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「治療怠り脳梗塞誘発」 岐阜県に7900万円賠償命令

2009年6月18日23時44分

 岐阜県総合医療センター(岐阜市)の医師の過失で脳梗塞(こうそく)を発症し、重い障害が残ったとして、同県羽島市の男性(59)が県に約1億5200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、岐阜地裁であった。野村高弘裁判長は「十分な治療を怠った過失があり、脳梗塞が誘発された」と述べ、約7900万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は03年10月29日、呼吸困難を訴えて同センター(当時は県立岐阜病院)に入院。不整脈である心房細動と診断され、脈拍を正常に戻すため心臓に電気を流す除細動の治療を受けた。男性が希望したため、主治医が11月10日に退院させたが、翌11日に倒れ、右半身不随などの障害が残った。

 野村裁判長は判決で「主治医が退院によるリスクを男性に十分説明していたとは言えない」と指摘。退院で除細動後の投薬療法が不十分になった過失と脳梗塞の発症との因果関係を認めた。賠償額については「男性は労働能力は喪失したが、食事や入浴は1人でできる」と認定した。

 同センターの渡辺佐知郎院長は「原告には、改めて大変気の毒だと考えている。県の主張が認められず残念だが、判決文を精読した上で対応を検討する」とコメントした。

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