安藤梢選手インタビュー
ロンドンオリンピックへ向けて新たなスタートを切ったなでしこジャパン。この一年は女子の国際大会はないが、それぞれが個々のレベルアップを目指してトレーニングに励んでいる。
今回は、中堅選手からベテラン選手へと成長しつつある安藤梢選手に話を聞いた。
Q5月に行われた合宿では新しいメンバーも招集され、いい緊張感を持って臨めたのではないでしょうか?
安藤梢選手(以下、安藤)―そうですね。新型インフルエンザの影響で楽しみにしていたアメリカやカナダと対戦できなかったのはとても残念ですが、すぐに気持ちを切り替えて臨めたのでよかったと思います。
Q今回はFWとして安藤選手の名前があったので驚きました。
安藤―そうですね。私としてはちょっと嬉しかったんです(笑)。FWは高校生の時と、代表でちょっと関わっただけなんですけど、やりやすいです。あの頃は、DFの動きとかもわからなかったけど、これまでにDFやサイドハーフ、トップ下といろんなポジションを経験したので、今あらためてFWというポジションについてみて、以前より確実にプレーの幅が広がっていると感じます。
Qサイドバックにコンバートされた時はかなり苦戦しているように見えましたが、FWは違和感なく、馴染んでますよね?
安藤―サイドバックは・・・キツかったですね(苦笑)。なんというか、イメージ通りに動くことが本当に難しい。でもそこを経験したからこそ、今は相手のイヤなところもわかるし、味方がどう動いて欲しいのかもわかるんだと思います。
Q新しくなでしこジャパンが始動して2回目となる合宿でしたが、何か自分の中で変化はありますか?
安藤―以前とはメンバーも違いますし、ね。でも一番変わったのは、年上のメンバーが今は山郷さんだけなんですよ。自分もそんな年になったのかと・・・これまでからは想像つかないですよね(笑)。
Q安藤選手もそんなに前に出ていくタイプではないので、キャラクターということもあるかもしれませんが、確かに不思議な感じはしますね。
安藤―そうなんですよ。でも、いつまでも“中堅”って言ってられないですから。これでも、意見とかは自分から言うようにしてるんです。特に今回はなかなかグッと引っ張っていくタイプの人が少ないのでそれぞれが自発的に行動していますね。
Qこの一年は大会がない。だからこそ個のレベルアップは重要だと思いますが、モチベーション維持など難しいことはありますか?
安藤―大会がないからという点でモチベーションが保てないということはないです。むしろ、危機感の方があるんですよ。大会がないからこそ、しっかりしないと来年良い結果を残すことができなくなるんじゃないかって。でも自チームでポジション争いが激しいという環境にも助けられているせいか、一人一人がレベルアップすることが大切なんだって常に思いながらプレーしています。
Q合宿中にはJFAアカデミーの男子とのテストマッチもありました。おそらく、国内で最高峰のトレーニングを受けているチームとの対戦でしたが?
安藤―普段、感じているプレッシャーとは全く違いました。判断もスピードも速いし、パスやシュート、技術の質が高い。私たちが経験するPlenusなでしこリーグではないものです。いってみれば、ドイツやアメリカといったチームもこういう当たり方をしますし、この段階で改めてこのスピード感や当たりの強さを感じ取ることができたのはよかったです。同時にもっと危機感を持ってトレーニングに励まないと、と考えさせられもしました。
Q最後に今の身近な目標を聞かせてもらえますか?
安藤―まずは自分自身がしっかりとレベルアップすること。“判断の速さ”が欲しいですね。ドリブルをするにしても、パスを出すにしても受けるにしても、国際大会の決勝トーナメントで上に行けば行くほどプレッシャーは速く、強くなります。そんなトップ選手たちの上を行くほどの判断の速さが必要。北京オリンピックでも思ったことですが、サイドハーフがどうしても守備に下がってしまう。今後世界に切り込んでいくためには、いかに前に出て行くかが勝負。そのためにもボールを奪った瞬間からの判断のスピードを上げていきたいと思います。
文/早草紀子