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ページ更新時間:2009年6月18日(木) 00時42分

臓器移植法改正案採決に消えぬ不安

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 臓器移植法改正案が18日、衆議院で採決を迎えます。はたして十分に議論は尽くされたのでしょうか。

 「これで1日3回の栄養補給と水分補給」(野村淳さん)

 岐阜県に住む、野村淳さん。二男の誠悟くん(12)が、人工呼吸器をつけて12年が経ちました。

 「お風呂とかが好きで、お風呂に入るときすごくいい顔してるような。いい表情だと思います」(野村淳さん)

 今の臓器移植法が成立した、1997年。誠悟くんは生後4か月で心肺停止に陥りました。心臓は回復したものの、医師からは「脳死に限りなく近い」と告げられました。

 「『脳波に関しては、ほとんどない』と言われたときには、これからどういうふうになるのか、本当に不安で・・・」(野村淳さん)

 医師からは、重い合併症が起きた場合には、治療を中止することも説明されたといいます。

 「呼吸器のことだと思うが、設定を下げたりとか薬とか、そういったものの中止も含めて、医療の水準を下げていくというような話は医師から何回かされたので・・・」(野村淳さん)

 人工呼吸器をつけた子供の親たちで作る、「バクバクの会」。この夏の集会に向けた打ち合わせをする中でも、臓器移植法の改正案が話題に上りました。

 「『生きています。この子は生きている』ということを言っていくしかない」(バクバクの会の女性)

 「法律で決められましたと出ちゃうと、(脳死の子も誠悟くんも)一般の人から見ると全部一緒くたですよね」(野村淳さん)

 「『脳死状態』と『臨床的脳死』、『法的脳死判定で診断された脳死』の3者が混同して、あるいは、すり替えられて『脳死』として議論されているのが現状です」(A案提出者・中山太郎議員)

 子供の移植に道を開くA案では、「脳死を人の死」とすることを前提としていますが、提出者は「脳死に近い状態の子は、法律の対象にはならない」と理解を求めています。しかし、医療の現場で、救命措置が疎かになってしまうのでは、といった懸念がつきまといます。

 「脳死に限りなく近いからということで」(野村淳さん)
 「『呼吸器をつけたいんだけども、呼吸器をつけてあげることができません』みたいな、そういう医療になってしまう可能性がある」(バクバクの会の女性)
 「一番心配なのは、移植のために医療水準を落とされてしまうこと」(野村淳さん)

 一方、「臓器提供の場合に限り、脳死を人の死」とするD案が通ったとしても、社会や医療関係者が、脳死状態の子を持つ親たちに対し、臓器提供を勧めるという「無言のプレッシャー」を生むのではないかという心配もあります。

 「『こんな状態でいるぐらいなら、臓器をあげればいいのに』みたいな目で見られるのではという心配が・・・」(野村淳さん)

 18日は、A案から順に採決が行われますが、どの案も、過半数を獲得できるかは不透明な情勢です。(17日23:10)