石川のニュース 【5月8日04時23分更新】

鶴来の民家で3人死亡 父自殺、小学生の姉妹巻き添えか

森川さんと2人の娘が死亡した民家=7日午後零時45分、白山市曽谷町
 七日朝、白山市曽谷町の建築業森川渉さん(38)方で、森川さんと長女海(まりん) ちゃん(7つ)=同市広陽小二年=、次女花音(かのん)ちゃん(6つ)=同一年=が死 亡していた事件で、森川さんが倒れていた二階寝室で見つかった小型発電機に作動した形 跡のあることが同日、鶴来署への取材で分かった。同署は森川さんが発電機で排ガスを発 生させ自殺を図り、姉妹が巻き込まれた可能性が高いとみて詳しく調べている。

 同署によると、七日午前七時十五分ごろ、森川さん方の二階で寝室の床に森川さん、子 供部屋の布団の上に姉妹が倒れているのを森川さんの妻が見つけ、一一九番通報した。森 川さんは既に死亡、姉妹は金沢市内の病院に運ばれたが、死亡が確認された。

 同署によると、外部から侵入した形跡は見つからず、三人に目立った外傷はなかった。 室内には排ガスのようなにおいが漂い、死因は一酸化炭素中毒とみられる。同署は八日、 三人を司法解剖して詳しい死因を調べる。遺書などは見つかっていないという。

 発見時、森川さんは死後硬直しており、姉妹は心肺停止状態だったことから、同署は森 川さんが先に死亡したとみている。

 捜査関係者によると妻は六日夜から外出しており、七日朝に帰宅して森川さんらを見つ けた。森川さんは妻と海ちゃん、花音ちゃんの四人暮らし。現場は北陸鉄道石川線曽谷駅 近くの新興住宅街。

 大型連休の楽しい思い出を語り合うはずの教室に幼い二人の姿はなかった。空手大会で 優勝するなど頑張り屋の姉海ちゃん、四月に入学したばかりの妹花音ちゃん。自宅近くの 公園でよく遊んでいた仲良し姉妹に起きた悲劇に関係者は言葉を失った。

 二人が通っていた白山市広陽小の井上吉登校長によると、二人とも欠席はなく、朝、校 門で会うと元気にあいさつしていた。海ちゃんは人懐こく、空手が得意で本を読むのが大 好きだった。花音ちゃんは学校に慣れ、友達をいっぱい作ろうと張り切っていたという。

 井上校長は「昨年七月の保護者懇談会で姉妹と母親が中庭でウサギをかわいがっていた 姿が忘れられない」と唇をかみしめた。同校長は七日、二人が登校しないので母親の携帯 電話に連絡すると、母親は「三人運ばれた」と泣きじゃくったという。

 関係者によると、姉妹と森川さんは三月まで一緒に野々市町の空手道場に通っていた。 海ちゃんは二月、三重県で開かれた大会の小学一年女子の部で優勝した。

 付近住民によると、森川さんは左官の仕事をしていたが、最近は仕事用のトラックが自 宅前に止まっていることが多かったという。近所の主婦は「連休中も家から姉妹の笑い声 が聞こえていた。こんなことになるなんて」と目を潤ませた。

 鶴来署は七日、広陽小で八日に予定していた一年生対象の「防犯ぬりえセット」の贈呈 式の中止を決めた。


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