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自殺:50人の人生紹介 北海道で初のパネル展

 働く中でうつ病になって自殺した50人の人生を紹介するパネル展「私の中で今、生きているあなた」が18日、札幌市中央区の北海道立道民活動センターで始まった。大阪市で休職者の支援などを行っているNPO「働く者のメンタルヘルス相談室」が06年から、労働環境や自殺の問題を分かりやすく伝えたいと始めたもの。道内では開催は初めて。

 会場には、生前の写真や経歴、遺書などが展示されており、労働者が自殺に追い込まれる過程や家族の思いを知ることができる。

 展示されている一人で、宮城県警の警察官だった田中健一さん(当時34歳)は05年11月に自殺した。その半年前の5月に、3人が亡くなった交通死亡事故の責任者になり、事故発生から4カ月半の間、1日も休みがなかった。吐き気やめまいが始まり、10月からはうつ病で自宅療養を始めたが、自殺の背景には職場のいじめもあったという。母親の幸子さん(60)は「社会全体がもっと優しくなってほしい。優しい言葉があれば。それだけで違う」と話す。

 自殺防止に取り組むNPO「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)がまとめた被雇用者自殺数(04~06年)を同相談室が集計したデータによると、道は東京に次ぎ2番目に自殺者数が多い。全国の警察署別被雇用者自殺数では、苫小牧署と札幌北署がそれぞれ4位と5位に入っている。

 主催NPOの伊福達彦理事長は「過労でうつ病になる人が非常に多い。働く中にうつにさせる要因があり、それが自殺を呼んでいる」と関連性を指摘し、「現実を知って欲しい」と話している。入場無料。20日まで。【中川紗矢子】

毎日新聞 2009年6月18日 22時40分

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