後継者問題:日本メディアが金正日ファミリーを追うワケ
北朝鮮が日本人拉致を認めて以降本格化
核実験などで危機意識が高まったことも背景に
16日、スイスの首都ベルンのリーベフェルト地区にある閑静な住宅街。ここ数日の間、あちこちで日本の記者たちの姿を見かける。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男・正雲(ジョンウン)氏(26)が、1998年から2000年までの間、この地区の学校に通っていたことが明らかになったためだ。
日本の取材陣は、正雲氏が通っていた公立中学校の前や、当時の親友とされるジョアオ・ミカエロさん(ポルトガル出身)の自宅前などに陣取り、当時の担任教師やミカエロさんの家族が出てくるのを待っていた。記者がここを訪れるや、日本のあるテレビ局の取材陣はうれしそうな表情で「新しい情報はないのか」「まだ宿題(正雲氏の写真の入手)ができていないため、やきもきしている」などと話した。ミカエロさんの母親は記者に対し、「日本の記者たちが執拗に呼び鈴を押し続けるため、ノイローゼになりそうだ。外にもなかなか出られない」と訴えた。
日本のメディアはマカオや北京でも、金総書記の長男・正男(ジョンナム)氏(38)を追跡している。最近ではテレビ局2社が正男氏へのインタビューに成功した。昨年10月には、正男氏がパリで金総書記の治療を担当する医師に会うため、病院に入っていく様子を、日本のテレビ局が撮影している。
これまでに確認された正雲氏の写真3枚も、すべて日本のメディアが入手したものだ。11歳のときの写真は、金総書記の専属料理人だった藤本健二氏が北朝鮮から持ち出したものだった。毎日新聞は今月14日、ベルンの公立中学校に在学中(16歳)だったころの写真を公開し、また読売新聞も17日、ベルンで留学生活を送っていた当時の写真を公開した。
日本のメディアが「金正日ファミリー」を執拗に追うようになったのは2002年からだ。当時、小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問した際、北朝鮮側は日本人を拉致したことを認めた。これにより、日本では反北朝鮮感情が強まり、「金正日ファミリー」に対する関心も高まったのだ。
日本のある新聞記者は「北朝鮮がミサイルの発射や核実験を相次いで強行したことで、日本人の安全保障や危機に対する意識が高まったことも理由にある。金正日ファミリーの動静を把握することが、取材力を評価する基準になっているほどだ」と話している。
しかし、誤報や推測に基づく報道も少なくない。テレビ朝日が、韓国のあるインターネット・コミュニティー運営者の写真を「正雲氏の最近の写真」と報じたのがその代表例だ。また、正雲氏が中国の胡錦濤国家主席と会談したという説や、正男氏の暗殺が計画されているという説など、事実ではない可能性が高い報道も相次いでいる。また、金総書記はすでに死亡しており、現在メディアに登場する金総書記は「影武者」だという主張も出ている。さらに、北朝鮮の情報を売りつけるブローカーも存在している。
中国共産党機関紙・人民日報の姉妹紙「環球時報」は17日、朝日新聞が16日付で「正雲氏が胡主席に会った」と報じたことに対し、共産党中央学校の張教授の言葉を引用し、「中国政府が認めるか否かを試そうと、煙幕弾を発射している」と評した。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
ベルン=金洪秀(キム・ホンス)特派員
- 後継者問題:金正雲氏「親父は金正日だ」(上) 2009/06/18 11:28:16
- 後継者問題:金正雲氏「親父は金正日だ」(下) 2009/06/18 11:28:37
- 後継者問題:日本メディアが金正日ファミリーを追うワケ 2009/06/18 11:30:33
- 後継者問題:金正雲氏「親父は金正日だ」(下) 2009/06/18 11:28:37
- 後継者問題:金正雲氏「親父は金正日だ」(上)
2009/06/18 11:28:16
- 米軍幹部「北のミサイル、3-5年で米本土に到達」 2009/06/18 09:56:44
- 核問題:米国が5カ国を代表、北と交渉か(下) 2009/06/18 08:44:28
- 核問題:米国が5カ国を代表、北と交渉か(上) 2009/06/18 08:43:55
- 北朝鮮の警備艇1隻、東海NLLを侵犯
2009/06/18 08:19:41
- 安保理制裁に反発、北朝鮮で大規模市民集会 2009/06/17 10:39:15
- 北朝鮮軍の最高実力者・金永春氏が訪中 2009/06/17 10:37:48
- 核問題:「中国の影響力は限定的」 2009/06/17 10:16:17