【北陸発】石川から全国へ オタマジャクシ 降り積もる謎2009年6月18日 専門家 つむじ風や鳥説ネット 『町おこし』『いたずら』「オタマジャクシが降ってきた」。六月上旬に石川県の能登半島で始まった騒動はその後、県内各地から浜松市や愛知県知立市など全国に広がっている。“発信地”の石川県では、専門家が調査に乗り出す事態までに。鳥説とつむじ風説が有力視されているが、真相は−。(報道部・福田真悟) 騒ぎの発端となった同県七尾市中島市民センターの駐車場。気象現象に詳しい金沢工業大(同県野々市町)の饗庭(あいば)貢教授(電気工学)は県民の関心事に答えを出そうと現場に赴いた。 すると、駐車場の地面が日光で熱を持つことで上昇気流を生みやすく、山や高い建物などに囲まれていることが分かった。「気象台で観測が難しい局地的な突風の一種のつむじ風が吹きやすい地形」と分析。県内でほかに大量に見つかった場所も似た地形で「つむじ風が原因に違いない」と断言する。 一方、日本鳥類保護連盟石川県支部長の時国公政氏は「鳥説」を推す。オタマジャクシを食べるアオサギの生息地が近くにあり、春先からの繁殖期が続く。「ひなに運ぶ際、かなりの数をのどまで入れる。カラスに脅かされるなどして落としたのでは」と話した。 ただ、地形や鳥の習性が突然、変わったわけではない。「今年始まった話ではなく、報道でみんな注意深くなり、報告が相次いでいるのでは」と饗庭教授、時国氏は口をそろえる。 話題性は高く、インターネットの掲示板などでは「新手の町おこしか」「いたずらでは」と諸説が飛び交う。北陸学院大(金沢市)の丸山久美子教授(心理学)は「世界不況など世情が不安定な時には、こうした非日常的な出来事に何か意味を感じ、騒ぎがエスカレートしやすい」と指摘した。 宮城や埼玉 4県で発見宮城、埼玉、長野、鹿児島各県で、空から落下したオタマジャクシや死骸(しがい)が新たに見つかっていたことが住民らへの取材で分かった。 宮城県大和町で十五日午後五時十分ごろ、吉川はる子さん(74)が自宅にいると「バラバラバラッ」という音がし、屋根や庭にオタマジャクシ約五十匹が落ちてきた。ぬれていたが、すべて死んでいた。 同県大崎市では十六日午後四時ごろ、主婦高橋よう子さん(54)の自宅庭に、オタマジャクシや小魚とみられる約二十匹の死骸が落ちてきた。 埼玉県久喜市の無職男性(77)は十六日午後一時ごろ、庭などにオタマジャクシや小魚とみられる二十数匹の死骸が散乱しているのを見つけた。 長野県須坂市立日野小学校の校庭では十五日朝、オタマジャクシ約四十匹の死骸が散乱しているのを教諭が見つけた。 鹿児島県伊佐市では十六日夕、散歩中だった男性会社員(58)が、路上に散乱しているオタマジャクシ約二十匹の死骸を発見。近くに水田はあるが、路面は乾いていた。
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