此の作品に関しては語るとかなり長く為りそうなのですが・・・
岩井俊二作、
『リリイ・シュシュのすべて』。
私が此の作品と出逢ったのは、去年の夏、学校に行って居ない時でした。
ビデオ屋さんで何となく手に取って観て見たのですが、とても衝撃的な作品でした。
兎に角リアル。
虐めや売春に塗れた日々を送る中学二年生の少年や少女が、リリイ・シュシュと云うカリスマ的な歌手の存在の中だけに居場所を感じ、生きる。
私は初め、此のリリイ・シュシュと云う歌手は実在で、物語の中で描かれている一連の事件も、実際に起こったものなのだと信じ込んで居ました。
其の位、リアルなのです。
そして此の作品の中のリリイ・シュシュを演じていらしたのが、現在活躍中の歌手、salyu。
そもそも去年観た映画の原作を今更読もうと思ったのには、彼女の存在が影響して居ます。
映画を観た時から彼女の声に魅せられ、探し回って居たCDが先日手に入ったのでした。
リリイ・シュシュ名義でリリースされた最初で最後のアルバム、
『呼吸』。
期待通りの、魂の篭りまくった素晴らしい一枚でした。
此れを聴くと、更に深く『リリイ・シュシュのすべて』の世界を知らねば気が済まなく為り、原作を読むに至ったのです。
小説・映画・音楽、どれを取っても、恐ろしく細かく作りこまれた、素晴らしい作品です。
『呼吸』の一曲目のイントロが流れ始める瞬間の、じんわりとインクの様な、血液の様なものが滲む感覚。
其れが物語の総てを表して居る様に思います。