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やっと校了、週刊文春の「ミシュラン騒動」

  • 2009-04-21 (火)

週刊文春をやっとこさ校了した。といっても、ほとんど原稿にしていただいたのは週刊文春編集部デスクのKさんである。

今回のミシュラン京都・大阪版に関しては、グループ・アラン・デュカス日本代表のファブリス・ルノーさんから「大阪で6日に記者会見があるようだが、江さん行かないの」という電話からだった。

逆にルノーさんは行くのか、と聞いたら、「行かない。電車賃の無駄だから」というのでわたしは笑っていた。

しかし何だかひっかかる。というのも、アラン・デュカス氏の大阪の店・ブノワが、テレビ局より当日の取材申込があって、デュカス氏はルノーさんを通じて、ミシュラン京都・大阪版について「ノーコメント。直接パリでならコメントする」というようなことを返していたからだ。

それは、ミシュラン京都・大阪版に関しての評価に関して期待やスタッフの意気込みや緊張を、記者発表のシーンにかぶせてレポートするみたいなもので、わたしは「話聞くなら、直接わたしに来てくれ」と言ったデュカス氏の態度に、以前「日本ではミシュランの星は意味がない」と言ったことを思い出した。

わたしは『街場の大阪論』で1話を使って、ミシュラン東京版がまるで消費システムにのっかたもので、文化なんかとは言えないというふうに書いていた。そのあまりにもむき出しの経済至上主義に、街とそれを微分したところの店が台無しになる、というような内容だった。街的な「生活者」にとっての「食」と、単なる記号消費にすぎない「いなかもの」のための「食」。

この決定的な違いは内田樹せんせが「美食の国へ」でいともたやすく論じているが、今回の京都・大阪版について、これは傍観者ではいられない、ということから、3日の夜に週刊文春のYさんに「ぜひわたしにやらせて欲しい」とメールを送った。

京都でも大阪でも取材掲載拒否の店が他出しているから、そのあたりのことも書いて送ったら、担当デスクのKさんから翌日の夜に電話がかかってきた。その時、ちょうどわたしは岸和田にいて月1回第1土曜恒例のだんじり祭の寄り合い中だった。

 6日(月)の記者会見の出席から取材が始まり、原稿締切はその週の土曜日いっぱいだった。

原稿量はあらかじめ3ページ分、約10枚ということだったが、取材しているうちにものすごい量になりそうだと思った。途中でKさんに「長くなるけどいいか」と訊いたところ「とりあえず書け。そこから考える」との誠に編集者らしい答えに気をよくしたわたしは、昼間に取材しながら木曜日・金曜日・土曜日の3日間、ほとんど徹夜をして書いた。

根が「書き助」なわたしはどんどん書いていき、気がつけば約47枚を超えるというとてつもない原稿になって、土曜から日曜に日付が変わった頃にそれを送った。

自分が逆に編集担当だったら「こいつは、アホか」というものすごく非常識な量の原稿だったけれど、Kさんは精読してくれた。「関西の内部に入り込んだ取材には感服している」というコメント」と「さぞ疲れているだろうから、少しお休みいただきたい」というお気遣いに涙が出た。

しかし、やはり長さとスタイルについて、見当がつかない状況で、週刊誌という性質上、連載というわけにはいかないので、コンパクトにするしかないと思う。そうすると、出だしのような誰と出会ったとか、以前はどうであったとかいった部分は、入りきらないと思う。

できるだけ長く掲載したいと思うが、編集長とも相談したところ、今週はとてもページの余裕がないので、掲載は来週でお願いしたいと思う。どこまで短くできるものか、知恵を絞って、その後、編集長との交渉をする。

ということで、その結果、先週の金曜日の17日の午後4時に予定校が帰ってきた。 大阪分の11枚は「全ボツ」で(そりゃそうだ)、ほとんど京都分の骨子だけの掲載となったが、その原稿は完璧なものだった。

Kさんからは、遅くなったが行数と骨格はこんな感じだと思う、生硬なところは筆を入れるべし、京都の“縦社会”につながるところがあんまりうまくいってないので、お知恵をお願いする。

とのメールが届いていたが、名人技とはかくやの原稿だったので、それを持って取材掲載を拒否している大阪・南船場の「ジョバノット」に「すいませんでした。残念な結果になった」と謝りに行った。

そして一昨日の日曜の校了日に、また2割弱ほどの原稿が削られて校了した。

掲載原稿は「京都編」の一部ではあるが、取材もののダイナミックさ愉しさを久々に感じた仕事だった。

この仕事は面白い。 みなさんありがとうございました。

◎江 弘毅の「ミシュラン」と「街」についての渾身作が読める『週刊文春』は、明日、4月22日発売です! 

(追記・大迫) 

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