第19回 九死に一生
前々職での話です。
あるプロジェクトで,システムテスト中に洒落にならない設計ミスが判明。もちろん,ユーザには報告をしなければならないことになります。
再設計からこれまでの納品したものへの影響,納期のずれなど,報告に必要なことを事前に話し合い,取りまとめたうえで,いざ報告となりました。
ところがお客さんの前に出た途端,この設計をメインで担当していたA君が,事前の打ち合わせを無視し,ある事ある事すべてお客さんにぶちまけます。担当営業をはじめ,こちら側の関係者のあいた口はふさがりません。
先方の課長さんと担当者はA君が口を開く度にどんどんヒートアップし,部長さんは静かに耳を傾けています。あまりの怒りに声も出ないのかと思っていたのですが……。
報告が終了し,納期の延長についても折り合いがついた報告会の終盤,先方の部長さんが「正直,この話を聞いたときには本当に残念でした。ですが,本日正直に話していただけた点だけは評価します。失った信用を取り戻せるようがんばってください」と仰りました。実際に落とし所を作ってくれたのもこの部長さんでした。
失った信頼を取り戻すことは並大抵のことではありませんが,少しでもユーザからの信頼を取り戻すため,やっきになってシステムを作り上げたのは言うまでもありません。
だ~やま(男/31歳/その他技術職)
おおおおお,これは恐ろしい。落としどころを考えないままの,感情に任せた暴走発言ほど怖いものはないですよね。恐ろしい恐ろしい。
結果的には,理解あるお客さんに助けられてなんとか収拾もついたようで何よりです。しかしこのAくんはどうなったのでしょうか。投稿文を読む限り,プロジェクトの重圧が心の中の喫水線を越えてしまったがために,言葉があふれ出して止まらなくなったように思えるのですが……。
Aくんも事なきを得てますようにと願うばかり。なむなむ。
※この連載は,最新記事を含めて5回分の公開になります。
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