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凶悪犯罪の手口を垂れ流すテレビ(下)

◆犯罪シーンだらけのドラマ

 誘拐、幼児殺害などのタブーが破られてからずいぶんたつ。幼稚園児も見ていたKBS第2テレビのドラマ『花より男子』でヒロインのクム・チャンディはホテルに拉致され、服を脱がされたまま写真を撮られるなど3回にわたり誘拐された。

 ドラマ『自鳴鼓』では枕を押し付け乳児を窒息させようとしたり、池に子供を投げ捨てたりする場面が相次いだ。SBSテレビの『妻の誘惑』、MBCテレビの『白いうそ』では誘拐、性的暴行がしばしばテーマとなり、KBS第2テレビの『ザ・スリングショット~男の物語~』には株価操作、詐欺に手を染める主人公が登場する。問題は、捜査や犯罪を扱う番組ではなく、家族全体が見るドラマにそんな犯罪シーンが相次いで登場することだ。

 延世大心理学科の黄相旻(ファン・サンミン)教授は「地上波のテレビドラマでこうした犯罪行為が日常的に描かれれば、心理的に不安になったり、自己統制力が弱い人が、自分もそんな行動に走ってもよいという考えを植え付けられたりすることになる。犯罪の日常化に明らかな影響を与える」と指摘した。

MBCテレビのドラマ『白いうそ』で放送された子供を誘拐する場面。『妻の誘惑』『白いうそ』『花より男子』など最近のドラマには誘拐シーンがたびたび登場する。

◆性と凶悪犯罪だらけのケーブルテレビ

 ケーブルテレビの教養・ドキュメンタリー番組は「実態告発」という美名の下、性的な逸脱行為や凶悪犯罪を興味本位で取り上げる。Qチャンネルの『リアルドキュ千一夜話』は最近放送した『おばさんたちの危険なアルバイト』と題する回で、主婦の売春場面を扱った。制作スタッフは子供がいる主婦が売春を行う現場を隠しカメラで撮影した。『金を稼げるならば売春も恐れないという主婦は、きょうも危険な外出をしようとしている』というナレーションを付けた。

 tvNの『リアルストーリー猫』は3月末に連続性的暴行事件の犯人に2分半にわたりインタビューし、昨年夏に放送された再現ドラマでは24回にわたり、韓国の連続殺人魔の犯罪を具体的に紹介し、模倣犯罪を招くとの指摘を受けた。この番組はまだケーブルテレビで再放送されている。

 2月に放送されたQチャンネルの海外ドキュメンタリー『スターになった食人殺人魔』は、恋人を殺害した後人肉を食べた日本人が、遺体損壊の場面を具体的に語るシーンを放送し、放送通信審議委の警告を受けた。建国大新聞放送学科の黄勇碩(ファン・ヨンソク)教授は「ケーブルテレビも地上波に劣らず視聴者の接触率が高いメディアなのに、常識をはるかに超える残酷でとんでもない内容がしばしば登場する。時間帯を考えずに無差別に繰り返される再放送で、有害番組が未成年者の目にも触れる」と懸念した。

ケーブルテレビ局tvNのドキュメンタリー番組『リアルストーリー猫(みょう)』は今年3月、性的暴行事件を扱う内容で性犯罪のシーンを詳細に再現した。

崔承賢(チェ・スンヒョン)記者

ソン・ヘジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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