イラン騒乱、11都市に拡大…死者15人以上に
【テヘラン=久保健一】イラン大統領選の開票結果をめぐる同国改革派勢力と治安部隊・民兵の衝突は17日、少なくとも全国11都市に広がり、改革派の情報を総合すると、当局などの弾圧による死者は累計で少なくとも15人になった。
改革派を率いるムサビ元首相は同日、声明を出し、選挙無効と再選挙を改めて要求、抗議デモ継続の姿勢を示した。
最高指導者ハメネイ師による度重なる自制要求を事実上無視したもので、イランの「イスラム革命体制」は樹立から30年で、最も深刻な危機に直面した。
イランの有力な人権団体によると、南部シラーズでは16日夜(日本時間17日未明)、1万人近い改革派支持者と警官隊が衝突。当局は市内に外出禁止令を出したが、抗議行動は17日未明まで続いた。中部イスファハンの中心部でも抗議集会が同日続けられ、多数の負傷者と逮捕者を出した。
一方、学生組織「タフキム・バフダト」によると、テヘラン大学の学生寮が14日夜、アフマディネジャド大統領派の過激派の襲撃を受けた。ナイフやオノで襲われた改革派学生5人が死亡したという。
改革派は17日もテヘラン中心部で、5日連続となる抗議デモを行った。目撃者によると、中心部の目抜き通りを約10万人が埋め尽くし、再選挙を要求した。
治安当局は改革派活動家の逮捕を続行し、16、17の両日、サイド・ハジャリアン氏など著名論客を含む十数人を逮捕し、逮捕者は計100人を超えた。また、AP通信によると、革命防衛隊は17日、国内のウェブサイト運営者に対して、選挙に関する書き込みの削除を命じた。
イラン外務省は16日から17日にかけて、英、仏、チェコ、スイスの大使を呼びつけ、イラン政府への批判は「内政干渉」と伝えた。スイス大使館は、米国の利益代表部も務める。
改革派勢力の抗議行動に危機感を強めるアフマディネジャド保守政権は、デモ弾圧や支持者逮捕など強権的手法をエスカレート。これに反発する形で改革派の抗議が活発化しており、今後、両派の衝突がさらに激化する恐れもある。
- マフムード・アフマディーネジャードとは (goo Wikipedia記事検索)
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