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解説:西松建設献金事件 民主総括に疑問符 「天の声」主張、衆院選に影響も

 大久保隆規被告を起訴した3月24日、東京地検は「看過し得ない重大かつ悪質な事案」と説明した。刑事訴訟法の規定で詳細は明らかにできず、この日の法廷が初めて説明責任を果たす場となった。

 検察側は冒頭陳述で、大久保被告が00年ごろから西松建設側と直接、ダミー団体を介した献金の詳細について打ち合わせを行い、2件の公共工事で西松建設が落札できるよう「天の声」を発したと主張した。(1)違法献金への直接関与(2)公共工事受注とのリンク--の2本柱といえる。

 一方、民主党の第三者委員会は今月10日、「隠ぺい目的もなく悪質性は低い」と結論づけた。検察側の主張を前提にすると「なぜ西松建設側と打ち合わせしたのに、献金はダミー団体から受け取ったのか」「天の声を発していても悪質性は低いのか」という疑問が浮かぶ。少なくとも総括の妥当性に再考の余地が生じたと言える。

 一定の説明責任を果たし、検察が形勢を逆転したと言えなくもない。ただ今回は闇献金をあぶり出したのでなく、帳簿に記載のある「表」の金を「もらった先を偽った」として事件化した。立件額も低く「検察らしからぬ事件」ではある。検察側は今後、さらに悪質性の立証が求められる。

 検察内部には国政選挙投開票日の3カ月前から政治家に関する捜査はストップする、との不文律がある。西松事件の着手はこのルールには抵触しないが、この日の公判は総選挙に近接しており影響は無視できない。国沢被告側が早期決着を求めた事情はあるにせよ、裁判所により慎重な対応を求める声も上がりそうだ。【小林直】

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 ■西松建設を巡る事件の経過■

《08年》

 6月 4日 特捜部が外為法違反容疑で西松本社捜索

11月19日 高原和彦元海外事業部副事業部長を業務上横領容疑で逮捕

12月 9日 高原元副事業部長を起訴

《09年》

 1月14日 藤巻恵次元副社長と高原元副事業部長ら4人を外為法違反容疑で逮捕

   20日 国沢幹雄前社長を同容疑で逮捕

 2月 3日 藤巻元副社長と高原元副事業部長を起訴

   10日 国沢前社長を起訴。法人としての西松建設を略式起訴

   24日 西松建設に罰金100万円の略式命令

 3月 3日 民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」会計責任者、大久保隆規公設第1秘書と国沢前社長らを政治資金規正法違反容疑で逮捕

   24日 大久保秘書と国沢前社長を起訴

 4月30日 自民党二階派が西松建設にダミー2団体名義でパーティー券を購入してもらったとして、市民団体が会計責任者らを政治資金規正法違反容疑で告発

 5月11日 小沢氏が代表辞任を表明

   15日 西松建設がダミー2団体の献金総額は約4億7800万円だったとする調査結果を公表

 6月 1日 二階派パーティー券問題で、特捜部が国沢前社長と二階派会計責任者らを不起訴処分

   16日 東京第3検察審査会が国沢前社長を起訴相当、二階派会計責任者らを不起訴不当と議決

 ※肩書は当時

毎日新聞 2009年6月19日 東京夕刊

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