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※=外部スタッフ

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カルチャー

【宇野常寛×荻上チキ】


「生きた"小さなメディア"を作れ」若手評論家が語る「新聞・雑誌の死後」(後編)

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右は宇野氏の「PLANETS vo.l6 お笑い批
評宣言」、左は荻上氏が編纂した『日本を
変える「知」』。それぞれ、若い書き手が複
数参加している。

■前編はこちらから。

 ブログも新聞もテレビもすべてフラットに扱われることになったとき、確かに既存のメディア企業はビジネスプランの見直しを求められる。そして今は、上手に対応できてないから嘲笑されてもいる。でも逆に、彼らが適切なノウハウを習得すれば、罵倒にタダノリしてるだけの草の根ブロガーなんか吹き飛ぶでしょ。その時にはメディア企業として「強い」ほうが勝つわけだから。既存のメディアをバカにするだけで、それを最適化する可能性を放棄してしまうのも、違うしね。

 『新世紀メディア論』がいいのは、「誰もが発信者になるから、メディアは素人のものになったんだ」みたいな言説に冷静に対応しているところだよね。今、インディーズのイベントを企画すると大体、コミックマーケットになるか、コミティアになるか、デザインフェスタになるかの三択。コミケはそれ自体が産業として成立する一大祭典で、コミティアは産業としては小さいけれど、メタメディアとして機能する。要するに、出版社の人間が青田買いにやってくることで業界に影響を与えることもできる。一方、デザフェスは単なる社会福祉で、表現難民のガス抜き装置。たとえば「文学フリマ」はせめてコミティアを目指すべきだったのに、デザフェスになろうとしてる。当初の文フリの構想は、芥川賞にノミネートされるかされないかぐらいの、数千人規模の読者がいる人たちにポコポコ書かせるものだったはずなのに、ただの自分探し系イベントになってしまっている。

 なんでこの話をしたかというと、僕らが言いたいのは「インディーズ頑張ろうよ」とか「小さなメディアをコツコツ作ろうよ」みたいなことじゃなくて、もっとちゃんと業界に影響を与えて、お金も回していくしコンテンツの成果も上げていく、具体的な成果が期待できるものとして「小さなメディア」のメンテナンスが必要だということなんですよね。強調しておかないと、この話は"デザフェス野郎の自己啓発"として聞かれる可能性がある。

 メディアというのは、それ自体がある種のフェティッシュを招くものですからね。手段を目的化しちゃう。誰が何をするためにそのメディアを使っていくのか、課題設定をした上でメディア運営をしないといけない。それがないとただ単に「メディア楽しいねー」で終了。

必要なのは"編集知"ハブメディアで分野を横断

 今後の自分の活動について言うと、書き手としてだけで食べていく意欲は全然わかないなぁ。

 それは僕もそうだね。

 言説空間をプロデュースすることが目的なら、自分が書く以外にも方法はたくさんあるからね。たとえば今の僕は、経済学についてはほとんど素人だから、自分より経済学に詳しくて信頼できる人に書いてもらう。他領域でもそう。必要ある時だけ書く。おそらく今は、異なる論者や領域を並べて、対話をさせ、読者に判断させるためのハブメディアの再構築のほうが重要なんだ。今までその機能を果たしていた雑誌が成立しないのであれば、雑誌を作り直すという選択肢もあるし、それ以外の選択肢もあるはず。

 そのチキさんにとっての経済学が、僕にとっては5月31日に刊行した「PLANETS vo l・6」で組んだ「お笑い特集」です。だから今回は、「日刊サイゾー」でもおなじみのラリー遠田さんを僕なりに「生かす」組み方を考えたんです。彼は「松本人志以降」の業界や表現の変化をまとめようとしていて、それは小林信彦から80年代の漫才ブームまでの「お笑い批評」、あるいは宮沢章夫さんとかシティーボーイズ系のサブカル語りとはどの程度接続できるのかは未知数だけど、まずはこの肥大する今の「お笑い」空間を整理したいという気概を買っているわけですね。遠田さんは、いい書き手をネットから拾ってくることもできる人ですしね。このネットが当たり前になった時代では、それができるかどうかで差がついてくるから。バカな編集者は飲み会に混じっていたワナビーをすぐに使っちゃうけれど、そういうのはほぼ使い物にならない。

「PLANETS」に関しては、いま、いくつかの版元と連携して増刊号や総集編を出すことを考えています。放送やイベント系の企画も進めてますよ。

 「PLANETS」ブランドを育てていくということですね。僕も今は、「シノドス」のブランディングとマネタイズ化を進めてる。現時点ではセミナーとメルマガと書籍の3本軸になっていて、それらの黒字化はできてきたので、次は携帯向けサイト、フリーペーパー、ニュースサイトの3つを考えてる。役割に応じた複数のメディアを使い分けつつ、効果的な循環を作り出したい。セミナーの模様は動画で撮影しているんだけど、それもコンテンツとしていずれ何かに使えないか検討してる。まさにワンソース・マルチユースの精神(笑)。

 で、そのニュースサイトの編集長を僕がやるんだけど(笑)。「いま、これがおもしろい」というものを並べる一種のセレクトショップであり、かつサブカルチャーの全体性も仮構できるような、そういうサイトを作ることでいろいろと底上げを図ろうと考えています。

 エンタメ系という、ある種の最大マイノリティへのコンシェルジュサービスだよね。

 かつての総合誌とも違う、ウェブ時代に合わせたちょっと変わった形のニュースサイトになると思うので、「サイゾー」読者も、楽しみにしていてください。
(構成=河村信/「サイゾー」7月号より)

宇野常寛(うの・つねひろ)
1978年生まれ。編集者、評論家。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)がある。本誌今月号(2009年7月号) より、新連載「現代用語の『応用』知識」がスタート。

荻上チキ(おぎうえ・ちき)
1981年生まれ。編集者、評論家。著書に『ウェブ炎上』(ちくま新書)『12歳からのインターネット』(ミシマ社)など。現在、「SPA!」(扶桑社)にて「荻上チキのトラバルメーカー」を隔週連載中。


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2009.06.18 木   はてなブックマーク BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク livedoor クリップ みんトピに投稿 newsing it! この記事をChoix! 友達に知らせる