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歌舞伎:NINAGAWA 十二夜(新橋演舞場) うまい菊之助の時に応じた変化

 シェークスピアの同名作の歌舞伎化。今井豊茂脚本、蜷川幸雄演出。2005年7月に歌舞伎座で初演された。今年3月にはロンドン公演を行い、全体を刈り込み、上演時間を短くした。今回は2幕構成のロンドン版での上演。

 船の難破で兄の主膳之助(菊之助)と生き別れた琵琶姫(同)は男装して獅子丸と名のり、大篠左大臣(錦之助)の小姓となる。左大臣は織笛姫(時蔵)への恋の使者に獅子丸を立てるが、織笛姫は獅子丸に一目ぼれ。一方、獅子丸は左大臣を思慕していた。

 琵琶姫、主膳之助、左大臣、織笛姫の4人をめぐる恋の騒動。刈り込んだことで、よりテンポある舞台となった。男になりすました琵琶姫が左大臣との会話に夢中になり、思わず女性の地を出すところなど、菊之助の時に応じた変化がうまい。獅子丸と、きりっとした若衆ぶりの主膳之助の対比が際立った。

 2役の菊五郎が用人の坊太夫では尊大さの中にこっけいさを出し、道化の捨助では軽妙さを表現した。時蔵と錦之助は終始、端正な演技を見せた。

 全体をかき回す織笛姫の叔父の鐘道(左団次)、腰元の麻阿(亀治郎)、姫にぞっこんの英竹(翫雀)の取り合わせがおもしろい。亀治郎が動きの端々にまで利発者のさえを出し、翫雀は柔らかなユーモアを見せた。左団次は遊び好きでおおらかな風情。金井勇一郎の鏡を用いた美術が美しい。28日まで。【小玉祥子】

毎日新聞 2009年6月17日 東京夕刊

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