ある相談者の回復
テーマ:番外編先日、一年半前から相談を受けている人から電話かがった。
その人は、ある会社の支部長をしているのだが、三ヶ月連続で地区トップになった報告だった。
非常に喜ばしい事だ。
しかしこの人と最初に出会った時は、幹部候補生では有った物の、公私共に大変な状況だった。
その後に鬱病を発病、幸い初期だった為、治療しながら仕事を続けた。
発病の切っ掛けは、仕事よりも躁鬱病の彼女に振り回された事だが、それは発症を早めただけで元々鬱病の要因を持っていた。
まじめなのだが、芯が無い、芯が無いから他人に振り回される。
仕事面では芯が無いから上司に振り回され、挙句に切られる寸前で、昇進見送りで後が無くなる。
当時、彼女は治療は始めていた物の理不尽な行動は続き、その都度相談を受けて対処法を教えた(毎日)。
特に良い続けた事が「芯がぶれない事」なのだが、彼女が何かやらかす度に芯がぶれていた。
そして、自分も鬱病を発症。
初めて鬱病の辛さを身を持って実感、彼女の辛さを始めて理解した。
自分が治療する中で、睡眠や休息の大切さも実感。
本来は、会社を休職しなくてはならなかったのだが、次回の昇進で落ちたら会社を辞めなくてはならないので、辛い日は「営業に行ってきます」と言って会社を出てお昼寝。
真面目だった彼に、仕事をサボる事を教えた。
仕事をサボりながらでも、何とか条件付で昇進を果たした。
そして補佐として配属された支部では、躁鬱病と鬱病が猛威を振るっていた。
着任すると理不尽の荒らし。
落ち着きかけていた鬱病が再発。
そこで、彼女に対する対応を思い出してもらい「芯がぶれない事」をここでも実践。
まず、躁鬱系の人と鬱系の人を分類させ、主に鬱系の人と「話をする」事に専念させた。
話をすると言っても、最初は時間がある限り「話を聞く」だけで、指示も方針の話もしない。
それだけで、躁鬱系と鬱系の分離に成功。
躁鬱系から分離された鬱系営業員と同行して先頭に立って営業し、取れた契約は営業員さんに渡す様に指示。
また、余った時間は「話を聞く」事に専念。
それを続けさせると、営業員も心を開いてプライベートな悩みを話し始めた。
すると、出て来る出てくる、家族や自分の鬱系の話。
しかもそれが「病」と言う認識を持っていない物ばかり。
自分も「鬱病」になり、彼女も躁鬱病の彼は、その悩みを理解する事が出来た。
そして、自分も治療中で有る事を話し、それが病で有る事を教え、自分の通っている病院も紹介した。
その結果、営業員さんのプライベートな悩みが減り、同時に営業成績も上がり始めた。
躁鬱系と鬱系の分離の効果はかなり高かった。
それまで、仕事が終わっても躁鬱系の大将につき合わされ、遅い時間まで帰る事が出来なかった鬱系営業員。
躁鬱系の大将ににらまれたら、いじめの対象になる為に逆らえなかった。
しかし、躁鬱系と鬱系の分離を図り、鬱系の面倒を見ているのが支部のNO,2で鬱系派閥を形成させた為、躁鬱系は手出しが出来なくなっていたので、鬱系営業員は仕事が終われば早く帰れる様になった。
その結果、鬱系営業員は回復が早まり、それが営業成績に結びつく。
それは、彼が鬱病治療の時に休息の重要性を身を持って体験している事が大きい。
彼自身、上司のかけるプレッシャーに負けて鬱病を悪くした事も体験している。
彼の回復の切っ掛けは「サボり」
そして、鬱病の症状がひどい時は、言葉も上手く話せない事も身を持って体験している。
だから、鬱系営業員に出来る限り休息出来る時間を作った。
営業は言葉が命、その言葉が上手く話せなければ成績は上がらない。
営業員にプレッシャーを与えず、十分に休息を取らせれば営業成績は必然的に上がる。
営業成績が上がれば収入も増え、生活も安定し、自信も取り戻せば仕事に意欲が出てくる。
そうした姿を見ていた躁鬱系に残っていた人から、離脱者が出始めて大将と取り巻きだけが残る。
そこまでやった所で、彼は時期支部長として転勤。
転勤先でも同様に「話を聞く」事から始め、紆余曲折は有ったがめでたく支部長へ昇進。
支部長になるまで、自分の成績は土返しして営業員から「話を聞く」事で、支部の現状や営業員の心理状態を把握。
その間にも、上司のプレッシャーを右から左へ受け流し、それでも病気再発の前兆が出たらサボりを交えて前任者が退陣するまで乗り切った。
次なる課題は「反骨精神」
上司の指示に「NO」が言える事。
上司の思いつきの指示に左右されていたら、下で働く部下も振り回されやる気を無くす。
上司のプレッシャーを自分の所で止めて、部下には伸び伸びと仕事をさせる環境を作る。
上司と言う物は、色々な運営方法や営業戦略を言ってくる物だ。
しかし、どんなすばらしい営業戦略も、実行するのは営業員。
その営業員がやる気にならなければ、どんなすばらしい営業戦略も机上の空論でしかない。
一番の営業戦略は、部下の働きやすい環境を整えて、やる気を出させれば営業成績など勝手に上がる。
支部長になって2ヶ月は、成績も上がらず上司からのプレッシャーも酷かったが、上司の言う事を聞いた振りして聞き流しながら自分の方針を貫いた。
その支部も、最初はまともに見えていたのだが、部下の話を聞くと鬱や躁鬱系の話が出て来る出て来る。
そして、今までの自分の体験を元にアドバイスをして、営業員のプライベートな問題が減り始めたら成績が上がり始めてTOPになった。
そんな事は不思議でもなんでもない。
プライベートで問題を抱えていない人など滅多にいない。
プライベートに問題を抱えていれば、仕事に集中出来ない。
仕事に集中出来ないから成績が上がらず、残業したり休日出勤する羽目になる。
すると、プライベートの問題を処理する時間がなくなり、益々仕事に集中できなくなる。
プライベートの時間を増やしてやれば、プライベートの問題に対処する時間が必然的に増える。
ただそれだけで、心にゆとりが生まれる。
また、病と分からずに悩んでいた人が、それが病が原因と分かれば出口が見えて来る。
出口が見えれば気持が楽になる。
そうしたコミュニケーションで信頼関係を作ると、居心地が良くなる。
そして、前任者と比較してその居心地の良さを継続させようとする。
そこから、支部長の為に営業成績を上げようと言う意識が生まれる。
その結果がTOPと言う結果になっただけ。
TOPになった事で、上司からのプレッシャーも少なくなり、再発の予兆も少なくなった。
実績を作れた事が大きい。
実はこれ、人間の基本的心理を基にしている。
「与える物は与えられる、欲する物は奪われる」
宗教的に聞えるかもしれないが、れっきとした行動心理学である。
人間は、「協力」と「分け合い」と言う概念を持った事により、他の動物より進化した。
協力して獲物を捕り、それを皆で分け与える事で、他の動物より多くの食料を得て繁栄して来た。
その本能は今でも残っている。
分け合いは、相手も自分に分けてくれる前提がなければ成り立たない。
人間の80%以上の人は、利他的行動を取り、自分が貰えば返さなくてはいけないと考える。
自分が与えても、何も返さない人は無視される。
結果、分け与える人はより多くの物を得て、分け与えない人はより多くの物を失う。
これは、色々な意味で最初に「与える」と言う行為をさせているだけにすぎない。
最初に「与えて」も何も返そうとしなければ、使えないので切るだけの事。
心に病を持つ人の特徴も、そこにある。
最初に求め、与えられても返さない、と言うより、すでに与えられている事に気付いていない。
気付かないから常に求め、与えようとはしない。
そして孤立感を深めて病を抱える。
※与える=金や物では無い。
彼の病気の一番の要因は、自信の無さ。
自信とは自分の経験と実績で作られる物。
その自信と経験は人によって異なるが、彼にはそうした経験と実績が無かった。
彼は、彼女が躁鬱病の闘病を支えるなかで色々な事を経験し、自分も鬱病を発症して、その闘病の経験と実績を活かして部下に接し、その延長で支部の実績を積んでいる。
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