ニュース特報

2009年06月16日号

【割引郵便制度悪用事件】
大阪地検特捜部は事件の原点に迫れるか、本誌編集長のコメント


●読売新聞配信記事
 読売新聞16日14時47分、「偽証明書作成、元・厚労省部長宅など捜索」という見出しで次の記事を配信した。
<大阪地検特捜部は16日、国会議員から凛の会への対応を電話で依頼されたとする厚労省元障害保健福祉部長の、東京都内の自宅や現在の勤務先を関連先として捜索した。

 元部長は06年9月に同省を退職。現在、同省所管の独立行政法人「福祉医療機構」(東京都港区)の理事を務めている。特捜部は先月28日にも、同機構を捜索している。

 関係者によると、この議員とは、元部長が旧厚生省の課長を務めていた1995〜96年頃、担当する政策を巡って知り合い、付き合いを重ねたという。

 特捜部の任意聴取に対し、元部長は、将来的に法案が国会に提出されれば、この議員が賛成してくれると思い、凛の会への対応を村木容疑者に指示したとする趣旨の供述をしているという。

 しかし、元部長は「不正までは指示していない」と関与を否定したとされる。>

最終更新:6月16日14時47分
●本誌編集長のコメント
「私は、凛の会事件の原点は「国会議員が厚労省元障害保健福祉部長にかけた1本の電話」だったと思う。元部長は「不正までは指示していない」と関与を否定しているというが、責任逃れの詭弁だ。

 頼んだ国会議員が1番悪いのはいうまでもないが、頼まれた部長が議員を訪問し、怒鳴られても、ののしられても、丁重に断るのがあるべき姿だ。
 事務次官まで上り詰めた人の多くは国会議員からの無理な依頼に対し、部下に押し付けるのは下の下、知恵を絞り、中には土下座までして断っているのだ。これが上司のあるべき姿だ。
 官僚にこんな依頼をする国会議員はそう多くはいない。だから、誰かは簡単に分かる。

 部長から指示された村木課長、実務を担当した上村係長は「実態のない申請者に便宜を計り、部長の指示に応えるには偽の障害者団体証明書を作る」以外にないではないか。
 勿論、前述したように、怒鳴られても、ののしられても断る人はいるが、数は少ない。ほとんどが国会議員や上司との衝突を避けるからだ。

 私の体験から推理すれば「村木、上村の家族や関係者は泣いている。これからも泣く」はずだ。私は2人や関係者を泣かせるだけで捜査を終わらせるのは公平な刑罰権の行使とはいえないと思う。国会議員は部長に対し、部長は課長、課長は係長に命令、指示権限を持つ絶対的な優越支配者だ。辞職覚悟でないと逆らえないのである。

 大阪地検特捜部に「凛の会事件の原点はどこにあったのか。真相を国民に明らかにする」ことを強く期待したい」

戻る