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西松建設:小沢事務所が「天の声」 前社長初公判

西松建設の政治資金規正法違反事件の初公判で東京地裁に入る国沢幹雄被告=東京・霞が関で2009年6月19日午前9時半、長谷川直亮撮影
西松建設の政治資金規正法違反事件の初公判で東京地裁に入る国沢幹雄被告=東京・霞が関で2009年6月19日午前9時半、長谷川直亮撮影

 準大手ゼネコン「西松建設」を巡る事件で、政治資金規正法違反と外為法違反に問われた前社長、国沢幹雄被告(70)は19日、東京地裁(山口雅高裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で、西松が95年以降、民主党の小沢一郎前代表(現・代表代行)側に多額の献金をし、小沢事務所から「天の声」を得て、岩手・秋田両県で4件(落札額計122億7000万円)の公共工事を共同企業体(JV)で受注したと指摘した。

 ◇起訴内容認め7月にも判決

 検察側は、97~04年に西松側から小沢氏側に年間2500万円を献金する枠組みが設けられていたなどとも主張した。これによると、95~06年の献金総額は約2億6000万円と推計される。

 併合審理された元副社長、藤巻恵次被告(68)も外為法違反の起訴内容を認めた。即日結審し7月にも判決が言い渡される見通し。一方、政治資金規正法違反で起訴された小沢前代表の公設第1秘書、大久保隆規被告(48)の初公判は秋にも開かれ、全面的に争う方針を固めている。

 検察側は冒頭陳述で、95年施行の改正政治資金規正法で献金者の公開対象が100万円超から5万円超に大幅に引き下げられたため、国沢被告が当時の社長に対処を指示され、ダミー政治団体を設立したと指摘。一方、岩手県や秋田県の公共工事では、ゼネコン各社の談合による本命業者選定に、小沢事務所の意向が影響力を及ぼしていたと主張。国沢被告は95年から1000万円超の献金を始めたと指摘。97年以降は小沢事務所の示唆で、西松建設から1500万円、下請け業者を通じ1000万円の年間計2500万円を献金すると申し合わせたとした。00年ごろからは大久保被告が献金を巡る交渉や、「天の声」を出す業務を担当。献金名義や額の割り振り案を記した一覧表を西松側に提示するなどしたと述べた。

 検察側は法廷で、談合仕切り役の鹿島の担当者が「(岩手県の工事は)西松でよろしいですかと尋ねると、大久保被告が『結構です』と応じた」と証言したり、西松幹部が「大久保被告に『西松にしてやる』と言われた」と話している調書を読み上げた。【安高晋】

 ◇「西松からと認識」調書で大久保被告

 検察側は大久保被告が「2団体からの献金が実際は西松建設からの献金と知っていました」と供述している調書を朗読した。証拠の概要を読み上げる「要旨の告知」と呼ばれる手続きで、政治資金規正法違反容疑を認めたとも評価できる内容。

 調書によると、西松建設の部長が06年「今まで小沢先生を支援してきたけど、もう限界です。献金を打ち切らせてください」と切り出した。大久保被告は「経営が厳しいと認識しておりましたので『あい分かりました』と了承しました。そのうえで社交辞令として『業績が回復したらまたよろしくお願いします』と伝えた」という。

 大久保被告は「献金が部長の判断ではなく会社として行われ、しかるべき人間の決裁を経て献金を得ていると認識しておりました」とも供述しているという。【伊藤直孝】

毎日新聞 2009年6月19日 10時23分(最終更新 6月19日 13時13分)

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