触れた方がないという方は一度読んでみるべき。文章だけでなく小田嶋さんが得意とするイラストも見逃せない!!
セレブの出すお題にトラックバックまたは、コメントで答えてプレゼントをもらっちゃおう! セレブが選んだ優秀作品には、プレゼントがもらえます。どしどしご応募ください!
「私の今後の活動で何か期待することはありますか? また何か希望があれば教えてください」(小田嶋隆)
1998年から2005年までの膨大なブログをすっきりと1冊にまとめた本『イン ヒズ オウン サイト』と、学歴をテーマに書かれた 『人はなぜ学歴にこだわるのか。』の2冊をプレゼント。なんと小田嶋さんのサインとイラスト入りです!
タイトルに「ココセレブ special プレゼント」と明記の上、お題に対する記事をトラックバックまたはコメントをお寄せください。なお、応募以外の感想などのトラックバック・コメントも随時受付中です!
当選者の方には、ココセレブ事務局よりご連絡させていただきますので、必ず「メールアドレス」がわかるようにブログ内、コメント欄に明記してくださいね。
9月28日~10月12日(当選者発表は10月19日当記事内にて)
小田嶋隆さんからコメントをいただきました!
小高英司さん
ご応募ありがとうございます。
少子化についてですが、私はあんまり心配していません。
私自身、人口の少ない世代(私が生まれた1956年をはさむ数年間は、第1次ベビーブームと第2次ベビーブームの中間に位置していて、最も出生数の少ない時代でした)の子供でしたが、別段不自由を感じたことはありません。
むしろ、受験やら何やら、あらゆることについて競争率が低くて楽をしたような気がしています。
今後、日本の人口が減ったところで私は困りません。
国力だとかいう指標にも興味ないですし。
でも、子育ては大切ですよね。
うまく育ってくれることを期待するほかに特に智恵は持っていませんが。
ミッキーとっつぁんさん
おお、テクニカルライターさんでしたか。
この言葉が死語と言われて、すでに10年が経過していますが、
肩書きは死んでも人間は生きたのですね。
なんだか足軽みたいで素敵です。
私もできる範囲でテクニカルライティングの仕事ができたらと考えています。
ゲーム関連のお仕事もなさっていたとか。
どこかですれ違っていたかもしれませんね。
あるいは、今後どこかですれ違うかもしれません。
その折は、どうか声をかけてみてください。
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毎朝10秒 関西弁前向きメール 10/10 from 毎朝10秒 関西弁前向きメール
おはようさん。今日もげんきよく! 「精神を大切にするというのなら、 それとつながっている身体も大切にせんとあかん。」 アインシュタインはんの言葉や。 カラダはあんたに従順についてきてくれてるんや。 いたわってあげんとな。 疲れてるって思ったら休むこと。 体が疲れてたら頭も疲れるで。 一心同体や。 【アインシュタインにきいてみよう 勇気をくれる150の言葉】 成功者になろうとするのではなく、価値ある人間になるよう努めるべきや。 愛と信念と...[続きを読む] 2006/10/11 1:02:05
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コメント
コメント迷いました。この記事は5日に見たのに応募期間5日までと書いてあります。意味不明。と思いましたが、ともかく応募してみます。
活動に期待すること・・エライ人に歯に衣着せぬ言葉でもっともっと言って欲しい。
希望すること・・あなた自身の家族への思い、そして今の少子化日本の子育ての大切さについて、論及して欲しい。
以上。まことに僭越ながらコメントさせていただきます。
投稿: 小高英二 | 2006/10/07 21:09:12
私もテクニカルライターと名乗っています。技術関係の書物を出しています。それと、一応、現役(もう、退役かも。)の技術者です。学位持ちです。あと、昭和53年中小企業診断士、工業関係資格多数。工業教員一級。
技術報文(技術雑誌、学会誌)は数百。あとは、カタログ、取扱い説明書、設計マニュアル、技術ガイド(社内)を書いています。
作家としては、ゲーム作家・プロデュサーです。おそらくは、200作ほどに関わったと思っています。最初は、コンピュター雑誌への投稿(ゲーム、システム解説)から始まったと考えています。
小田嶋先生が、テクニカルライターと名乗ってくれるとは光栄です。今後とも宜しく、お願いします。
投稿: ミッキーとっつあん | 2006/10/07 21:48:18
有難うございました。プレゼント当選のメールを頂き、感激です。
その上、コメント(少子化の問題、確かに私達個人にはあんまり関係ないです)まで頂き喜びひとしをです。
早速ながら、失礼ながら、このコメント欄をお借りしてあらためてお礼申し上げます。
ご著書「インヒズ オン サイト」を楽しみにお待ちしております。
小田嶋様のご著書は、まだ見ぬ夢・・拝見しておりません。
実は、プログの見事さに魅かれて、小田嶋様のお名前を知ったのはつい最近なのです。何か拝見と思っていたところでした。
投稿: 小高英二 | 2006/10/20 16:58:11
有難う御座います。
確か、小田島先生は、「マルガリータを飲むのは早すぎる。」と言う作品で、世に出られたと思っていますが、勘違いかもしれません。
その頃、私は技術雑誌に、プログラムを投稿していました。その中にゲームがあります。今でもテクニカルライターと言う言葉は使うのですが、ほとんどが、会社員(技術職)で、それを専業としている人はほとんど聞きません。確かに死語に近いかもしれません。(どっこい、生きてますよ。)
ゲームは、今こそ現役です。ゲーム会社の株主として、会社四季報に名前が載せています。別の会社が、小説サイトを立ち上げています、その会社でも、株主で、上場しています。
先生がPC雑誌に載せておられた記事も、読んでいました。そういえば同じ号の記事で、近所付き合いしていました。
さらに、お近づきになれて、大変光栄に思っています。
投稿: ミッキー | 2006/10/20 19:47:53