沖縄密約情報開示訴訟の第1回口頭弁論を終え記者会見する原告ら=16日、東京の弁護士会館
【東京】沖縄返還交渉中に日米が交わした財政負担に関する秘密文書、いわゆる「密約」文書の情報公開請求をめぐり、「不存在」を理由に不開示決定した外務・財務両省の対応を不服として、県内外の学者やジャーナリストら25人が国を相手に提訴した文書開示を求める行政訴訟の第1回口頭弁論が16日午後、東京地裁で開かれた。杉原則彦裁判長は冒頭、「密約がないとすれば、米国の文書はどういうことになるのか」と米国公文書の存在と密約の存在を否定する日本政府の主張の整合性に疑問を呈し、被告の国側に「十分な説明を希望する」と述べた。
原告団を代表し、桂敬一立正大非常勤講師、我部政明琉球大教授の2氏が意見陳述。杉原裁判長は「米国に文書がある以上、日本側にもそれに対応するかそれを報告する文書があるはずだとする原告の主張は十分理解できる」と原告団の主張に一定の理解を示し「同裁判は文書の存否が争点となる」と述べ、秘密文書の作成にかかわったとされる当時の外務省の吉野文六アメリカ局長を証人として呼ぶことも原告に要望した。証人の出廷は今後、原告弁護団が吉野氏と協議する。次回の口頭弁論は8月25日。
国側は答弁書で、原告が開示を求める3文書について「いずれも保有しておらず、原告らが主張する事実関係については確認できない」と密約の存在を否定。さらに「一般論として、他国との交渉の過程で、仮にさまざまな文書が作成されたとしても、それが交渉の最終的な結果である合意自体でない場合等に、事後的に破棄されることがある」と説明した。これに対し裁判長は「事後に破棄ということは、当初は保有されていたということか」とし、開示を求める3文書が破棄されたのか否かを問うと、被告弁護団は「確認はできない。過去において可能性は分からない」と述べた。
◆文書「当初は保有?」/裁判長が積極質疑
【東京】日米「密約」の文書開示を求める第1回口頭弁論では、冒頭から杉原則彦裁判長が「事後に文書を破棄するということは、当初は保有していたということか」「密約がないとすれば米国の文書はどういう意味になるのか」など被告の主張に次々と疑問を投げ掛けた。原告側には、冒頭からの裁判長の積極的な質疑に「まれな訴訟指揮だ。われわれの予想以上のものだ」「今までにはない面白い裁判になる」と期待が広がった。
杉原裁判長は「米国に文書が存在する以上、日本に同様の文書が存在するはずだとする原告の主張は理解できる。密約がないとすれば米国の公文書はなんと理解すればよいのか。合理的に説明する必要が被告側にはある」と述べ、原告側の主張に理解を示した。
また、国が他国との交渉関係文書を事後に破棄する可能性があると主張したことに対し「一般論ではなく、今回の対象文書はどうなのか。事後に破棄するということは、当初は保有していたということか」と迫った。国は「分からない」と答えを濁した。
さらに、次回裁判期日を決めるやりとりでは、裁判長が1カ月後を提案したのに対し、被告は2カ月の準備期間を要望。裁判長は「3月に起こされた訴訟ですよ」と、これまで十分に準備期間があったとの認識を示した。
結局、被告の主張を受け入れ、次回公判は2カ月後の8月と決めたが、杉原裁判長は被告に対し「充実したものが出ることを期待しています」と述べ、自身が冒頭で示した疑問に十分に応える内容となるようくぎを刺す場面もあった。
原告団弁護士の小町谷育子弁護士は「裁判長が裁判の冒頭から文書の破棄について被告に説明を求めるなど今までにない裁判の進め方だ。裁判長の決意を感じる」と述べ、今後の裁判に期待した。
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