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日本の原発ノウハウ、「輸出」へ 官民が協議会

2009年6月16日15時5分

 アジアを中心に原子力発電所の導入をめざす国に、核物質管理や安全確保のノウハウを伝え、ウラン資源の確保やメーカー進出の足がかりを得る――。そんな狙いで経済産業省が音頭を取り、官民一体の「国際原子力協力協議会」を18日、発足させる。50年以上原子力を平和利用してきた蓄積を活用し伝授することで、国際的な核物質管理の主導権も握りたい考えだ。

 協議会は経産省を中心に、内閣府、文部科学省、外務省のほか、電力会社やメーカー、学会、研究機関などが参加する。「オールスターキャストといえる」(経産省)顔ぶれだ。

 温暖化対策もあり、世界的に原発を推進する動きが広がってきている。現在、建設・計画中の原発は約30カ国で150基前後ある。このうち新規参入をめざす国が20カ国以上あるとみられている。

 だが、参入国が増えれば核拡散や安全面での懸念が高まる。初めて原発を持とうとする国にとっては、他国からウラン資源を輸入するには相手国との取り決めが必要になるし、核兵器に転用しないことを証明するためには国際原子力機関(IAEA)の査察などの受け入れ体制を整備しなければならない。また、安全確保のための規制や行政組織、人材育成も不可欠だ。

 そこで、日本としては、人材研修を受け入れたり、専門家を派遣したりすることで、安全管理の手法や規制制度といった安全面を確保し、核不拡散上のノウハウを伝える方針だ。協力関係が構築できれば、相手国が導入する段階で、技術提供や人材供給といった形で積極的に参加し、国内産業の活性化にもつながると期待する。

 経産省や電力会社、日本貿易振興機構などには、すでに数年前からアジア、中東諸国からの協力要請が増加してきている。経産省は07年以降、原発を持たないインドネシア、ベトナム、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンなどと個別に原子力協力文書を結んだ。現在も数カ国から申し入れを受けている。(香取啓介)

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