部員2人が強盗容疑で17日に逮捕されたことを受け、近畿大は18日、ボクシング部の同日付での廃部を決定したと発表した。11度の大学日本一に輝き、五輪メダリストや現役世界王者の名城信男(27)も所属した名門。OBで、俳優の赤井英和(49)は所属事務所を通じ「とにかく残念で悔しい。それしか言いようがない」と沈痛なコメントを寄せた。
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赤井は大学時代にプロに転向。「浪速のロッキー」と呼ばれ、2度の世界戦に挑戦した。1988年に俳優デビューする前には同部でコーチも務めており、大きなショックを受けているという。
現在も近畿大の体育会全体と交流があり、廃部の一報は大学側から受けた。赤井は、所属事務所関係者に「(ボクシングに)愛情を持ってやってきた。せっかくの伝統が消えてしまう」と残念そうに漏らしたという。
近畿大広報部によると、廃部は今回の事件の重大性を重く受け止めての措置。18日の懲罰委員会で、逮捕された2人の部員を同日付で無期限停学処分とし、起訴されれば、退学も含めた処分を検討するという。同部の浜田吉治郎総監督も辞表を提出し、受理された。
近畿大ボクシング部は大学日本一を決める全日本大学王座決定戦で11度の優勝を誇る強豪。1968年メキシコ五輪バンタム級銅メダリストの故森岡栄治氏を輩出し、世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級王者の名城信男(六島)も所属した。部員は現在20人で、大半が東大阪市内のボクシング部合宿所で生活している。
一方、逮捕された2人は、被害者から所持金を奪った後、さらにコンビニの現金自動預払機(ATM)で現金を引き出させようとしていたことが、大阪府警刑事特別捜査隊への取材で分かった。
2人は「ヤクザや」「メンチを切った」などと因縁を付ける手口で犯行を繰り返していたとみられ、「ほかにも十数件やった」と供述。被害総額は約25万円とみられる。
大学スポーツ界では大麻事件などの不祥事が相次ぎ、今月初めには京都教育大で体育会の運動部員が集団準強姦容疑で逮捕される事件も起きた。