「福岡市の3児死亡事故を忘れてしまったのか」‐。小倉北署留置管理課の男性警部補(56)が道交法違反(酒気帯び運転)容疑で現行犯逮捕され一夜明けた17日、本来取り締まる側の警察官の飲酒運転容疑に、市民からは憤りの声が上がり、身内の警察官には動揺と落胆が広がった。
警部補の飲酒運転が発覚した若松区内では今年2月、飲酒運転の車に男女4人が次々にはねられ1人が死亡する事故が起きたばかり。
その事故現場近くに住む主婦(43)は「飲酒運転は本当に怖いと思っていたら、今度は警察官だなんて」とあきれた様子。同区の会社員男性(58)も「近くで悲惨な事故があっているのに、飲酒運転の重大さが分からないなんて許せない」と、憤りをあらわにした。
県警は、福岡市東区で当時1歳と2歳、4歳の幼い命が飲酒運転の車の犠牲になる事故があった2006年以降、飲酒運転撲滅を目指し取り締まりを強化。警察内部でも職員にアルコール検知器を配るなど取り組みを進めていた。
そんな中での不祥事に、同日朝に出勤した県警幹部は「高まった撲滅機運が台なしになる」と、苦い表情。警部補の上司にあたる小倉北署幹部も「県民を裏切る行為。顔向けできない」と唇をかんだ。若松署幹部は「署内には飲酒運転を許さない空気があるのに、まさか警察官を逮捕することになるなんて」と、動揺を隠せなかった。
=2009/06/18付 西日本新聞朝刊=