「大大阪」と呼ばれ、著しい発展を遂げた大正末期~昭和初期の大阪をテーマに、出版物や広告、パンフレットなどから当時を振り返る特別展「昭和12年のモダン都市へ」が、豊中市待兼山町1の大阪大総合学術博物館で開かれている。1937(昭和12)年製作の観光映画「大大阪観光」(大阪市指定文化財)=同展で上映中=に描かれた活気あふれる大阪を舞台に、約120点の関係資料を展示している。
大阪は25年、人口・面積ともに東京市を抜いて日本一のマンモス都市となった。33年には、日本で最初の公営地下鉄、御堂筋線が開業。大阪市電気局と同産業部が製作したこの映画には、豊かな水運を利用した観光艇や最新鋭のプラネタリウムのほか、当時ばい煙が問題となっていた工場群までが「力の象徴」として映し出されている。
映画館のチラシや飲食店のマッチラベルなどデザイン性の高い展示資料からは、大都市で花開いた洗練された庶民文化が伝わってくる。そのほか、流行の風俗や文化を取り上げた「サンデー毎日」(22年創刊)などの雑誌や、国会議員の選挙ポスターもあり、さまざまな角度から大大阪の素顔に迫ることができる。
橋爪節也・同博物館教授は「古くて新しい、矛盾する要素を抱えていることこそ大阪の特徴であり魅力。大阪の絶頂期の姿を知ってもらえたら」と話している。
7月4日まで。午前10時半~午後5時。日曜、祝日休み。入館無料。同博物館(06・6850・6284)。【林由紀子】
毎日新聞 2009年5月24日 地方版