2009年6月13日15時0分
韓国野球委員会(KBO)の李辰炯広報部長は「五輪やWBCを観戦したファンが韓国野球の水準を見直した」。阪急で活躍しSKで3シーズン目を迎えた福原峰夫守備コーチ(51)も「ゴロの捕り方など教えられることも多い。スピードとパワーもある」と技術面の評価も上々だ。
「人気」を支える「強さ」の背景は何か。
一つはスポーツ特待生を養成する政府認定の「エリートスポーツ制度」だ。特定のスポーツで才能を認められた学生は、勉強よりもスポーツに専念することが認められる。高校野球の場合、全国に2159校あるうち、アマ野球を統括する大韓野球協会に選手を登録しているのは53校だけ。日本の高校野球とは大きな違いで、アマとはいえ、事実上のプロ予備軍だ。
同制度は60年代、朴正熙(パク・チョンヒ)政権が国家統合に利用しようとスポーツ振興を訴えたが、国家財政が乏しいため断念し、エリート選手の選抜育成に集中したのが発端。少数のエリートを最新の施設でたっぷり鍛える環境が整った。同協会担当者は「有力な選手を体系的に育成できる」とし、KBOも「プロ選手のほぼ全員がこの制度出身だ」と認める。
プロ入り後、選手のやる気を促す「アメ」にも事欠かない。国際大会での好成績の裏には「スポーツで五輪の銅以上かアジア大会の金なら兵役免除」という特典もある。選手も発奮するが、チームの柱を兵役に出したくない各球団も、国家代表チームに積極的に選手を送り出す。
金銭面でも優遇される。KBOは、北京五輪の代表選手に1人当たり毎月100万ウォン(約7万8千円)の生涯保障金を支給、今回のWBCでも「相当額」が支給される。