Prefab Sprout

Prefab Sproutもまたデビュー当時から評判が高く、今日まで素晴らしいアルバムを

発表し続けている素晴らしいグループです。

実は初期の耽美的ともいえる美しさにはまった私は”From Langley Park to Memphis"

あたりからちょっと違和感を感じていたのですが、その後の"Jordan the Come Back"

で、やっぱりパティ・マクアルーンの永遠の叙情性に再び心を奪われたのでした。

そして、2001年に届けられた"The Gunman and Other Stories"の素晴らしさに

もう何十回も聴きかえす日々が続いています。成熟と叙情性と美の奇跡的な融合世界に、さすがに      

「Prefabは初期がいい」と言っていた私も考えを改めざるおえなくなりました。

新譜が待ち遠しいこの頃です。

オリジナル・メンバーは、Paddy MacAloon (Vocal, Guitar, Keyboard)

                                          Wendy Smith (Vocal)                    

                                          Martin Macaloon (bass)

                                                        Neil Conti (Drums) (1stのDrumsはGraham Lant)

                              ですが、実際にはその後いろんなゲストが参加しています。

 

↑Prefab Sproutのデビューシングル"Lions in my own garden".(1983)。B面は"Radio Love".

Kitchenwareレコードからでています。今では"38 carat collection (2000)"で聴けるようになった名曲です。

 

SWOON(1984)

 

1.Don't Sing
2.Cue Fanfare
3.Green Isaac
4.Here On The Eerie
5.Cruel
6.Couldn't Bear To Be Special
7.I Never Play Basketball Now
8.Ghost Town Blues
9.Elegance
                10.Technique
                11.Green Isaac U

シンプルな楽曲の美しさに魅きつけられた1stアルバム。まだ1stシングル"Lions In My Own Garden"のような

インディー・バンドのチープな音作りなのですが、そこがまたいい。しかし、パティの歌詞は、あんまり英語力が

ない私でも読んでみると凄い。凡百のバンドではこんな歌詞は書けないだろうというくらい、不可思議で魅力的。

詩人パティの資質が生かされたアルバムになっています。(私のもう一方で大好きなAndrew WKの「セックスが

してぇー」とかの下らん歌詞の世界とは全く100%違う抒情詩です。まあ、ここでAndrewを思い出すこと自体変なのですが)

音に限って言えば、まだこの時点ではPrefabの実力が花として咲ききっていない感じです。やはりベスト盤にも収録された"Don't

Sing","Couldn't Bear to be Special", "Cruel"などが秀逸です。"Cruel"などは、エルヴィス・コステロが自分のソロ・ツアー

でカヴァーしたほど。

全くコマーシャルな香りがしないのは素晴らしいです。この後、Prefabはセールス的にも成功を収めていくのですから。。。

(評価85点、ベスト・トラック:1,5,6)

Steve McQueen(1985)

1. Faron Young
2. Bonny
3. Appetite
4. When Love Breaks Down
5. Goodbye Lucille No.1
6. Hallelujah
7. Moving The River
8. Horsin Around
9. Desire As
                10. Blueberry Pies
                11. When The Angels

 

初期Prefab Sproutを代表するこのアルバム。プロデューサーはトーマス・ドルビー。

日本でも発売当時かなり評判が高く、名曲揃いのアルバムです。

私のPrefabの中で2番目に大好きなアルバムでもあるし、このアルバムで、一気にPrefab Sproutは有名になってしまった

感があります。とにかく名曲の連続で、1stよりロックしてます。まだ1stではインディー・バンドの音だった。。。でもこの

アルバムでは"Bonny"でのパティの熱唱、"Appetite"の曲の素晴らしさ、"When Love Breaks Down"での

ヒットを狙った曲作り、"Goodbye Lucille No.1"の素晴らしさ、(、せつない、美しい、パティの歌唱力)、"Halleluja"の一瞬ジャジーな

感覚。。。全く私はとりこになりました。

B面では、A面より派手さやパワーで落ちますが、落ち着いた雰囲気で聴かせます。"Desire As"は80年代初期の香り

がぷんぷん。"Blueberry Pies"もちょっとジャズの雰囲気。"When The Angels"はパティが途中でいきなり「ぎゃーっ」

て絶叫するロック・ソング。是非聴いてみてくださいな。

(評価95点、ベスト・トラック:1,3,5)

From Langley Park to Menfis(1988) 邦題:ラングレー・パークからの挨拶状

1. The King Of Rock'N'Roll
2. Cars And Girls
3. I Remember That
4. Enchanted
5. Nightingales
6. Hey Manhattan!
7. Knock On Wood
8. The Golden Calf
9. Nancy (Let Your Hair Down For Me )
                10. The Venus Of The Soup Kitchen

1986年に初来日公演を果たしたPrefab Sproutの待望の1作。

"The King Of Rockn'Roll"や"Cars And Girls"で、明らかに変わったな、と思わせたこの3rdアルバム。

よりロック色が強くなり、このアルバムを「ネオアコ」とは呼べないのは誰の目にも明らか。

1,2,8などがプリファブ流のシンプルなロックン・ロールを聴ける貴重な瞬間です。(何故ならこの後の

Prefabは、結局自分たちの音世界を追及していく方向に至るからです。)

個人的には"Enchanted"や"Nightingales"がお気に入り。

売りにかかったことを感じさせるのが豪華なゲスト・メンバー。

"Enchanted"のハーモニーにスティービー・ワンダーが、"Hey Manhattan"にはギターのピート・タウンゼント。

なかなか音的にもゴージャスになったアルバムです。

(評価85点、ベスト・トラック:4,5,8)

 

Protest Songs(1989)

1. The World Awake
2. Life of Surprises
3. Horsechimes
4. Wicked Things
5. Dublin
6. Tiffanys
7. Diana
8. Talking Scarlet
9. 'Til the cows come home
                10.Pearly gates

このアルバムが1985年に録音されてから「お蔵入り」になっていたアルバムなのは有名な話ですが

それだけに初期のPrefab Sproutの簡素な音作りと曲の素晴らしさがストレートに伝わってくる

作品です。特に"Life Of Surprises"は、後のベスト盤の2枚両方に収録される、彼らの極上の

ポップ・ソング。しかし、これが名曲すぎて、後の曲がどうも地味に聞こえてしまいます。

同時期にオーバー・プロデュースとも言われるほどトーマス・ドルビーによって作りこまれた[Sreve MaQceen」と

比較すると、たった2週間で録音されたというこのアルバムは、全く「売れ線路線」の色気無し。

しかし、"Pearly gates"は心に沁みる名曲だと思います。

前作がかなり、セールスを意識した作品だったのに較べるとこの作品はかなりマニア向きかも。。。

(評価:75点、ベスト・トラック:,2,6,)

 

Jordan:The Comeback(1990)

1. Looking For Atlantis
2. Wild Horses
3. Machine Gun Ibiza
4. We Let The Stars Go
5. Carnival 2000
6. Jordan: The Comeback
7. Jesse James Symphony
8. Jesse James Bolero
9. Moon Dog
                10. All The World Loves Lovers
                11. All Boys Believe Anything
                                12. The Ice Maiden
                13. Paris Smith
                14. The Wedding March
                15. One Of The Broken
                16. Michael
                17. Mercy
                18 Scarlet Nights
                19. Doo Wop In Harlem

またまたトーマス・ドルビーのプロデュース。

不可思議なジャケも秀逸ですが、19曲のボリュームに負けない内容も凄い。前作"Protest Songs"は"Steve MacQueen"直後に

録音されたものですから実質的には2年半のブランクがあったことになります。"We Let The Stars Go"あたりでもう

感動の嵐です。続く"Carnival 2000"も名曲で、次作のベスト・アルバムにも入っているので必聴です。全体を通して聴くと

神とか、ヨルダン河とか、大天使ミカエルとかでてくる歌詞は相変わらずの難解さで凡人の私には今でも理解できませんが、

リラックスした雰囲気で、今までのPrefabの作品の中でベスト・テイクなのでは?

そのリラックスした感触があるから19曲聴いても疲れない。19曲テンション上がりっぱなしとか、緊張感みなぎっていたりしたら

疲れちゃうと思うんだけど。そのへんうまいこと、力が抜けてます。逆に言えば、"Steve MacQueen"ほどのインパクトが

ないってことなんですけど。。。

(評価:90点、ベスト:トラック:1,4,5)

 

A Life of Surprises:The Best of Prefab Sprout(1992)

1. The King Of Rock'N'Roll 
2. When Love Breaks Down
3. The Sound Of Crying
4. Faron Young  
5. Carnival 2000
6. Goodbye Lucille No.1
7. I Remember That  
8. Cruel   
9. Cars And Girls  
                 10. We Let The Stars Go   
                                 11. Life Of Surprises   
                                 12. Appetite   
                                 13. If You Don't Love Me
                                 14. Wild Horses   
                                 15. Hey Manhattan!  
                                 16. All The World Loves Lovers  

 

Prefab Sproutは、ベスト盤で聴くより、アルバムで聴くグループだと思います。

もちろん、ベスト盤に向いてるグループもあるのですが。。。

Prefabの曲にはいろんな色があるので、アルバムではそれなりに統一感があったのに、こんな風にヒット曲や

名曲がどんな意向かわからないけど、ぐちゃぐちゃの順番で並んでいると、ちょっとねぇ。。。

(あくまでも個人的な意見であり、Prefabを知るにはとても良いアルバムだと思います)

新曲”The Sound of Crying"と"If You Don't Love Me"が入っているのでまずは合格印の1枚です。

 

Andromeda Heights(1997)

1. Electric Guitars
2. A Prisoner Of The Past
3. The Mystery Of Love
4. Life's A Miracle
5. Anne Marie
6. Whoever You Are
7. Steal Your Thunder
8. Avenue Of Stars
9. Swans
                10. The Fifth Horseman
                                 11. Weightless
                                 12. Andromeda Heights

 

いや、まじで解散したと思ってました。(だって、ベスト盤を除けば7年ぶりでしょ。19歳だった私を26の女にしてしまう

この時の長さ。。。はっきり言って、彼らのこと忘れていました。)

ふとこのアルバムを久しぶりに聞いてみて、Echo & the Bunnymenの"Ocean Rain"を思い出しました。

PrefabとにはEcho & the Bunnymenには元々音的には何の共通点もない。(と思う。)

共通するのはこのアルバムの美しさとエコバニの"Ocean Rain"の美しさです。

私はEcho & the Bunnymenの初期をこよなく愛する人間であり、"Rescue"、"Do It Clean","The Back of Love"

"The Cutter"などの曲を非常に愛するのに"Killing Moon"や"Silver"はうーん、あんま。。。という人間です。

なぜ、ここで、エコバニの話が出てきたのか良く分かりませんが、あまりにも綺麗過ぎて好きに

なれないアルバムだということかも。。。決して駄作じゃないし、後は、聞いてみて個人で判断して貰うのが良いと思います。

これが100点、という人もいると思います。

(評価:70点、ベスト・トラック:1,12)

 

38 carat collection (2000)
 

 

Disc. 1

Disc. 2

1.Lions in My Own Garden 

1.Cue Fanfare

2.Don't Sing        

2.Cruel    

3.Couldn't Bear to Be Special  

3.Bonny

4.When Love Breaks Down           

4.Moving the River 

5.Faron Yang  

5.Desire As

6.Appetite   

6.Horsin' Around

7.Johnny Johnny   

7.Pearly Gates    

8.Cars & Girls              

8.'Til the Cows Come Home

9.The King of Rock'n Roll

9.Enchanted    

10.Hey Manhattan!

10.I Remember That

11.The Golden Calf

11.Nightingales

12.Looking for Atlantis 

12.Jordan:The comeback   

13.We Let The Stars Go

13.All The World Loves Lovers

14.Carnival 2000

14.Jesse James Bolero
15.The Sound Of Crying 15.Doo Wop In Harlem
16.If You Don't Love Me 16.Life's A Miracle
17.Life of Surprises 17.Swans
18.A Prisoner Of the Past 18.Andromeda Heights
19.Electric Guitars 19.Where The Heart Is

 

 

ベスト盤は2枚目。それですら3年ぶり。しかし、デビュー・シングル"Lions in My Own Garden"や英国ドラマの主題歌

"Where the Heart Is”が収録されているのはかなり評価できます!後の曲は全て既発表曲。とは言え、、ファンの私でも

Prefabのベストソング集を作るとなるとかなり悩んで時間がかかりそうですから、全て「選曲おまかせ」のこのアルバムは

購入して正解でした。ちょくちょく聴いてるし。時間のない方にはぴったりです。

初心者の方はまずこのアルバムから聞いてみることをお勧めします。

絶対、損しません。今は「Nice Price」で2枚組、2625円で売ってます。このヴォリュームでこの値段は安いよっ!!!

名曲が多いグループだけに全38曲のボリュームは、かなりテンションをハイにするので疲れます。

覚悟の上ではまってくださいな!

 

 

The Gunman and Other Stories(2001)

1.Cowboy Dreams      

2.Wild Card In The Park                                

3.I'm A Troubling Man       

4.The Streets of Laredo/Not Longs For This World        

5.Love Will Find Someone                      

6.Confield Ablaze                                

7.When You Get To Know Me Better                       

8.The Gunman

9.Blue Roses             

                10.Farmyard Cat

 

何と4年ぶりの新作。素晴らしい名作としてロック史上に残るであろうアルバムです。大絶賛!

バンジョーの音が新鮮な南部的なエッセンスをとりいれた"Cowboy Dreams", まさに名曲といえる

"Wild Card In The Park"、歌声とピアノが清冽なインパクトを与える"I'm A Travelling Man",

本当にしみじみとした情感が伝わってくる"When You Get To Know Me Better"。。。

でも全曲が素晴らしい。最高傑作と呼べるのではないでしょうか。

パディ・マクアルーンもまた、「売れる音」と「自らの魂の表現」との間で葛藤を続けてきたに違いありません。

そして、彼は、「自分の道」を選んだのです。どうでしょう。この自信に満ちた歌声と楽曲の数々。

西部劇や、そのサウンドトラックから影響を受けたとパティは語っていますがそんなことはどうでも良い。

パティの成熟と彼の叙情が作り上げたこの世界。Prefab Sproutというバンドが出そうとしていた

音を「成就」した瞬間の究極の音楽です。これだけ素晴らしい音楽を作り上げてしまった彼らがこの後

どういう道を歩いていくのか心配になってしまいますが、(それだけ完成しているということです)私は

これからも彼らを追い続けていくでしょう。

(評価100点、ベスト・トラック:1,2,7)