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【眼光紙背】「陵辱ゲーム規制」とはプロパガンダだ!

2009年06月16日11時00分 / 提供:眼光紙背

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MIAUの眼光紙背:第31回

最近イリュージョンという小さな会社が作っていた成人向け3DCGゲーム「レイプレイ」が実質的に発禁状態となった。販売店は取扱いを停止し、成人向けゲームの自主規制団体もこうしたゲームに認可を出さない方針を決めた。メディアでも大きく報道されたので、ご存じの方も多いだろう。

今回の対応は海外の人権団体「Equality Now」からの要望によるものだが、その発端は、米Amazon.com上で個人がこのゲームを中古販売していたことにある。これを英国の政治家が見咎めたことで問題が広がっていった。

日本国内において業界団体の成人向け規制を受け入れ、未成年への販売制限も行っていたイリュージョンにとってはまさに「寝耳に水」の話だっただろう。日本のメーカーや業界団体は、国内における年齢制限はできても海外での販売までは対応できない。情報の流通がコントロールできない昨今の情報社会の特徴が思わぬ形で発現した結果ともいえる。

先の人権団体は「こうしたゲームの存在が性的に搾取する対象として女性を見る価値観を許容することになるので許せない」と主張している。ここは重要なポイントで、彼らは「性犯罪という被害が発生することではなく、女性をレイプするという価値観がそもそもダメなのだ」と主張しているということだ。

OECDの統計で児童ポルノ法などの表現規制が厳しいイギリスやデンマークなどと日本を比較すると、日本の「性犯罪」発生率は非常に少ないことがわかる。日本の「性犯罪」には昨今冤罪の多発が指摘される痴漢も含まれているが、それを加えても国際平均よりも少ないのだ。

話を陵辱ゲーム(エロゲー)に戻そう。日本ではエロゲーをプレイする人がいることによって本当に「女性が性的に搾取されている」のだろうか。

このこと自体はかなり疑わしく、はっきり言えば嘘だ。もし「エロゲーをプレイすれば女性をレイプする」という命題が正しいのならば、その対偶は「レイプしない人はエロゲーもプレイしない」ということになる。日本のエロゲー人口は決して少なくないが、その中で実際にレイプという凶行に走る人は少ない。これは日本の性犯罪率の低さから考えても明らかだ。「エロゲーがレイプを誘発する」「エロゲーによって女性が性的に搾取されている」といった命題は「論理的」には間違っているのだ。

だが、こうした統計や論理を用いた主張を繰り返しても、エロゲーを規制したい人達の耳に届くことはない。なぜならそうした主張をする人たちの主な目的は「実際に犯罪をなくすこと」ではなく「自分達の理想の価値観を社会に広める」ことだからだ。そのためにエロゲーという叩きやすいメディアをダシにして「日本では女性が搾取されている」というプロパガンダを打っているのである。

もちろん、そのようなプロパガンダが必要な社会があることも忘れてはならない。現代においても、ソマリアのようにレイプされた13歳の少女が「貞操を守らなかった」という理由で民兵から公開処刑されるような痛ましい国もある。人権団体を標榜するならそのような国で人権侵害が起きないよう、ありとあらゆる方法を使って闘うべきではないか。「日本のアニメやゲームによって女性が搾取されている」といったような、悪質なデマにも近いプロパガンダを流布させる前に彼らにはやるべきことがあるはずだ。

そしてこの問題はマスメディアの責任も大きい。悪質なプロパガンダのお先棒を担ぐメディアがあるのなら、それに対しても批判は向けられなければならない。人権団体が自らプロパガンダを打ったとしても、単体の影響力は微々たるものだ。しかし、マスメディアには「アジェンダセッティング機能」と呼ぶ「問題点を社会に周知させる力」があると考えられている。人権団体のプロパガンダをを無批判、検証なしに取り上げることは歪んだ世論誘導につながりかねない。

昨今、日本のマスメディアが「マスゴミ」などと揶揄されている。それはマスメディアが事実ではなく、単に読者の喜ぶ情報を伝達しているということが明らかになってきているからだ。「ネットやゲームは子供に良い? 悪い?」などといった単純な二元論で叩かれがちなのも、視聴者にそれがウケると彼らが信じているからだ。本当にエロゲーやネットを規制することで子供を守ることができるのか。それを検証する責任がマスメディアにはあるのだが、現状を見る限りあまり期待することはできないだろう。

メディアに中立的な立場でこの問題を取り上げさせるには「一方的な表現規制を押し進めるような記事は読者にウケない」ということを理解させる必要がある。表現規制の波は今のところエロゲーやSNS、ケータイといった「一部」にとどまっているが、表現規制とは、突き詰めればマスメディアに対しても適用されるものだからだ。ただでさえ、マスメディアが金融危機によって力を失っている今、マスメディアを去勢させることを「理想」とする勢力が時を見てマスメディア規制論をうまくプロパガンダしたら、彼らも対岸の火事ではいられなくなる。

今回問題になった陵辱を前提としたゲームを不快に思う層がいるのは厳然たる事実だろう。しかし、それとそうしたゲームの存在が女性差別、性の搾取につながっているかどうかという話は別だ。プロパガンダに流されるのではなく、冷静で論理的な検証を社会を動かしていく基本とする。それが近代社会を生きる我々に最低限求められていることではないか。(中川譲/MIAU理事、多摩大学情報社会学研究所RA)


プロフィール:
MiAU 2007年設立。ネット上の世論を集約し、政策提言などを行う団体。著作権法関連の動きについて、ネットユーザが意見表明するためのサポートを行っていくことを目的として設立された。
公式サイト:MiAU

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「眼光紙背に徹する」で、行間にひそむ深い意味までよく理解すること。
本コラムは、livedoor ニュースが選んだ気鋭の寄稿者が、ユーザが生活や仕事の中で直面する様々な課題に対し、「気付き」となるような情報を提供し、世の中に溢れるニュースの行間を読んで行くシリーズ。バックナンバー一覧
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