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163-衆-青少年問題に関する特別…-4号 平成17年12月16日



 警察庁生活安全局長 竹花豊:「また、最後に、地域の総合力で犯罪を抑止すべきだということについての警察庁の考え方についてでございますけれども、従来、警察がやや思い込んで、自分たちが治安の責任を負うんだということで、ややひとりよがりの側面もあったというふうに私ども考えておりまして、多くの地方公共団体、あるいは学校の現場、そして地域の人々とともになりまして犯罪抑止対策を講じていくことが非常に重要で、今後もさらに拡充していく必要があると考えておりますので、今後もその方向で対処してまいりたいと考えております。」との発言あり。

163-衆-青少年問題に関する特別…-4号 平成17年12月16日

平成十七年十二月十六日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 近藤 昭一君
   理事 岡下 信子君 理事 菅原 一秀君
   理事 谷川 弥一君 理事 松島みどり君
   理事 小宮山洋子君 理事 田嶋  要君
   理事 池坊 保子君
      上野賢一郎君    大塚 高司君
      川条 志嘉君    北川 知克君
      土屋 正忠君    葉梨 康弘君
      萩生田光一君    福岡 資麿君
      松本 洋平君    山内 康一君
      泉  健太君    郡  和子君
      横山 北斗君    高木美智代君
      石井 郁子君    保坂 展人君
    …………………………………
   国務大臣
   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君
   内閣府副大臣       山口 泰明君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君
   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君
    ―――――――――――――
委員の異動
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 青少年問題に関する件(子どもの安全対策について)
     ――――◇―――――

○近藤委員長 これより会議を開きます。
    ―――――――――――――

○近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土屋正忠君。

○土屋(正)委員 おはようございます。
 子供の安全をめぐって、幾つかの事件が起きておりますが、逐次質問をさせていただきたいと存じます。
 私は、武蔵野市長として六期二十二年務めました。その前は、市会議員として二期八年、また市の職員として、合計四十年間地域社会にあって、地域社会の変化を見てまいったわけであります。このような中で、地域社会が極めてドラスチックな変化をしてきている、このように考えております。
 こういう中で、今回の一連の事件が起こったわけでありますが、大きく分けて三つの質問を申し上げたいと存じます。一つは、学校及び通学路における緊急安全対策について、二点目は、性犯罪防止策の現状と強化について、また三点目として、健全な心身発達のための体験教育の推進についてなどを質問したいと思っております。
 昨今、広島市の安芸区や栃木県今市市の小一女児殺害事件、また京都府宇治市の学習塾における小六の女児の殺害事件など、まことに不幸な事件が頻発をいたしております。とりわけ、今市の事件については、いまだ犯人が逮捕されていないわけでありますので、御家族の心痛はいかばかりかと存じます。一日も早い犯人逮捕を期待いたしたいと存じます。
 さて、従来の考え方は、治安の維持や防犯は警察の仕事というふうに考えられてきました現に、警察を中心にする捜査機関は、極めて有能な、全力を挙げての働きをしているわけでありますが、しかし、それだけでは今日の変化する状況に対応できないといったのが実態ではないでしょうか。警察官の増員といっても限度があるわけでありますから、やはり地域の力、学校やPTAあるいは地域のボランティア、こういう人たちが総力を挙げて対策をとる、こういったことが大事かと存じます
 このような観点に立って、武蔵野市の事例などを交えながら申し上げたいと存じますが、第一点目では、中高年の有償ボランティア制度の創設についてであります。
 現在、さまざまな形でPTAなど参加しているわけでありますが、これは、緊急時には皆さんが集中して参加する、こういうことがあるわけでありますが、しかし、継続性という点では、果たして三百六十五日こういったことができ得るかどうかということについて、なかなか難しい面があります。現に、事件が起きると極めて関心が高くなりますが、歳月とともに忘れ、情熱といいますか、それは単なるボランティアだけでは続かない、こういったようなことがあるわけであります。そういった意味で、継続的に行っていく、こういう仕組みをどう考えるかということが非常に大事なことだと思っております。
 そこで、退職を迎える団塊の世代を初め、中高年のパワーを活用した有償ボランティア制度の創設を制度化していったらどうだろうか、このように考えております。
 武蔵野市においては、平成十六年十月に市民安全パトロール隊を発足させ、消防団OBを中心に五十名の隊員で地域のパトロールを行っているところであります。このような有償ボランティア制度について国がガイドラインを示し、市町村が中心となって創設していくべき、このように考えておりますが、どのようなお考えか、一点お聞きいたしたいと存じます
 次に、小中学校の安全監視についてでありますが、学校内で事件が起こるといったような厳しい問題もあります。こういうことについて、現在、各市町村で、警備員を雇ったりPTAが交代で監視をしたりといったような、さまざまな方法が行われているわけでありますが、武蔵野市では、平成十四年度から、正規の用務員一名――正規の用務員は約一千万プレーヤーであります。市役所の職員は退職金を入れて約一千万かかります。これを一名リストラいたしまして、二名の嘱託職員、年収二百五十万前後でありますが、この二名を雇いました。そうして、単なる用務業務だけではなくて、警備も含めてこういったことに当たっているわけであります。
 このような方式を文部科学省の方針としても積極的に打ち出していく、こういったようなことは考えられないかどうか、お尋ねいたしたいと存じます。
 また、先ほど来述べておりました有償ボランティアに伴う財政支出等についてでありますけれども、先ほどお示しをいたしました市民パトロール隊は、おおむね、年間五十人で六百万ほどかかっております。年額六万六千円、月五千五百円、これは五千円なのか六千円なのがいいのかは別にして、最低の実費を出します。連絡通信費に当たるものであります。一方で、いざというとき、万が一のことを考えて、一人年額三万円ほどの保険料を負担しているわけであります。死亡時に五千万、こういう高額な保険でありますが、こういうことによって保障している。年間約六百万程度かかっております。
 これは高いか安いかは別にして、こういうようなものに対する財政支出をどうするか。平成十八年度予算編成方針によりますと、「各施策の推進に当たっては、安全・安心について十分に配慮する。」こう記されているわけでありますので、積極的に対応できないかどうか、お尋ねいたしたいと存じます。
 また、さらに大事なことは、今申し上げてきたようなことは、これはなかなか警察だけで対応、警察がさまざまな関連、防犯協会だとかいろいろな団体をつくったりすることは可能でありますけれども、これだけではなかなか有効ではありません。
 そこで、市町村の仕事として位置づけて、従来は治安という仕事は市町村の第一義的な仕事ではなかったわけでありますけれども、しかし一方で、地方自治法の精神、住民の福祉の増進について広く行うことが規定されておるわけでありまして、または、地方分権一括推進法の施行前の旧自治法の中には、住民の安全ということがはっきりと地方自治法の中でうたわれているわけでありますから、こういったことを市町村の仕事として、地域の総合力でもって体制を整えていく、こういったことはどうだろうか、このように提案をしながら質問いたしたいと存じます。
 まず最初に、そこまでお願いいたします。

竹花政府参考人 まず、有償防犯ボランティア制度に関しての質問にお答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、犯罪の発生を抑止する上で、地域のボランティアの方々による防犯活動は必要不可欠であると警察としても考えております。そのような活動を持続的に、あるいは拡充していく上で、ボランティアの自主性を損なわない形で公的な支援を行うことは有効な施策というふうに考えております。
 現に、都道府県や区市町村におきまして、防犯ボランティア活動に伴う実費やパトロール用品などの支援を行っているところもございまして、警察庁としても、各地における防犯ボランティア活動をより一層活性化するため、このような支援が行われることは望ましいことであるというふうに認識をいたしているところでございます。
 そうしたボランティアの活用促進のために、国としていかなる措置を講じ得るかという点についてでございますけれども、警察庁では、平成十七年度に、地域安全安心ステーションモデル事業を全国百地区で実施をいたしております。防犯パトロール用品の無償貸与等の支援を行うなど、全国の警察において地域住民による自主防犯活動の支援に積極的に取り組んでいるところでありまして、今後もこの種の事業の拡大を図っていきたいと考えております
 また、本年十一月には、こうしたボランティア団体の方々がボランティア活動を立ち上げる、あるいは発展をさせる上で必要な情報を提供しようということで、ボランティア団体に関する活動支援サイトを立ち上げまして、全国のボランティア団体の設立等に一定の貢献をしようという取り組みをいたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、各地域におきますこうしたボランティア団体の活動が活性化されるように、警察といたしましては、地方自治体とも協力をいたしまして、さまざまな手法でそうした動きを活性化させる取り組みを行うことが必要であると警察庁としても考えておりまして、都道府県警察を今後もそのような趣旨で指導をしてまいりたいと考えております
 また、最後に、地域の総合力で犯罪を抑止すべきだということについての警察庁の考え方についてでございますけれども、従来、警察がやや思い込んで、自分たちが治安の責任を負うんだということで、ややひとりよがりの側面もあったというふうに私ども考えておりまして、多くの地方公共団体、あるいは学校の現場、そして地域の人々とともになりまして犯罪抑止対策を講じていくことが非常に重要で、今後もさらに拡充していく必要があると考えておりますので、今後もその方向で対処してまいりたいと考えております

○土屋(正)委員 このポイントは、市町村の能力を生かすということが非常に大事であります。警察庁だけではなかなかできない取り組みだと思いますので、内閣府等も含めて、どうぞ、こういった条例設置を含めた何か対策について今後引き続き御検討いただくようにお願いをいたしておきます。
 また、学童保育等も、下校の安全とかそういったようなこともありますので、もし何かございましたら、学童保育事業についての安全対策についてポイントがありましたら、簡潔に後でお答えいただきたいと存じます。
 次に、性犯罪防止の現状と強化についてでありますが、性犯罪の再発防止策として、本年六月から、十三歳未満の子供が被害者となった性犯罪の服役者の出所情報が法務省から警察庁へと提供されている、このように伺っております。法務省から警察庁への情報提供の状況はどの程度あったのか、また実施をする前と比較してその効果はどうなのか、また、犯罪の履歴者の人権を配慮することよりも子供の被害を守ることを優先すべきと考えますけれども、どのように考えるか、これらについてお答え願います。

○北井政府参考人 放課後児童クラブの安全対策について御説明申し上げます。
 今回の事件を受けまして、私どもでは、平成十三年に大阪府の池田小学校で起きました事件のときに周知をいたしました安全確保対策を改めて周知いたしますとともに、とりわけ経路の安全確認、あるいは緊急避難場所の周知、集団での帰宅等々をお願いしたところでございます。また、特に冬休みになりますこの時期に、来所、帰宅時におきます安全点検リストを具体的に作成いたしまして、それの周知も図ったところでございます。あわせて、地域の安全のためのパトロールなどに、母親クラブや老人クラブなどの団体に対しまして、さらなる御尽力をお願いしたところであります。
 加えまして、こうしたことについて、有償ボランティア会員組織でありますファミリー・サポート・センターやシルバー人材センターの会員さん方のお力も非常に大きいと思いますので、こうした事業の活用についても周知を図っているところでございます。

○土屋(正)委員 今の点についてお願いをしておきますと、周知を図ると同時に、予算がなければできないわけですから、どうぞひとつ予算の措置も、どういうやり方をやるかは別にして、またどこの省庁が予算を組むかは別にして、やはり予算措置をしていただいた上で周知を図っていただきたい、このように思っているところであります。これは意見として申し上げておきたいと存じます。
 次に、大きな三点目として、健全な心身の発達のための体験教育の推進についてお尋ねいたしたいと存じます。
 去る十二月十日に発生した京都府宇治市の学習塾における小六女児の殺害事件を見ると、二十三歳の大学生が十二歳の子供と口論したと。その真実は、全体像はまだはっきりしていないわけでありますが、いずれにせよ、二十三歳と十二歳が一緒になって、言ってみれば同じレベルでもって争いをするという、まことに精神の未発達といいますか、心身の未発達を感じるわけであります。
 これ以外にも、例えば佐世保の事件などを見ても、非常にリアリティーのない、いわゆるゲームソフトで育ったような、あの事件は、犯人の小六の子供は「バトル・ロワイアル」を繰り返し見ていた、あるいは残虐事件を繰り返し見ていたというようなこともあるわけで、私は非常な脅威を感じております。
 先ほど冒頭申し上げましたように、私は四十年間地域社会にかかわり合って、いろいろな地域社会の変化があります。共働きで地域に人がいなくなった、商店が廃業して地域に監視の目が届かなくなった、エアコンや生活環境が向上して密室化した、情報機器システムがバーチャルな空間をつくり出している、あるいは、空き地や自然が急速に失われて遊び場がなくなった、勤務時間がばらばら、家事の外部化、アウトソーシング、その結果として、家族のきずなの希薄、地域社会の崩壊、コミュニケーション能力の低下、若者の身体的な感覚の喪失、こういったことが非常に懸念されるわけであります。
 そこで、私たち武蔵野市は十年前から、もっと子供たちにリアリティーを回復しよう、こういうことで、セカンドスクール、一週間から十日にわたって農山漁村に行って、そしてその中で生活をし、暑い寒い、痛い、おなかすいた、そしてお互いに共同で生活する、こういう体験教育を推進してきているわけであります。
 こういう体験教育は、本来は、かつては地域社会や家庭の役割であったものが、さっき言ったようなさまざまな状況の中からなくなってきたわけですから、これを積極的に学校教育あるいは生涯学習の営みの中に取り入れて、企画し計画していく、こういう方向に子育て教育が変わっていかなければならないだろう、このように考えております。
 既にセカンドスクール等については文科省も十分御存じのことと思いますが、こういう体験教育、あるいは福祉体験、職場体験、こういう体験教育を教育のカリキュラムの中にきちっと位置づけてやっていくことについてどのようにお考えか、お尋ねいたしたいと存じます。

○銭谷政府参考人 体験教育についてのお尋ねがございました。
 今先生からお話がございましたように、最近の子供が人の命とか生きるということについてリアリティーが十分育っているのかどうかということは、私ども大きな課題だと思っております。やはり、子供の時期に自然に接したり、いろいろな人生の先輩から直接指導を受けたりする体験的な活動ということは、極めて重要なことだと認識をいたしております。
 文部科学省におきましても、平成十三年度に学校教育法の改正を行いまして、総合的な学習の時間や学校行事を含む特別活動で体験的な学習を推進しているところでございます。今お話のございました武蔵野市のセカンドスクールなど、長期宿泊自然体験活動、こういうことは非常に意義のある活動だと思っておりまして、私ども、これを全国的に広げるための施策を今後しっかり講じていきたいというふうに思っているところでございます。
 自然体験、職場体験活動など、こういう活動が各学校で十分実践されるように、今後とも教育課程の中で十分な措置を考えていきたいというふうに思っているところでございます。

○土屋(正)委員 ありがとうございました。大変結構な方針ですけれども、予算づけをよろしくお願いいたしたいと存じます。
 持ち時間が終わりましたので、残念ながらこれで下がらせていただきます。きょうはありがとうございました。

○近藤委員長 田嶋要君。

○田嶋(要)委員 おはようございます。民主党衆議院議員の田嶋要です。きょうはよろしくお願いします。
 きょうは猪口大臣初めての御答弁だと思いますので、大臣所信ということも兼ねまして、どうぞよろしくお願いをいたします。お世話になります。
 もう昔の話ですが、今から二十年近く前に、私のアメリカ人の友人が日本に来まして生活をしておりました。そのとき、私も社会人一年生だったんですが、しみじみ私に言ったことは、日本というのは子供が日が暮れてからも裏道で遊んでいる風景がある、これこそが日本の最大の資産だ、宝だということをしみじみと感動を込めて言っていたんですね。当時は当たり前のような気がしていました。
 しかし、以来二十年たって、今そういう風景はありません。私は本当に最大のものが失われてしまったと思うんですが、まさに昨今の広島や栃木や、あるいは京都の事件を見ていて、もう頭の切りかえをしなければいけないと私は思います。安全と水がただであったと思っていた日本ですが、もうそんな日本は今はないということのもとに、本当に真剣に歯を食いしばってこの問題に取り組まねばならない、これは言うまでもないことですが、本当に頭の切りかえが必要であるというふうに私はつくづくと思っております。
 そこで、今回これだけ子供さんが犠牲になった。私は、大臣、これからもう一人として子供さんの犠牲はつくらない、そういった強い決意をぜひ新たにこの分野の担当大臣になられた猪口大臣に表明をしていただきたいというふうに思うんですね。これはほかのことではない、まさしく大人たちのつくっているこの社会で子供たちが殺されていくというのは、これは社会として恥ずかしいことだと思うんです。こういったことはもう絶対に金輪際一件も起こさない、そういった決意で活動をしていただきたいというふうに思います。
 そして、加えてもう一つ言うならば、日本はやはり平和ぼけというか、安全、先ほど申し上げたような、外国人からはすばらしいと、そういった時代があったものですから、それだけ私はこういった分野に関してのいろいろな議論の蓄積という意味では少ないんじゃないかなと。例えばアメリカとかヨーロッパとか、変な言い方かもしれませんが、犯罪先進国、そういった国々、猪口さんも海外が長い、イエールにおられましたね。私もフィラデルフィアにおりました。恐ろしくて、本当に日々すごく怖い感じがありましたよ。そういったところと日本というのはやはり大分違っていた。だからこそ、そういった先進他国では議論の蓄積というのが大変多くあるんだと僕は思うんです。私は、やはり日本のこれまでの過去の延長線上でなくて、ぜひ一段、二段跳びで日本の治安と防犯ということを考えるように加速をしていただきたいというふうに思うんです。犠牲者がもう少しふえてきて、やおらということではあり得ないと思うんですね。
 もうこれは金輪際ストップ、そういった思いで、まずぜひ猪口大臣から、これからこの仕事に取り組む決意、もう一人でも犠牲者を生まない、今度犠牲者が出たら自分は辞する、そういった思いの決意を述べていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○猪口国務大臣 御質問いただきました。学校からの下校中や通っている学習塾の中で児童が相次いで殺害されるという、もう大変に、余りにも痛ましい事件が発生しまして、子供の安全の確保が極めて重要な、そして最も重要な課題として今認識されるようになりました。私は、保護者の皆様にも不安感が広がっていることをひしひしと感じております。
 言うまでもなく、子供たちの命を犯罪から守ることは、青少年育成の前提とも言える最も重要な課題であります。子供の犯罪被害者をなくすことは国家としての使命であると認識しております。委員御指摘のとおり、社会情勢が実際に昨今かなり変わってきているということを分析しなければならないと感じております。そして政府の対策につきましては、やはり関係閣僚と協力しつつ、私としても全力で推進してまいりたいと当然ながら考えております。
 このような事件を見て私が感じますことは、特に子供一人一人をしっかりと守れる、そのような体制づくりが必要なのであるということであります。そしてそのためには、地域の住民の皆々様にも広く協力をお願いしなければならないと思います。地域全体で子供の安全確保が図れますよう、そのような観点からの取り組みも一層推進していきたいという決意でございます。

○田嶋(要)委員 例えばアメリカのメーガン法なんかの例にもありますように、悲惨な事件が起きると政策が充実をする。そんなことを言っていると、日本もあと何回、悲惨な事件が起きたからというふうになってしまう。そういう漸進主義ではなくて、本当にぜひ二段、三段跳びで、アメリカやカナダやフランスや韓国や台湾や、そういうところがやっている制度を真剣に導入を考えていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、小学校の関係、これは学童保育とかさまざま共通しておると思うんですが、子供が移動中の事件とそれから建物の中の事件、この二つに大きく分かれるのではないかなと思うんですが、昨今、全国でさまざまな取り組みがありまして、警察のOBの方々とかも大勢御苦労いただいておるというふうに理解をいたしております。私は、今の通学路に関する安全の確保という意味では、スポーツで言うならば、ゾーンディフェンスとマンツーマンディフェンスという考え方がスポーツの中でもあるんですが、防犯に関しても、ぜひ通学路においてはマンツーマンディフェンスの考え方をしっかりと取り入れていただきたい。
 これは、例えばどこかでおじさんが立って見張っているとか、それはいいんですが、やはり最後は子供は一人で歩くんですね、家が違いますから。だから、魔の三百メートルというか、最後のそこが一番やはり危なくて、子供がまとまって歩いているところはそれなりに抑止力が働くということから考えると、やはりゾーンディフェンスの今のやり方に加えてマンツーマンのやり方。きょう、たまたま新聞に、どこかの老人クラブがそうやって子供一人に一緒に付き添って帰るというようなことも始まっているというふうに聞いております。もちろんこれは人手との関係があるので、なかなか一遍にはいかないと思うんですが、ぜひその考え方を導入していただきたい。
 私の地元の千葉では、現在、セーフティーウオッチャーという方々が六千八百人登録をされています。一方で、小学校一年生は八千七百人、小学校二年生が八千五百人です。既にかなりの数、小学校の一年生、一番被害に遭っているのは小学校一年生ですね。授業の終わる時間帯がずれている小学校一年生、特に女の子が一番ねらわれるわけですが、そこにそれと同じぐらいの数今もう既にボランティアがいるわけですが、やはりボランティアの欠点というのは、先ほども出ておりました、確実性にはやはり欠けるわけで、有料も含めて、ぜひ一人の子供、一人ずつの子供を確実に見届けるというところまでレベルをアップしていただきたい。
 奈良や栃木や、事件が起きると地域が頑張るんです。でも、それじゃだめだと思うんです。事件が起きている地域だけ気合い入れていてもだめなんです。そうしたら、これからあちこちで事件が起きるということなんです。今全国で、ことし一年でも六十七件同じような事件、殺人事件に至らないものも含めて起きました。ぜひそういった、もっと何段も力を入れた、そしてボランティアだけに依存しない仕組みというのを考えていただきたい、そのように考えておりますが、大臣、お考えいかがでしょうか。

○猪口国務大臣 国家といたしましては、そのような犯罪を予防し、防止していくということが当然の責務であります。そのようなためにどういう、地域の対応力も含めて引き出していけるか。そして、国としての取り組みといたしましては、内閣府におきましては総合調整機能がございますので、関係省庁に対してしっかりと協議を進めて、あらゆるレベルにおきましてこの問題の重要性を認識し、対応力が強化されますよう最善の努力を払ってまいります。

○田嶋(要)委員 時間がなくなりましたけれども、通学路でのマンツーマン、そして箱の中では当然ゾーンディフェンスということになると思いますが、その箱の中にも、文科省、ちょっと時間がなくなってしまったんですが、ぜひ、高齢者を小学校の中の空き教室で使うとか、大人の目が常に学校の中あるいは児童館の中、そういったところに入るような制度も検討をしていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。

○近藤委員長 泉健太君。

○泉委員 民主党の泉健太です。
 私は京都選出の衆議院議員でして、私の隣の選挙区宇治市で大変痛ましい事件が今回起こりました。私たちのお世話になっている京都府職員のお嬢様だということもありまして、大変残念な、本当に残念な今回の事件でございました。心から御冥福をお祈りしたいと思います。
 そして、大手の塾、地元では有名な塾だったわけですが、その塾では私の友人も以前講師をしていたことがありまして、本当に地域では名の知られた塾でした。
 しかし、これまでの質疑にもありましたが、実は、地域あるいは学校、塾、それぞれが懸命に安全対策に取り組んでも、今回余りにも想定し得ないような事件が起こってしまったということからすれば、私は、安全対策はもちろんのこと、しかし、犯罪者そのものをどうやって生み出さない社会をつくるのか、これが大変重要だというふうに思っております。そういう中で、まず大臣にお伺いしたいわけです。
 きょう、実は少し資料を持ってまいりました。これは総務省と厚生労働省の社会生活統計指標あるいは人口動態統計で出てきた資料なんですが、刑法犯認知件数、人口対比が多い県ほど出生率は低いというデータが今ここにあります。これでいいますと、少子化対策をされておられます猪口大臣においては、やはり少子化対策の中に一つ安心、安全な町づくりというものを必ずつくっていく必要があるというふうに思いますし、これは都道府県のアンケート調査でも、岐阜県が約千名の皆様にアンケートをとったときの子供を犯罪、交通事故から守る町づくりの必要性、少子化対策の中での必要性を挙げる人間が四五・一%もいたということからも、やはり安全対策が今問われているんだと思います。
 そういう中で、まず塾の問題でございます。
 これだけ今、塾の役割が大きくなってきている。そういう中で、やはり安全管理、安全対策が空白になっていないでしょうかということが指摘をされているわけですね。学校でもこれだけ、侵入事件、あるいはいじめ、あるいはスクールセクハラ、いろいろな問題が起こっております。そして、その学校と同様に、塾というのは、登下校という言い方をし、塾に登校する、下校するなんという言い方をしたり、あるいは三者面談もあれば、その塾の中でいじめもあったり、塾には学校と同じようないろんな問題があるわけですね。最近は先生の指導力不足なんというのもやはり問われています。
 それからいいますと、その塾を、現在は経産省が所管をして、学習塾協会を通じて各塾に自主的にガイドラインを普及しているという状況なわけです。しかし、これでは、ほぼ学校と同じ体制であり、そしてかつ子供たちが集団で過ごす場でありながら、本当に安全対策、その取り組みを自主的に任せている状況、これが今の現状なんですね。私は、これではちゃんとした対策というのはできないんじゃないのかなというふうに思っております。
 大臣、現在のこの現状についていかが思われますか。

○猪口国務大臣 非常に重要な御指摘をいただいたと感じております。
 さまざまな取り組みが必要ですが、私が感じていますことは、政府の中での連携、そしてネットワーク制を強化していくということではないかと思います。それは、一省庁として対応する、あるいは一つの自治体の中の一部局として対応するという形ではなく、やはり社会の総力を挙げて、そして国家としての総力を挙げてこのような犯罪を必ず防いでいくという決意のもとに、今まで、もしそのような連携体制が不十分であるとするならば、そういうところを強化していきたいと感じております。
 おっしゃるとおり、安心して子供を育てられるということが、そもそも、希望を持って家族を大変な苦労をしながらも形成し、育成していくということの人間としての何か出発点になるかとも思います。よりまして、委員の御指摘のとおり、安心して子供を育てられる、そのような社会の形成は、私が担当しております少子化対策の最も重要な視点でもあると認識しております。

○泉委員 もう時間がございませんので最後にいたしますが、私がもう一度お伺いしたいのは、現在の経産省が所管をする、ネットワークとおっしゃられましたが、それは現在私はないように思っておりまして、この体制、現在の体制に不備があるのかないのか、この点についてまず第一点お伺いしたい。
 そして、現在、やはり犯罪者を生み出さないということでいえば、やはり家庭内で問題を抱えたまま大人に成長してしまうケースが非常に多いんじゃないのかな。子供たちの相談であれば児童相談所がございますけれども、その児童の期間が終わったらもう相談する先が今の社会にないんじゃないですかということを実は思っております。そういった意味では、そろそろこの日本も、民間のカウンセラーに今重要な役割を担っていただいていることはもちろんですが、やはり家庭相談所的なものを――児童の時期を超えても家庭内でいろいろな問題を抱えている、アダルトチルドレンという自覚のないままにそれこそ問題を抱えてしまって突発的なケースに至るケースもあると考えれば、ぜひ家庭相談所のようなものもお考えいただきたいということを思っております。
 最後に、体制の不備が今あるのかないのか、そのことだけお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○猪口国務大臣 御指摘は大変重要でありますけれども、私としては、体制に不備があるというふうには認識しておりません。内閣府におきます総合調整機能を含めて、既にある能力をフルに活用していくという中で対策を強力に推進できると感じております。
 また、さまざまな相談機能といたしましては、先生よく御存じのことなんでありますけれども、実際には政府の中でたくさんございます。もう時間がありませんので列挙することを控えるべきかもしれませんが、例えば、教育関係であれば教育相談所、児童家庭に関することであれば児童相談所あるいは家庭児童相談室、いろいろございます。
 それから、私のところといたしましては、青少年育成の施策大綱においても実は先生御指摘のような視点が既に盛り込まれておりまして、重視しております。すなわち、「多種多様な専門機関・相談機関が、必要により民間協力者や地域の人々なども含め、」というところが入っております。「迅速かつ適切に連携できるよう、ネットワーク形成の促進、緊急時の対応の仕組みづくりの支援、連絡会議等の開催などの取組を行う。」ということが入っておりますので、この施策大綱を重視していきたいと感じております。

○近藤委員長 池坊保子君。

○池坊委員 公明党の池坊保子でございます。
 連続して幼い命が奪われ、守ってあげられなかった大人の責任の不作為とふがいなさに心が痛みます。
 平成十八年度予算編成大綱案には、「司法制度改革の基盤整備へ向けた法務・司法の充実と安全な社会の実現への取り組み」という項目の中で、「警察や地域住民と連携した通学路の安全確保策の推進」が盛り込まれております。
 私ども公明党も、ことし三月、大阪の寝屋川中央小学校の事件を踏まえて、子供の安全対策のための緊急申し入れというのを小泉総理にいたしました。そのとき、あらゆることを言っておりますけれども、あらゆる場における子供の安全の確保は、安心して教育を受けるための基盤と言ってよく、また保護者の切なる願いではないかと思います。その中で、小中学生に対しては、防犯ブザーの貸与あるいは配付を促進すること、あるいは通学路の安全確保の促進の強化ということを挙げております。
 ちなみに、私の住んでおります京都では、子供安心安全パトロール、統一ロゴの入った腕章、自転車プレートなどを配付しております。そして、PTAなどが独自につくったステッカーを市が統一して、問題に取り組む団体に配っております。それぞれの地域でそれぞれの特色ある取り組みをしていると思いますので、文部科学省はさらなる呼びかけをするとともに、そのようないいモデルはぜひ発信をしていただきたいと思っております。
 なお、通学路マップの作成については、通学路などを点検する地域安全マップづくりを指導している立正大学の小宮信夫助教授は、子供の安全確保に真剣に取り組んでいる自治体は全体の一割ほどにしかすぎないと言っておられます。その背景に何があるかというと、防犯ボランティアを所管するのは生涯学習の担当、あるいはまた校内の不審者対策は学校を指導する部署といったように、縦割り行政の弊害で責任の所在があいまいな点が挙げられております。
 文部科学省も含めて、子供の安全に関する行政の窓口や担当を一本化して、通学路マップだけではありませんけれども、それに取り組むべきだと思います。やはり中心になる人間がいないとだめなんですよ。中心になるのは、やはり私は文科ではないかと思います。文科がもっと教育委員会にさらなる強化、発信をしていくべきだと思っておりますが、今どうなっているかを伺いたいと思います。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 文部科学省におきましては、児童生徒の通学途上を含めます安全対策につきましては、今まで鋭意努めてまいってきたわけでございますけれども、今先生お話しの中から、通学安全マップのお話がございました。これにつきましても、各学校でその作成についてお願いしているところでございますが、さらに、十二月に通知いたしましたところでは、先ほど立正大学の先生のお話がありましたように、子供たちが参加してその通学安全マップをつくるということはより教育的な効果があるということでございます。そういうことを踏まえて、さらに一層各学校での取り組みをお願いしたいと思っています。
 さらに、文部科学省におきましても、各省各局一体となってこの問題に対して対応してまいりたいと考えているところでございます。

○池坊委員 これはぜひ、先ほども申し上げましたけれども、いいモデルというのが皆様方のもとに入っていらっしゃると思うんですよね。ですから、それをぜひ発信して、いいものはまねしたらいいんですよ。ですから、それをぜひやっていただきたいと思います。
 それから、先ほども出ておりましたけれども、ボランティアです。東京都では、二年前より防犯ボランティアが三倍にふえたそうです。また、防犯ボランティア制度を始めたさいたま市では、今一万人ものボランティアが活動して、その大半は自治会を通じて参加した高齢者で、約半数の学校で通学路にボランティアとして立っている。これはやはり、地域の力としては私は大きいと思うんですね。これも、みんなすべて文部科学省がやるというのは大変なのはわかっておりますが、どこかが一生懸命やらないとこのボランティアというのはできません。
 京都市は、教育委員会が大変熱心にこのボランティアもやって学校や生徒を守っておりますので、今教育委員会はよくないとかいう悪い評判を随分聞いておりますけれども、そうじゃない、率先してこんないいことをしているんだぞということ、ぜひぜひそれは発信していただきたいと思います。
 それから次に、塾の問題をやりたいと思っております。塾に通っていた児童が殺された京都府、私の住んでいるところでございますが、京都府では、知事が全国学習塾協会に加盟する府内の大手の学習塾に対し、子供の安心、安全の点検や、行き帰りの安全確認を行うよう依願書を出しました。同協会では、国や地方自治体から塾が通知や指導を受けた例は過去にないと重く受けとめると述べております。
 事ほどさように、塾というのは経済産業省の所管ではございますが、今までいろいろな点において見過ごされてきたのではないかと思っております。私は、いろいろなことで規制しようというのは時代に反しますし、今規制の緩和の時代ですが、教育や安全は規制があってもしかるべきだと思います。この辺は間違えてはならないと思います。すべてにおいて規制緩和があればいいということではない。ですから、ぜひこれは文部科学省が連携をとるべきではないかと思います。
 今や、五万近い学習塾があり、二十八万人の人が働いております。そして、小学校六年では三五・六%の子供が通っているんです。つまり、小学校の延長であり、そして準学校であると言ってもいいわけです。特に、塾というのは学力を重視いたしますから、それにまつわる子供のストレスあるいは教師との葛藤、子供間のいじめなど、もうさまざまな問題を抱えていると思いますし、これからさまざまな問題が発生してくるのではないかと思います。そしてまた、小学校六年生、中学生というのは帰宅時間も遅いんですね。ですから、安全などを含めまして、ぜひこれは教育委員会と連携をとる必要があると思いますが、その辺についてはいかがでしょうか。

○田中政府参考人 塾の事件についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、去る十二月十日に、京都府の学習塾におきまして小学校六年生の女子児童が……(池坊委員「もう事件は言わないでいいですから。あなたは聞いたことに対して答えて」と呼ぶ)はい。
 このような悲惨な事件が起こることのないように、文部科学省といたしましても、経済産業省と緊密な連携のもとに今対応しておるところでございまして、この学習塾の全国団体でございます社団法人全国学習塾協会というものがございますけれども、この協会に今回の塾も入っておるところでございますけれども、今回の事件を踏まえた学習塾における子供の安全確保に関する早急な対応を要請したところでございます。
 同協会におきましては、今回の事件を踏まえまして、今後、講師の採用あるいは研修等につきまして、ガイドライン、指針というものをつくりたいということも言っておるところでございまして、私どもといたしましては、経済産業省と連携を図りながら、実効あるガイドラインの作成あるいはその周知徹底が図られますよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。

○池坊委員 私が申し上げたいのは、所管は経済産業省なんですよ。昔は余り塾と学校というのはうまくいっていなかったから文科の所管ではなかったんだけれども、これからはやはり、今の所管を文科にお移しなさいとは申し上げないけれども、もっともっと文部科学省が連携をしなければ、これはやっていけませんよということを申し上げたかったのです。だから、それをぜひしていただきたい。ただ連携をとってやっておりますというだけではちょっと私は不満足で、ちょっと答弁としては頼りないなと思いますが、それはぜひ本当にやってくださいね。
 それで、先ほど土屋さんから体験活動というのが出ておりました。今、この被害を受けました学校の子供たちは、大変に心を痛めております。スクールカウンセラーはもちろん配置をしていますけれども、スクールカウンセラーだけでなくて、御存じのように、トライやる・ウイーク、トライやる・ワークといって、阪神大震災のときの心の再生は、自然体験、それからすばらしい音楽やオペラなんかを聞いて、あるいはバレエを見た、この感動がもう一度生きる力になったんですね。ここの学校には予算もつけて、そういうことをきちんとやはり奨励するべきではないかと思っていますので、それは初中局としてはどんな対応をなさっていくのか、ちょっと伺いたいと思います。

○銭谷政府参考人 ただいま先生から、自然体験と職場体験と文化芸術体験という三つの体験活動の重要性についてお話がございましたが、私どももこういった体験活動が極めて学校教育において大事だと思っております。
 特に、自然体験につきましては、宿泊を伴う体験活動というのが非常に大事でございまして、現在、八割、九割の中学校、小学校でやっているわけですけれども、期間が短い。一泊とか二泊というところが多いので、もう少し長期の自然体験を伴う宿泊活動を展開できるように、来年度予算措置を講じていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、五日間以上の職場体験活動、これにつきましても、本年度から文部科学省として取り組みを始めたわけでございますけれども、この事業につきましても来年度以降さらにしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 さらに、いわゆる本物の舞台芸術に触れる機会の確保、こういう点につきましても、子供たちに感動体験を与えるという意味で大変重要な活動でございますので、この活動の推進も図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

○池坊委員 職場体験、自然体験、そして文化芸術体験はぜひというのは私の長いことの持論でございますから、ぜひそれは予算もとっていただきたいけれども、特に、今度事件が起きましたところの子供たちは、寝るときが怖いとか一人で帰れないとか、いろいろなトラウマを今抱えております。スクールカウンセラーは非常に大切ですが、そこには限界もあると思うんですね。ですから、ぜひ緊急にここには、バレエがすぐに学校でできるかどうかわからないけれども、音楽などはすぐにできますでしょう、音楽家を呼ぶなんというのは簡単なことなんですから。そういうさまざまな心の再生というのをぜひ図っていただきたい。これは緊急に図っていただきたいと思います。
 それから、一日でもいいですからどこかでキャンプをするとか、そういうことの工夫をしていただきたいと思います。これは近々ですから。近々にすべきことと長期にすべきことをちょっと分けて、しっかりとやっていただけたらと思います。
 今度は、文部科学省の生涯学習政策局では、早寝早起き朝御飯という、これは生活の規範で、この奨励をしていくようで、私はこれは大賛成です。要するに、子供たちの生活の規範が乱れています。生活の規範がしっかりしていなければそれに伴う学力も低下するというのは、これはしっかりデータにも出ているところです。ただ、私は、それにプラス、それは生活規範だけでしょう、だから、それにプラス何かをつけてほしい、例えば読書とかスポーツとか。
 なぜかというと、生活規範にプラス本を読むことによって、正義感だとか思考力とか想像力ですよ、自分がこの子を殺したらどうなるのか、そういうのが欠如しています。ですから、本を読むことによってそういうことを学ぶことができる。そしてまた、青春時代というのはいろいろな思いがありますから、ストレスを解消するため、そのエネルギーの解消のためにもスポーツがあると思うんですね。だから、早寝早起き朝御飯だけじゃ、文部科学省の奨励でちょっと何か私は悲しいかなという気がするんです。そうお思いになりません、皆さん。やはりそこに何かつけるべきだと思います。いかがですか、局長。

○田中政府参考人 早寝早起き朝御飯運動についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、これからPTAを中心に早寝早起き朝御飯運動に取り組み……(池坊委員「それはもうわかっているから、つけ加えるかどうかということです」と呼ぶ)はい。
 先生おっしゃられるように、子供の生活リズムをきちんと身につけるということは早寝早起き朝御飯だけに限られるものではございませんので、朝の読書活動を初めとする読書の習慣、あるいは外遊びやスポーツなど、体を積極的に動かすような習慣を身につけることが非常に大事なことだと考えておりますので、ぜひこの運動の中でこういった習慣が子供たちに身につくように取り組んでまいりたいと考えております。

○池坊委員 時間が参りました。
 私は、ずっとライフワークとして子供の読書活動というのを推進してきております。私が申し上げたいのは、早寝早起き朝御飯はいいのよ。そこにプラス頭を使ったり思考したりする、そういうものをつけ加えたらどうですかということですから、必ず初中局も連携をとりながらこれをつけ加えるようにしていただきたいというお願いをして、私の質問を終わります。

○近藤委員長 上野賢一郎君。

○上野委員 自由民主党新人の上野賢一郎でございます。よろしくお願いをいたします。
 私は私立の小学校でボランティアをやっておりまして、授業のお手伝い、総合的学習の時間なんかのお手伝いをさせていただいておりまして、年に一回か二回行くんですけれども、先週もたまたま行ってまいりました。
 そこで、授業が終わった後に子供たちを集めてお話をいろいろさせてもらったんですけれども、やはり、今の日本をどう思うかというと、大変怖いというか、そういう印象を持つ子供さんたちが非常に多いんですね。特に、犯罪が多い、それから人殺しを早く捕まえてくれというようなことを言う子供たちもいて、私はそういう言葉を聞くこともちょっとどきっとするんですけれども、子供さんの中でも不安感というのが非常に広がっているんじゃないか。地元の市の教育委員会、教育長さんなんかにお話をしても、今、保護者の方から学校やあるいは児童クラブに対する問い合わせ、これが非常にふえていると。非常に不安感が広がっているというのが今の実態かと思っております。
 そういった中で、政府としては日々いろいろな御努力をいただいているわけでございますけれども、子供の安全を守るということに関しまして、きちんと明確な姿勢を示すということと、それから早急な対応を重点的にやっていく、これをぜひお願いしたいと思っています。
 きょうは時間が余りございませんので、具体的な対応策を中心に質問を行わせていただきたいと思います。簡潔な御答弁をお願いいたします。
 まず、情報という観点から申し上げまして、今、各自治体でいろいろな不審者なんかの情報提供をされている場合も多いと思います。ただ、この間の事件なんかでもありますとおり、隣の小学校には不審者情報は来ていても、その小学校には来ていないとか、そういった場合もあるかと思っております。
 そこで、お伺いをしたいんですが、学校それから保護者の皆さん、そうした皆さんへの情報提供が今具体的にどのように行われているのか。特に、最近ですとメールを使えば比較的短時間で広範囲に同じような情報を提供できると思いますので、そうしたことを積極的に進めていただきたいと思いますけれども、そのあたりも含めて、状況につきまして教えていただきたいと思います。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、不審者情報、学校を超えた範囲で保護者、地域の方々との情報を共有するということは非常に重要なことだと考えております。
 今お話にありましたように、情報の伝達手段といたしましては、従来の紙による通知のみならず、最近では、パソコンとか携帯電話のメールの配信機能を使った情報伝達というのが幾つかの自治体、学校等で行われているというふうに承知しているところでございます。

○上野委員 そのやり方も、学校が中心になったりあるいは自治体が中心になったり、いろいろなやり方があると思うんですけれども、ぜひ文部科学省さんがリーダーシップを発揮してもらって、全国的にそういったことがきちんとできるようにぜひお願いをしたいと思います。
 あともう一点、今、防犯ブザーの配付なんかを私の地元の大津市でも積極的にやっているんですが、単独事業ということもあるんでしょうか、配付がなかなか進まない。実際、防犯ブザーを使ったところで、周りに人がいないとそれが効果を発揮しないということがありますので、最近は、民間のサービスでGPSを使った位置検索システムがある、そうしたもので子供さんたちの方が進んでいるというような話も聞きますけれども、そうした新しい技術というか、そうしたものもしっかりと後押しをしていくべきだと思いますが、その点に関しましてはいかがでしょうか。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 子供の安全を守るために、GPSの端末やICタグを使用いたしまして、校門を通過したとかの確認でございますとか子供の所在の確認を行う取り組みというものが、幾つかの民間、自治体で行われているところでございます。
 文部科学省におきましては、来年、十八年度の概算要求におきまして、子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究というものを実施して、先進的な取り組み、そういったものを全国的に普及させるための取り組みをしたいと考えているところでございますけれども、その中に、先生御指摘のありました、そういった位置検索システムのやり方というのもその中の一つとして研究の対象にできるのではないかというふうに考えているところでございます。

○上野委員 ぜひ研究を進めていただきたいんですが、そうした民間の活動を応援するということもぜひお願いをしたいと思います。
 それから三点目ですが、スクールバスなんですけれども、安全対策としてスクールバスを運行するということも一つ考えられると思うんですが、今の制度ですと、僻地なんかについてはいろいろな支援措置が文科省さんの方でもあると思います。しかしながら、安全確保の観点から、市街地で使ったり、あるいは非常に危ないところというか危険なところで使ったりということはなかなかできないと思うんですけれども、これからは、単に遠いからスクールバスだというだけではなくて、安全を守るためにスクールバスを運行するんだということも必要かなと思っておりまして、なかなか自治体の負担というのも重いと思いますけれども、その点も含めて、ぜひ支援策を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、現在多くの自治体でスクールバスは持っておりますけれども、それは、僻地校であるとか市町村合併に起因する学校等があることなどによりまして保有、運行しているケースだと思います。そういう意味で、安全対策の観点だけで導入されているという自治体は極めて限られていると承知しているところでございます。
 スクールバスにつきましては、文部科学省におきまして、僻地校であることなどを理由とした場合に購入費の一定割合を補助する制度があるわけでございますけれども、それ以外の一般の場合につきましては補助制度はないわけでございます。
 スクールバスによる通学方法というのは安全確保のための一つの非常に有効な手段というふうに認識しておりますけれども、スクールバスによる通学方法におきましては、バスを購入して運用する場合、もしくは民間のバス会社に運行を委託する場合、いろいろあろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、各学校の設置者におきまして、それぞれの実情を踏まえた対策を御検討いただくことが適当かと思っています。
 担当の補助制度ではございませんけれども、遠距離通学に必要な場合などに市町村がスクールバスを運行している場合には、地方交付税の措置もされているというところでございますので、このような点も含めまして各自治体で御検討いただければと考えているところでございます。

○上野委員 各自治体でいろいろ前向きに検討してもらうのは結構なんですけれども、ぜひ文科省さんとしても、今のバスの支援措置、僻地というふうに限られていると思いますが、その要件をそのままでいいのかどうか、あるいはもう少し違った切り口で支援するところはないのかという点につきましても、ぜひ来年度御検討をお願いしたいと考えています。
 それから四点目でございますけれども、防犯ボランティアの関係です。
 これは、先ほど来委員の皆様からもいろいろなお話が出ておりますけれども、私も、地元で幾つかの防犯ボランティア、結構熱心にやっていらっしゃるんですけれども、多くは今少年犯罪を対象にしているんですね。そうじゃない例もたくさんあると思うんですけれども、私の地元はたまたまかもしれませんが、夜、警戒をして、駅前なんかで徘回をしている、あるいは最近ですとコンビニの前を守ったり、ボランティアで回ってもらったりとかそういうのが多いように思うんですけれども、これはぜひ、これから子供の朝夕の通学路の安全を守るというような観点でこうした防犯ボランティアの皆さんの活動が活発になるように、それを後押しをぜひお願いしたいなと思っております。
 あと、高齢者の方も、ボランティアをやりたいけれどもどこが窓口かよくわからないという話もありますので、窓口をきっちり自治体ごとに一本化してもらってやっていただけるような対応をぜひお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

竹花政府参考人 最近、地域で防犯のための組織がもう格段に広がっておりまして、十七年六月末時点で警察が把握している全国の防犯ボランティアは約一万四千団体でございます。十六年十二月末時点と比べますと約一・七倍となっておりますが、この中で約六割の団体が、通学時や公園等で遊んでいる子供への見守り、あるいは夜間のパトロール等の子供関連の活動をやっておられるものと承知をいたしております。
 ただ、この防犯ボランティアは、参加される方々が、活動日ですとか曜日ですとか、あるいは時間帯ですとか、それぞれ許される条件の中で自主的に活動されているものでございます。そういう点から制約はあろうかと思いますけれども、防犯ボランティアの活動の内容が通学路を中心に行われることが可能かどうか、現場において相談や工夫がなされますように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○上野委員 ぜひお願いをいたします。
 五点目ですが、学童保育についてお伺いをしたいと思います。
 安全対策という観点からも、今学童保育、それぞれの地域で一生懸命やっていらっしゃいますけれども、まだまだ未整備地域があったり、あるいは時間が五時に終わってしまうので、その後が心配だとか、保護者の方が迎えに来られないとかあると思うんですが、そうした問題も含めて今後拡充をぜひお願いしたいと思っておりまして、そのあたりにつきましてお願いをいたします。

○北井政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、子ども・子育て応援プランにおきまして、平成二十一年度の目標数値を一万七千五百カ所といたしております。平成十七年五月一日現在で全国で一万五千カ所余りのクラブがございます。
 厚生労働省といたしましては、まずはこの目標値の達成ができるだけ早くなされるように、平成十八年度概算要求におきましても対前年度八百カ所増の要求をいたしておるところでございますし、地方自治体に対しましても、必要な地域に早く放課後児童クラブが整備されますように積極的に働きかけているところでございます。
 また、補助に当たりましては、長時間開設する場合には加算を行うなど、利用実態に合わせた補助をしてまいりたいというふうに考えております。

○上野委員 ぜひ利用実態に合わせて、一律に基準単価でやるのではなくて、柔軟な対応ということもぜひお願いをしたいと思っています。
 最後になります。今いろいろな具体的なお話をさせていただきましたけれども、やはり何が必要かというと、私は政府全体としての強いメッセージというのが必要だと思うんですね。政府全体として、子供を守るんだ、子供に対する犯罪は絶対許さない、そういうメッセージをぜひ政府のリーダーシップで発揮をしていただきたいと思っています。
 きのうから、いろいろな各省の皆さんに来ていただいてお話をお伺いしているんですが、これはともすれば各省の縦割りの中に埋没してしまうんですね。すぽっと落ち込んでしまう可能性がある。今各省の皆さん非常に熱心に連携してやってもらっていると思うんですが、ただ、そういう危険性があるのは確かなので、これはぜひ内閣府、副大臣きょうはおいでいただきましてありがとうございます。内閣府の方でしっかりとリーダーシップを発揮してもらって、各省の縦割りを超えてやるんだ、そこをぜひメッセージとして出していただきたいと思いますし、重要な政策についてはぜひ期間を決めて、いつまでにこれをやるということを決めてやっていただきたいなというふうに思います。
 あと、さっき池坊委員の方からもお話がございましたが、やはり自治体の意識が高いところと低いところがあるという問題もありますので、自治体への強力な働きかけも含めて、ぜひ副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口副大臣 上野委員のおっしゃるとおりだと思います。幼い子供たちの命を犯罪から守る、そして子供やその保護者が安心して暮らせる社会、これを政府の最重要課題にしているわけであります。
 今般の事件を踏まえた政府の対策については、既に二回、内閣官房を中心として局長級会合をしております。この取りまとめを国民にしっかりと打ち出し、今おっしゃられたように、関係省庁間で緊密に連携を図り、子供の安全対策を強力に推進していきたい。特に、学校や警察を含め、地域全体で子供の安全確保を図る取り組みが必要でありますし、文科省や警察庁の関係省庁が密に連携を図るとともに、各自治体レベルで、学校、教育委員会、警察署の関係機関の連携を図られるよう努力していきたい。
 私も民間からこの世界へ入りましたけれども、どうしても、縦の関係をやはり横にきちっと連携を密に、これはこの問題だけでなくてやはり政府全体の問題でありますので、これからもしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、委員の御協力をよろしくお願いいたします。

○上野委員 力強いお話をいただきまして、ありがとうございました。ぜひそうした方向でお願いをいたします。
 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

○近藤委員長 松本洋平君。

○松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 先ほど来、各委員から質問が出ておりますとおり、本当にここ最近、児童をねらいました卑劣な犯罪が非常に横行をしておりまして、巷間、ちまた、ニュースを騒がせているところでございます。国民のこの児童犯罪に対しましての恐怖心というのは今まさにピークに達している、それが今の我が国の状況だというふうに思っております。
 私、今三十二歳でございます。私自身、先ほど来質問の中にも出ていましたけれども、学童保育クラブに通っておりました。私が小学校一年生、二年生、三年生、低学年だったころを考えてみますと、今十二月です、五時でももう真っ暗なそうした中を、友人と一緒に特に危険を感じることなく通っていたということを思い出すわけでございます。そうした中におきまして、今そういった子供たちがなかなか外を安心して歩けないという状況に対しまして、大変残念な思いでいっぱいであるわけでございます。
 そうした中におきまして、各委員の質問の中にもありましたとおり、今、地域ですとか、またお父さん、お母さんを中心といたしまして、一致団結いたしまして、安全、安心の町づくりを取り戻そうということで活動をされているわけでございます。もう時間も余りないものですから、これは御答弁は結構でございますけれども、政府といたしましても、こうした取り組みに対しましては万全の御支援というものをぜひとも御検討をいただきたい、そのように思っているところでございます。
 私、きょうはちょっと違う観点からぜひ質問をさせていただきたいと思っております。
 今申し上げましたけれども、私は、やはり道草というものは子供の教育にとって極めて重要なことじゃないかというふうに考えているところでございます。この道草を通しまして、先ほど土屋委員もおっしゃったとおり、自然体験学習ですとかいろいろなことを覚えるわけでございます。痛みですとかそういったものも、こうした道草を通して子供たちは大きく成長をしていくんじゃないか、私はそのように思っているところでございます。しかしながら、残念ながら、現状を見る限り、そうした道草がなかなかできない環境になってきてしまっている、それはやむを得ないことだと思います。
 しかしながら、私は、そうした地域の防犯対策、もちろんやらなければならないんですけれども、それに加えてぜひともやらなければならないことがあるんじゃないかと思っております。
 それはどういうことかと申しますと、本来、犯罪者にならなくてもよかった人間が犯罪者になってしまうような社会環境というものが、今我が国には存在しているんじゃないかということを非常に強く感じるわけでございます。実際に、この児童に対しましての犯罪、加害者の自宅等から、児童ポルノですとか、また有害図書ですとか、そういったものが数多く押収されるというようなことが、マスコミ上も報道をされているわけでございます。私は、やはりこういうもののはんらんというものが、ある意味犯罪を生み出す温床となっているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 確かにスクールバスも大事でございます。しかしながら、そうしたスクールバスによって犯罪が全くなくなればこの国はよくなるのかといえば、私はそこで終わってはいけないと思っております。我々が目指さなければならない社会というのは、犯罪がなくなりまして、子供たちが安心して外で遊べる社会というものをつくり上げることが最終目的でなければならないというふうに思っているわけでございます。
 そうした観点から見まして、犯罪者を生み出さないそうした環境をつくるために、私は、ちまたにはんらんする児童ポルノ、また有害図書が容易に手に入るような、こういった社会環境を何とかしていかなければならないと考えているところでございますけれども、これに対しましての内閣府の現状認識、またその取り締まりにつきましての警察庁の見解というものをぜひともお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口副大臣 松本委員の最初の、三十二歳、道草、私は五十七歳でありますけれども、小学校に通うころは、行きは三十分、帰りは一時間で、仲間を跳べない川を跳ばして親から怒られたり、そういう記憶を今思い出しました。
 今はポルノの質問でありますけれども、幼児ポルノについては、児童の尊厳を害するばかりでなく、本当に児童を性の対象としてとらえる風潮を助長することになる点で、非常に有害なものであることをまず認識しております。また、有害図書については、子供が自由に出入りできる場所では有害図書を青少年の目に触れさせないようにすることや、容易に購入できなくすることが青少年の健全な育成を推進する上で必要なことと認識をしているわけであります。
 政府としては、幼児ポルノについては、平成十一年に児童買春、児童ポルノ禁止法が通ったわけでありますけれども、この運用により規制を行っているところでありますけれども、有害図書についても、都道府県が定める青少年保護育成条例で規制がなされておりますし、地方公共団体に対しまして、条例を効果的に運用いたしまして青少年に配慮した販売方法を講ずるよう、これまでもたびたび要請はしているところであります。
 今後とも、この幼児ポルノに係る違法行為の取り締まりや、有害図書に対する適切な対策が確実に実施されるよう、政府と地方公共団体が先ほど来ありますように一体となって取り組むこと、性犯罪を初めとする青少年の犯罪被害の根絶に向けてこれからも政府を挙げて全力で取り組んでまいります。

竹花政府参考人 警察におきましては、平成十一年に制定され十六年に改正されました児童買春、児童ポルノ法を活用いたしまして、児童ポルノの製造、販売や公然陳列等の行為について、平成十六年には百七十七件を、また本年上半期では、ほぼ昨年一年分に相当いたします百七十件を検挙いたしているところでございます。
 また、青少年が性に関する有害な情報に接することは、青少年に性についての誤った認識を持たせることにもつながるものであるところ、各都道府県で制定されております青少年保護育成条例におきまして、有害図書類の青少年に対する販売の禁止あるいは区分陳列について規定されております。関係業界による取り組みが行われておりますが、警察といたしましても、有害図書類を十八歳未満の者に販売するなどの行為について、平成十六年には百二十六件を検挙いたしているところでございます。
 近年のインターネットの普及等の問題もございます。違法有害情報対策を推進して、犯罪を助長する児童ポルノや性に関する有害情報のはんらん状況についても警察としても十分な関心を持ちまして、取り締まり等の対処をしてまいりたいと考えております。

○松本(洋)委員 政府、地方一体となってお取り組みをされているという御答弁でございました。
 しかしながら、ぜひとも現実というものをより一層認識をしていただきたいというふうに思っております。それは、何よりもこうした犯罪が起き続けている、そして、そうした犯罪者のお宅からはやはりこういったものが押収されている、そこの事実というものをぜひともより一層認識をしていただきたい。そして、必要とあらば、私は、やはり規制の強化、取り締まりの強化というものをより一層推進していかなければならない重要な問題ではないかというふうに思っておりますので、その点に関しましても、ぜひとも強力な推進をよろしくお願い申し上げます。
 また、こうした児童をねらった犯罪を考えたときに、私が強く感じますのは、性に対する意識の希薄さといいますか、短絡的かつ安直にだんだん日本人の心というのがなってきて、倫理観の喪失といったものを強く感じる次第でございます。
 何でこういう国になってしまったのかなということを考えてみましたときに、もちろん、さまざまな要因が考えられるわけではございますけれども、しかしながら、私が感じるのは、やはり今の日本の教育というものに問題が潜んでいるのではないかとも私自身は思うところでございます。
 先ほども話がありましたけれども、二十歳そこそこの人間がそういった事件を起こしてしまったりというようなことが多いわけでございまして、ある意味、戦後の教育、問題はいろいろありますけれども、そういった教育を受けてきた世代からそうした事件を起こす犯罪者が非常にふえてきているような印象が私にはあるわけでございます。
 そうした教育の中で、私が非常に大きな問題になっているんじゃないかというふうに思っているのは、やはり学校教育の現場におきまして過激な性教育等が行われることによりまして、性に対しての倫理観の喪失、そういったものが生まれていることが原因の一因になっているんじゃないかというふうに私は感じているところでございます。
 そこで、ぜひ文部科学省にお伺いをしたいんですけれども、こうした過激な性教育などによりまして犯罪がふえているんじゃないかという私のこの思いに対しましての考え方、そして取り組みにつきましての御見解をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 文部科学省におきましては、学習指導要領にのっとり、児童生徒の発達段階に沿った時期と内容で実施することや、保護者、地域の理解を得ながら進めること、そういったことを性教育に取り組む上での基本的な考え方といたしまして、各種の研修会の開催等により周知を図っているところでございます。
 文部科学省におきましては、これまでの性教育の指導に加えまして、本年度、公立の義務教育諸学校を対象とした実態調査をするなど、その実態把握に努めているわけでございまして、今後とも適切な性教育が実施されるよう努めてまいりたいと思っているところでございます。
 今お話がありましたいわゆる過激な性教育との関係につきましては、私ども、明確にお答えするということは困難であると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、性教育は、科学的な知識を理解させるということのみならず、情報への適切な対処でございますとか、異性についての正しい理解を深め、相手の人格を尊重するということも目的としているわけでございますので、そのようなことを踏まえて性教育を進めていくことが大事であろうかと考えているところでございます。

○松本(洋)委員 今回のこうした児童を対象にいたしました犯罪のその根本的な問題がどこにあるのかというのは、議論が分かれるところだというふうに思っております。しかしながら、もう時間もございませんので最後に一言だけ申し上げさせていただこうと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、我々が目指すべき姿というものは、単に犯罪がなくなればいいというものではないということだけ、ぜひとも強く申し上げたいと思っております。その先にある、子供たちが安心して外で遊べる社会をつくるために我々は今何をしていかなければならないのかということを強く意識していかなければならないわけでございます。
 そうした観点に立ちまして、こうした問題点の根本的な原因が一体どこにあるのか、ぜひともより一層御議論をいただきたいというふうに思っておりますし、そうした問題意識に基づきました解決策というものも、ぜひとも全力をもって取り組んでいただきたい、そのように思っているところでございます。
 私自身も、一生懸命頑張りまして、そうした取り組みに御協力をさせていただく。私が小学生のころ自分自身が体験したように、道草を通しましてさまざまな体験学習をする機会というものをぜひとも子供たちに与えてほしい、そして、そういった社会が実現できなければ活力ある社会というものを我が国が取り戻すことはできない、そのように考えておりますことを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○近藤委員長 横山北斗君。

○横山委員 民主党の横山北斗といいます。
 まず、下校時の安全対策につきまして、十五歳以下の子供の略取誘拐、警察庁のデータによれば、時間帯は十五時から十八時、場所は通学路での発生、これが全体の半数を占めるということです。この間、対策として、防犯カメラを設置する、防犯マニュアルを作成する、学校と警察との連携を深める、地域住民による防犯パトロールの強化、あるいは子供たちみずからがみずからを守るための訓練をする、そういう教育プログラムの実施など、数多くの努力が展開されてきているわけですが、子供の安全対策に直接それを仕事として、あるいはボランティアとしてかかわってきた方々の御意見を集約いたしますと、まず大人の目をふやすということ、それと子供を一人にしない、この二点がとりわけ重要であると考えられております。
 この点をまず踏まえまして、下校時における児童の安全確保に関する文部科学省のお考え、施策について最初にお尋ねしたいと思います。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘ありました、大人の目をふやす、子供を一人にしない、これは登下校時の子供の安全の確保に係る重要なキーワードであると私ども承知いたしているところでございます。
 この十二月にも各都道府県教育委員会等に対しまして、改めて登下校時の通学路の安全確保につきまして通知を出しましたけれども、その中におきましても、「安全な登下校方策の策定・実施」というところの項目におきまして、子供を一人にしないという観点に立った登下校方策の策定を求めておりますし、また「幼児児童生徒の登下校を地域全体で見守る体制の整備」につきましても要請をしているところでございます。
 文部科学省におきましては、平成十七年度から、地域社会全体で通学路の安全を含みます学校安全体制を整備するための地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を開始いたしまして、ボランティアの方々やそれを指導するリーダーの方の指導、そういった体制を整備しつつあるところでございます。
 そういうことを含めまして、さらに一層子供たちの通学路等の安全確保につきまして努めてまいりたいと思っております。

○横山委員 ただいま文部科学省の施策についてお話を伺いました。ほかにも、関係各省庁それから民間団体などがさまざまな取り組みをしていることと思います。実際、先ほど御答弁にもありましたように、児童の安全を守るための防犯ボランティア団体だけで全国に一万四千、そのうち千四百団体はほぼ毎日活動しているという話を聞いております。
 そうした中で、今回私があくまでケースとして取り扱いたいのは、学童擁護員あるいは交通整理員として知られております緑のおばさんの存在です。
 この緑のおばさんといいますのは、交通戦争が勃発しました一九六〇年代の初めに東京都でスタートした制度ということで、直接各省庁の守備範囲ということとは異なることは承知しておりますが、緑のおばさんは集団での登下校の手助けをするという点で、つまり安全対策の重要ポイントである、子供を一人にしない、大人の目をふやすという点で、単に交通安全ということだけでなく、その存在が防犯効果にもつながっていたと私は考えます。それが、現在、少子化に伴う学校統合によるスクールバスの普及とか、あるいはさまざまな交通整備拡充を理由に、また財政面での制約から廃止の方向に向かっております。
 私の住んでおります青森県の現状ですと、例えば二〇〇三年度には、交通整理員設置事業費補助として県から二十八市町村に、百四十人分として二千五百二十万円の補助金が交付されておりました。それが、二〇〇四年度に、財政危機ということで、県は財政改革プランに基づいてこれを廃止します。実は、この緑のおばさん事業への補助金の廃止というのは都道府県では青森県が最後ということで、よそはもう既に廃止しているという状況です。
 この結果、青森県では二〇〇四年度以降、県都の青森市が、その補助金の打ち切りを理由に十七人いた緑のおばさんを廃止しまして、結局、各学校、地域の自助努力によって通学児童の安全確保に当たってくださいということになりました。しかし、同じ青森県でも弘前市では、県の補助金がなくなったことで二十名いた緑のおばさんを二名減らしたんですが、しかし、その残り十八人は独自の予算で継続していくということを決定いたしました。
 ここでお尋ねしたいことは、確かに緑のおばさんの存在だけから防犯それから事故防止の効果について科学的に数字を示して証明できないかもしれません。しかし、緑のおばさんが学校と家庭との中間の存在として地域の安全に貢献してきたというのが一般の認識だろうと私は考えております。
 その点で、それがいるのといないのとで児童の安全に対する地域間格差が生まれる懸念はあります。つまり、ケースとして緑のおばさんを取り上げましたが、地域の財政力の違いが児童の安全、命の問題に格差を生じさせる危険性、可能性があると考えます。副大臣、これについてどうお考えでしょうか。

○山口副大臣 その緑のおばさんは別としましても、議論はあるところでありますけれども、学校からの下校小学生殺害、痛ましい事件が発生をいたしまして、低年齢児童の下校の安全確保が今極めて重要な課題となっているわけであります。このような子供を抱える保護者の方々も、子供の安全に不安を抱いておられるわけであります。
 また、この問題については、政府においては従来から、学校や通学路の安全対策、地域防犯対策、さらに再犯防止対策等の取り組みを関係省庁を挙げて推進しているところでありますし、特に、文科省及び警察庁において通学路等の安全確保の徹底を図っているところであり、ボランティア等を活用した地域ぐるみの子供の安全確保の取り組み等を進めております。
 また、一連の事件を受け、先ほど申し上げましたけれども、内閣官房において関係省庁の局長級会合を開催し、関係省庁が連携して、速やかに検討、対応を進めているところでもあります。また、地域を挙げて子供の安全を守っていくことが求められておりますし、関係省庁において、これまでの取り組みをなお一層徹底していただくとともに、地域住民の方々の協力を得ながら、子供の安全のために努めている所存でございます。






○石井(郁)委員 終わります。ありがとうございました。

○近藤委員長 保坂展人君。

○保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 子供の事件、そして幼い子が、小学生が被害に遭って亡くなっていく事件が起きています。犠牲になったお子さん、そして御遺族に、本当に哀悼の意を申し上げたいと思います。
 さて、警察庁に来ていただいていると思いますが、子供、十八歳以下ということになろうかと思いますが、子供が被害者となった殺人事件の件数なんですが、戦後、件数が最も多かった時期の件数、その件数が戦後の過程では一番低い時期、そして現在、この三つに分けて、どういう経緯をたどっているのかお答えいただきたいと思います。

竹花政府参考人 統計の取り扱いに変遷がございまして、年齢別の統計を集計し始めたのは昭和四十七年以降でございます。ということもございますし、十三歳未満の子供に対する犯罪の統計をとり始めたのは平成元年なのでございます。
 したがいまして、平成元年以降について見ますと、子供に対する未遂を含む殺人事件の認知件数は、最も多い年が平成元年で百八十六件、最も少ないのは平成十一年で八十七件となっております。平成十五年は九十三件、平成十六年は百十一件となっております。

○保坂(展)委員 では、確認ですけれども、たしか、犯罪白書や少年事件の統計だと、少年による殺人事件のピークというのは戦後しばらくしてからというふうに私は記憶しているんですが、間違いないですか。

竹花政府参考人 手元に数字がございません。確かなことは申し上げられませんけれども、戦後すぐの少年事件が第一のピークであったということは事実でございます。


○近藤委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時八分散会


*作成:西條 貴伸
UP:2008 REV:
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