『グローカル』642号より

朝鮮半島の平和と日朝国交正常化を目指す集い


 九月一七日、日朝平壌宣言から一年 朝鮮半島の平和と日朝国交正常化を目指す集いが東京で開かれた。二百人以上が集まった。
 主催者あいさつした渡辺健樹さん(日韓ネット)は、北朝鮮バッシングがあふれている日本の現状を批判。朝鮮半島を決して戦場にしてはならず、日本は誠意を持って植民地支配を清算しなければならないと強調した。
 松尾高志さん(大阪経済法科大客員研究員)の講演に続いて、西野瑠美子さん(VAWWネット・ジャパン共同代表)が講演。
 「ケリー訪朝と同じ時期に、平壌に滞在していた。板門店にも行って軍人にインタビューした。将校クラスの軍人は朝鮮戦争の亡父は十一人の身内が死亡したと言っていた。朝鮮半島には一千万人の離散家族がいる。朝鮮半島では戦争が終わっていない。
 日朝国交交渉で重要なのは歴史認識だ。日本の朝鮮植民地支配、北朝鮮側の主張では軍事占領=戦争状態に対する賠償が必要だ。日韓条約、平壌宣言では植民支配への賠償というのが曖昧になっている。北朝鮮の戦争被害者は日本に補償を求めている。北朝鮮では戦時性奴隷制被害者=元「慰安婦」百三十一人が名乗り出ていて、これまでに四十三名が証言してくれた。
 それが平壌宣言ではしごを外された状態になっている。この問題を日朝国交回復で解決していかなければならない。
 マスコミは拉致被害者家族が国連人権委員会で訴えたことを大々的に報道した。だが、日本が国連人権委員会から毎回、元「慰安婦」への補償を勧告されていることをマスコミはほとんど報道しない。六月には国連女性差別撤廃委員会にロビイングした。日本政府は勧告を無視し続けている。
 『拉致は許せない。しかし、日本の過去の問題も許せない』ではなく、『拉致は許せない。だからこそ、日本の過去の問題も許せない』と言うべきだ。
 平壌宣言が賠償問題を経済協力で終わらせたことは疑問だ。平壌宣言には日本の謝罪が盛り込まれている。経済協力方式にしたのは、平壌宣言での日本の謝罪が前提のはずだ。
 だが、平壌宣言での謝罪は、日本社会に何の影響も、価値観の転換ももたらしていない。日本では、一連の政治家の発言、連日の反北朝鮮報道が続いている。石原はテロを『良識ある日本人の不満と怒り』と発言した。石原は、著書の中で『カネを欲しくて名乗り出た』と戦時性奴隷制被害者の女性達を誹謗している。
 私達は原則に戻るべき」
 命どぅ宝ネットワークと実行委の有志が歌を披露。「ソウルから平壌まで」「花」など歌った。
 富山洋子さん(ワールド・ピース・ナウ実行委)、異議あり!日韓自由貿易協定ネットワークに続いて、北朝鮮人道支援ネットワークが発言。九九年に発足した同ネットは平壌の孤児院に粉ミルクを送る運動をしている。
 「日本の人道支援は世界的に見ても少額。九・一七後、状況は更に悪化した。制裁で倒れるのは政権ではなく社会的弱者。沈黙するかどうかが問われている」
 途中、ピースナウ・コリア・ジャパンの呼びかけにより明治公園で行われている人文字の実況が入った。七百人の参加で日本と在日コリアンの若者による人文字が成功したことが報告された。
 反天皇制運動連絡会に続いて、在日韓国民主統一連合の宋世一さんが発言。戦争ができる国家づくりを批判。話し合いを通じた平和的解決を訴えた。
 ピースナウ・コリア・ジャパン、沖縄満月祭り実行委員会のメッセージが紹介され、最後に日朝国交正常化を求める集会アピールを採択した。


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