安彦良和講演会。
出雲市立平田本陣記念館で行われている「安彦良和原画展」。今日は200名限定の講演会があったので、行ってきました。
開演時間1時間前についてしまってので、少々時間を持て余しぎみに場内を歩き回っていたら、偶然、安彦さんが入ってこられました。まずは写真を撮らせてもらい、ついでに握手も。残念ながら、サインまではもらいませんでしたけど。今になってみると、ちょっと後悔してますが。
でもって、講演会。 この原画展が行われている会場はホールが無く、写真のような畳の間で、安彦さんを囲んでの講演会でした。ホールと違って、ホントに身近で安彦さんの話が聞ける、都会には無い雰囲気の中での講演会でした。 テーマは「『ナムジ』の國 出雲」。時間は90分の3部構成で始まりました。
まずは、出雲の地にふさわしく、『ナムジ』を描くことになったきっかけから古代史の話、果ては竹島に関わることまで、安彦さんの持っている歴史観の話が中心でした。まさか、竹島のことまで出るとは思いませんでしたが。話の中で、「島根って、古代の時代には日本の中心であったわけだし、環日本海文化圏における歴史的な存在をもっと主張して欲しいし、そのことに対して自信と誇りを持って欲しい」と語られました。第2部はマンガやアニメに対する安彦さんの思いを話されました。安彦さん自身、謙虚な方で「売れなくてもいいから社会に対し何かを発言できるものを描きたい」と言うことでした。その中の一つが、満州を舞台に描かれた『虹色のトロツキー』です。それと、「マンガやアニメは決して日本の文化として誇れるものではない。」と、海外では日本の文化として認められつつあるマンガやアニメに対して警鐘を鳴らされていました。何故なら、皆がそうと言うわけではないけど、今のクリエイターって肥料と言う部分が乏しく、言ってみれば畑の連作状態であり、そんな状態では文化としては根付かないと言っておられました。確かに、小手先の技術だけ進歩しても、中身が伴わないと「文化」ではないですからね。
最後に若干の質疑応答。その中で、次回作のこと、そして映像に対する未練を語られ、もしかすると、「ガンダム」ではない新作を目にする日も近いかもしれませんね。ちなみに、今年の夏に復活する雑誌があって、そのために新作の依頼があったらしいけど、諸事情で断られたそうです。
安彦さんを身近にしての講演会は、ざっくばらんとした雰囲気だったし、内容も濃く、収穫の多いものでした。「ガンダム」の話が聞けると思って来場された人には物足りないものだったかもしれませんね。「ガンダム」や固定の作品についての話や裏話的なものは、それほど無かったですからね。
 最後に1作品だけ撮影できた作品があったので、載せときます。実はコレ、専門学校時代の地元出身の同級生が雑誌のプレゼントで当選して入手したもの。確かにプレートには「個人蔵」と明記してありました。おそらく他会場では展示されない作品でしょう。その同級生とも、会場で20年ぶりの再会となりました。
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