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【社会】

梅雨でも続く感染なぜ 高温多湿関係なし

2009年6月17日 朝刊

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 愛知県の東海学園大の学生5人に発症が確認されるなど、新型インフルエンザ感染者の発見が全国で散発的に続いている。インフルエンザウイルスは従来、「暑さや湿気に弱い」と言われてきた。東海地方以西が梅雨入りした今月9日以降も、感染が続いているのはなぜだろうか。

 厚生労働省によると、発症日別の報告数では、関西地方で集団感染が確認された5月中旬に続き、6月に再び発症数が増えている。感染者が出た地域も、5月末には13都府県だったが、6月に入って長野、三重、岩手県、北海道などに拡大し、計30都道府県にまで広がった。

 インフルエンザウイルスは気温27〜29度、湿度89%の条件下では1時間しか生存できず、紫外線にも弱い。また、感染しやすいのは、のどの粘膜が乾燥し、細胞が弱っているときだという。

 暑くなっても発症が続く理由について、京都産業大鳥インフルエンザ研究センター(京都市)の大槻公一教授は、「従来の季節性インフルエンザは、真冬の病気だと思って、発症があっても検査しない雰囲気があった。これまでも夏に感染者がいたが、気づかなかったのではないか」と推測する。

 一方、国立感染症研究所感染症情報センター(東京都)の谷口清州第一室長は「感染拡大を左右するのは、季節の因子だけではない。ウイルスの性質や人口密度、行動パターンなど、多くの因子に影響を受ける」と話す。

 インフルエンザは温帯では冬に流行するが、亜熱帯では雨期に、熱帯では1年中流行する。日本でも、1957年に流入したアジア風邪は、6〜8月に最初の流行を見せた。

 谷口室長は「暑くなっても発症が続く理由は分からないが、海外からウイルスが流入しており、今後も発症が継続するとみた方がいい」と話している。

◆手洗い入念に

 新型インフルエンザの発生地域では▽人込みをなるべく避ける▽外出後の手洗いとうがい−といった個人レベルでの予防が重要だ。

 感染経路の一つは接触感染。感染者の鼻水などが付着したつり革やスイッチを、健康な人が触り、その手で目、鼻、口に触れることで起きる。

 世界保健機関(WHO)は、手洗いを習慣づけるとともに、街中で口や鼻に触るのを控えるよう呼び掛けている。手洗いの方法については、厚生労働省が「せっけんを使って15秒以上洗い、流水で流して」と説明する。

 せきやくしゃみとともに放出されたウイルスを吸い込むことによる飛沫(ひまつ)感染もある。飛沫は約2メートル飛ぶとされ、屋内や乗り物の中ではマスク着用が効果的という。

 

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