8月からの雇い止め解雇・賃金削減撤回を求め橋下府政と対決 |
【大阪】七月十五日早朝八時三十分から、大阪教育合同労組(以下、教育合同)のストライキ突入集会が行われた。教育合同は五回の交渉を経ても要求実現に至らず、ついに全一日のストライキ闘争に立ち上がったものである。
基本要求は改革プロジェクトチーム案(以下、PT案)の撤回。当面の緊急の要求は、教務事務補助員を解雇せず制度を廃止しない、非常勤職員賃金削減の八月実施の撤回である。教育合同は地方公務員法適用者と労組法適用者で構成される公務員・民間労働者の混合組合であり、六月の大会決定を経てスト権批准投票でスト権を確立していた。今回ストライキに突入したのは、労組法適用者の非常勤職員、学校教務事務補助員、教育専門員の組合員二十人である。年休権行使の組合員、支援の労働者など合わせて二百人が大阪府庁正門前に集まった。
「違法スト」だ
と府教委が妨害
大阪府教委は七月十一日、ストが違法であること、スト参加のための年休取得は認められない(これは府教委の無知の証であるが)旨の通知を府立校長、市町村教委に出した。その結果、一市と五府立校で年休が認められなかったが、前日十四日夜の団交でこの通知を訂正させ改めて通知し直させ、その結果、すべての年休は十五日に承認された。今後、府のさまざまな事業で働いている人たちの解雇問題が生じる可能性がある中で、教育合同労組の闘いは大いに注目されるところである。
六月二十四日に発表された二〇〇八年度本格予算案は、一般会計二兆九千二百二十億円、前年度比一〇・二%減の緊縮予算で、四月から七月までの暫定予算を吸収した通年分として編成されている。特別会計を合わせ予算総額は四兆千五百四十七億円。府税収入の総額は一兆三千九百八十五億円(前年度比708億円の減)。
予算案では、減収補填債と臨時財政対策債をのぞく府債発行額は千二十九億円(前年度比611億円の減)。橋下知事の方針により、減債基金からの借り入れ・借り換え債の増発は行わない。特別会計も含めた府債の新規発行は、前年度比七百五十八億円減。負債残高は四兆九千五百億円となる。
福祉・事業費
も軒並み削減
歳出のうち、借金返済金(公債費)約三千億円。人件費は五・二%削減、一般施策費は一二・九%減。建設事業費は二九・四%減。主なものでは高齢者・障害者・乳幼児等の患者の一割負担を来年度より検討。医療費公費助成の削減。私学助成の削減、八月よりの賃金削減(職員10%減、非常勤嘱託職員・教育専門員賃6%減、非常勤職員の報酬単価の削減)。八月より退職金五%削減。高校教務事務補助員・教育専門員制度は来年度より廃止(教育専門員は新規採用を停止、府立学校教務事務補助員・実習助手退職代替員・校務員退職代替員346人の雇い止め解雇)。諸手当の見直し。これらのことが現実となれば、他府県に与える影響は非常に大きい。
ここ七年間で利用者が四倍に増えている社会・労働関係の専門図書館「大阪府労働情報総合プラザ」や男女共同参画センター「ドーンセンター」が進めてきた優れた事業への助成、センチュリー交響楽団等への補助、また国際児童文学館、上方演芸資料館「ワッハ上方」等の維持のためのわずかな金を出し惜しみして、その存続が危なくなっている。
借金を作った
責任を問え!
多額の借金はどのようにしてできたのか。誰がその責任を負うべきなのか。議会や議員の責任はどうなるのか。十年前にも府財政の再建が叫ばれ、府財政再建プログラムの下で大幅な人件費の抑制が行われた。それでも、この十年間に借金は一兆円超も増えている。マスコミはこれらの点について検証しようともせず、やたらと橋下知事の人気取りに手を貸し、初期の小泉人気をあおったのと同じ役割を再び繰り返している。財政再建の理念は示されず、バブルの崩壊後の景気対策として国が関与してきた問題も捨象されたままだ。
借金の原因、責任の所在の方に府民の意識が向かないようにする一方で、府が財政非常事態なのだから高い人件費はこの際減らすべきだ、無駄なものは削っていくという世論づくりが行われているが、それでも府政批判は次第に高まりつつある。橋下財政改革が十年続いても、四兆円以上の府債残高がのこり、その間発行し続けた府債の利子が数千億円たまる計算となる。十年経って振り返ってみたら、人件費と教育・医療福祉・文化関係を削減して債権者(大口は大手金融機関)にだけは確実に借金返済をし続け、うまくいっても府債残高は少しも変わらなかった、ということになりかねない。
炎天下のスト
ライキ突入集会
炎天下のストライキ突入集会は、寺本さん(執行委員)の司会で進行した。武井さん(執行委員長)はあいさつの中で、十四日の団交は人事担当者が欠席で、組合の要求に対して誠実に考えようとする姿勢のない不誠実団交で、団交の最後にストライキを通告したことを報告し、要求実現に向け引き続いて闘うことを表明した。続いて、竹林さん(書記長)が経過を報告した。
「発端は、橋下府政が誕生し、とりあえず七月までの暫定予算が組まれたこと。継続雇用が確定していた特別嘱託員に、四月から七月までの辞令に同意する同意書の提出が求められた。教育合同はこれを拒否したが、辞令は出された。〇八年度予算の千百億円削減をめざす府のPT案に対しても、教育合同は単に反対というのではなく対案を出している。財源が問題であるにもかかわらず、それは団交で論議にならない」。
「PT案では、単年度三千億円の公債費には手をつけず、国と闘うこともせず、セーフティーネット・医療福祉・教育などをカットする。教務事務補助員・教育専門員の制度を廃止し、生首をとばす。嘱託要綱を無視して八月から賃金削減をする。どこでもやっていない退職金にまで手をつけ、職員賃金の一〇%を削減する。これらは団交の課題であるのに、団交がスタートする前から『僕は知事の橋下です』という怪文書を現場に配り、すべてはもう決まっているようなことを平気で言う。しかも、団交には出てこない(府労連・府労組連の団交には出席している)。これらの件については二件の不当労働行為の申し立てをしている」。
「PT案は、生き残ったものだけがうまくやるためのものだ。公務員パッシングが巷には満ちあふれているが、ストライキをやることがなぜ悪い? 本日の闘いは新自由主義と闘うという意味もある。一人の首切りも許さず、あくまで団交で要求を実現していく」。(以上要旨)
韓国民主労総がやっているというプラカードアピール(例えば、「労働基準法違反の指示をしたのは」の音頭で、全員が「橋下だ」のプラカードをかかげる)で景気づけをし、続いて、賃金削減案に反対し大阪城公園で座り込みしているOFSET(府立校の英語外国人指導員の組合)が闘争報告をした。
このあと、集会の共同主催者である大阪全労協の石田さん(議長)のあいさつにつづき、次々と労働組合から支援・激励の発言が続いた。全日建連帯労組、全労協中央、全港湾大阪支部、大阪電通合同、ゼネラルユニオン、全石油昭和シェル、阪学労、ユニオン全労協、自立労連、郵政ユニオン、天六ユニオン、国労闘争団、西成合同、なかまユニオン、大阪西運送、堺自主労組、なにわユニオン、ユニオンぼちぼち、高槻学労ネット、北摂ユニオン。
「ストに参加で
きて感動した」
最後に職種ごとに、「新任の時日教組のストに参加し、最後の年にまたストに参加できて感激した」(特別嘱託)、首切り攻撃にストで闘える組合に入っていてよかった」(事務職)、この攻撃を許したら次は講師がやられる。とことん闘おう」(講師)など、組合員から決意表明が述べられた。
十二時に集会は終了し、午後は座り込みを続行。その間、次回団交の設定(府議会最終日の23日を前にした18日に人事担当の出席も含め努力する)、年休不承認の校長に対する事後指導と謝罪(後日組合に連絡する)について府教委との折衝が続き、午後四時にまとめを行い、ストライキの日程のすべてを終了。ストライキのようすを伝える職場配布用組合ニュースを支部ごとに持ち帰った。(T・T)
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