市立岡谷病院(岡谷市本町、塚田昌滋院長)の常勤麻酔科医が今月末で退職し、7月から週2回のパート化になることが分かった。常勤麻酔科医の補充は困難な情勢で、麻酔科医不在時は緊急手術ができなくなるのは必至だ。救急医療が担えない慢性期病院に変容する可能性も大きい。
今の常勤麻酔科医は2000年4月から在籍。07年12月に辞表を提出後、関係者の説得を受けて一時翻意したが、今年3月に再度退職を願い出て受理された。ほかの病院に転籍するという麻酔科医の男性(59)は、取材に「長年に及ぶ院長との相互不信があった」と話している。これに対し、塚田院長は「(相互不信は)わからない。麻酔科は医療の要であり、何とかとめようと工作したが、結果としてこうなった」と述べた。
塚田院長によると、パートの麻酔科医は信州大学から派遣を受ける。曜日は火・木で調整中のようだ。岡谷病院で月3件強ある緊急全身麻酔手術について、塚田院長は「緊急の度合いによっては、ほかの病院にお願いすることになるだろう」と話す。外科をはじめ産婦人科などにも影響が及ぶもようで、同病院は外来診療を抜本的に見直す検討を始めている。
岡谷病院は1953(昭和28)年、信州大学から外科医を招聘し、県内公立病院に先駆けて全身麻酔技術を導入。66(同41)年には中央手術部に麻酔科を確立した。08年の年間手術数1040例のうち、全身麻酔を中心に約5割を常勤麻酔医が担当。ほかは局所麻酔を中心に術者(担当医師)が自ら施している。
岡谷病院は、諏訪医療圏で二次救急医療の一角を担っていて、今月に入り成人夜間急病センターや小児外科を開設した。また、来年4月をめどに岡谷塩嶺病院との施設集約(事実上の統合)を控えており、常勤麻酔科医が不在になる影響が懸念される。市と市病院事業は6月中にどちらの病院に機能を集約するかを明らかにする予定だ。