2009年4月16日 20時54分
【パリ福原直樹】フランス南部の大学で、中国人留学生数百人が大学幹部にわいろを渡し、経営学修士などの学位を得ていた可能性が強まり、仏当局が捜査に乗り出した。捜査幹部は毎日新聞に「他の大学でも同様の行為が行われた可能性がある」としており、仏社会で大問題になる可能性が出てきた。
仏国民教育省やルモンド紙によると、仏南部の公立トゥーロン大学(学生数約1万人)で約5年前から贈収賄が始まった。中国人留学生1人が学位を「購入」できたことから、他の中国人学生に慣行が拡大。08年だけで約300の学位が売られた可能性があるという。
同紙によると捜査当局は1学位に2700ユーロ(約35万円)前後のわいろが支払われた可能性があると見ている。また、大学幹部の一人は「ある中国人学生が今年、約60人の中国人留学生に学位を与える見返りに、10万ユーロのわいろを提示した」と話した。同大学には約650人の中国人留学生がいる。
捜査当局は事件の背後に仲介者がいると見ている。
仏の中国人留学生は99年の約2000人が、06年には1万7000人に増加。同紙は大学幹部の「中国人留学生はほぼ全員が修士号を取得する一方、他学生の取得率は60~70%」「新規の中国人留学生のほとんどが仏語を話さない」との談話を紹介した。