OSPFのサンプルネットワーク
次のとてもシンプルなネットワークで、CiscoルータでのOSPFの基本的な設定を行ってみましょう。
OSPFの基本設定のステップ
OSPFの基本的な設定はとてもシンプルで、次の2つのステップによって行われます。
- OSPFルーティングプロセスの有効化
- OSPFを有効にするインタフェースを指定する
この2つのステップについて、順に解説します。
1.OSPFルーティングプロセスの有効化
OSPFを有効にする、すなわちOSPFルーティングプロセスを有効にするには、グローバルコンフィグレーションモードで次のコマンドを入力します。
(config)#router ospf [process-number] (config-router)#
これにより、OSPFルーティングプロセスが有効になり、OSPFの設定を行うモードに移行します。
プロセス番号は、1~65535の任意の値です。プロセス番号はルータローカルな値なので、他のルータと同じ番号を使う必要はありません。ですが、設定のわかりやすさを保つために、すべてのルータで共通のプロセス番号を使うことが多いです。
2.OSPFを有効にするインタフェースを指定する
OSPFを有効にするインタフェースを指定するには、OSPFのルータコンフィグレーションモードでnetworkコマンドを使います。networkコマンドの構文は次の通りです。
(config)#router ospf [process-number] (config-router)#network [address] [wildcard-mask] area [area-id]
ワイルドカードマスクの指定によって、1つのnetworkコマンドで複数のインタフェースでOSPFを有効にし、エリアに所属させることができます。
たとえば、
(config-router)#network 192.168.0.0 0.0.255.255 area 0
と設定すれば、「192.168.x.x(xは任意の数字)」のIPアドレスのインタフェースでOSPFが有効になり、そのインタフェースはエリア0に所属することになります。
1つのnetworkコマンドで複数のインタフェースを指定すれば、コマンドの入力は少なくなります。ですが、後からインタフェースを追加したときなど、意図しないインタフェースでOSPFが有効になってしまうことがあるので、注意してください。
なお、
(config-router)#network 0.0.0.0 255.255.255.255 area 0
とすると、ルータのすべてのインタフェースでOSPFが有効になり、エリア0に所属します。
OSPFサンプルネットワークでの各ルータの設定
では、サンプルネットワークのルータを設定してみましょう。すべてのルータでプロセス番号を1にし、ルータのインタフェースごとにnetworkコマンドを入力することにします。また、すべてのインタフェースはエリア0に所属します。
R1のOSPF基本設定
1.R1(config)#router ospf 1 2.R1(config-router)#network 192.168.0.1 0.0.0.0 area 0 3.R1(config-router)#network 192.168.12.0 0.0.0.3 area 0
1行目でR1においてプロセス番号1でOSPFルーティングプロセスを起動しています。そして、2行目のnetworkコマンドでLoopback0インタフェース(192.168.0.1/32)のインタフェースでOSPFを有効にし、エリア0に所属させています。3行目のnetworkコマンドは、Serial1インタフェース(192.168.12.1/30)でOSPFを有効にし、エリア0に所属させている設定です。また、3行目のnetoworkコマンドのワイルドカードマスクは、Serial1インタフェースのサブネットマスクを反映させています。ですが、必ずしもそのように設定しなければいけないわけではありません。Serial1インタフェースでOSPFを有効にするならば、
R1(config-router)#network 192.168.12.0 0.0.0.255 area 0
または、
R1(config-router)#network 192.168.12.1 0.0.0.0 area 0
という設定でも可能です。同じことは、Loopbak0インタフェースでもいえます。 同様に考えて、R2、R3でのOSPFの設定は以下の通りです。
R2のOSPF基本設定
R2(config)#router ospf 1 R2(config-router)#network 192.168.0.2 0.0.0.0 area 0 R2(config-router)#network 192.168.12.0 0.0.0.3 area 0 R2(config-router)#network 192.168.23.0 0.0.0.255 area 0
R3のOSPF基本設定
R3(config)#router ospf 1 R3(config-router)#network 192.168.0.3 0.0.0.0 area 0 R3(config-router)#network 192.168.23.0 0.0.0.255 area 0
これで、シングルエリアのOSPFの基本的な設定は完了です。シングルエリアで、なおかつPoint-to-pointやイーサネットのようなブロードキャストマルチアクセスのネットワークでは、OSPFの設定はとてもシンプルです。
更にOSPFを究めるなら!Gene作成の『究めるOSPF』がお勧め!詳細はこちら↓
http://www.n-study.com/library/2005/11/ccnaccnpccieosp.html