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脱税の温床「エコ脱税」 現金山積みの業者も 

6月15日23時52分配信 産経新聞

 全国の国税局が平成20年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は計208件で、加算税を含む脱税総額は351億円だったことが15日、国税庁のまとめで分かった。昨夏までの金属価格の高騰に伴い、巨利を得たリサイクル業者による「エコ脱税」が目立ち、告発件数は14件(前年度4件)と急増。国税関係者は「商品がゴミだけに原価などが把握しにくく、脱税の温床となりやすい」と指摘している。

 まとめによると、リサイクル業者の告発件数は、都心の“ミニバブル”でもうけた不動産業者と並び、業種別のトップ。売り上げを除外して税務申告し、脱税をするケースが多かった。

 産経新聞の取材によると、アルミなどの非鉄金属は中国の経済成長に伴い、昨年夏ごろまで価格が高騰。東京国税局が摘発した埼玉県鳩ケ谷市の業者(31)はホームページで「アルミ缶、電線、鉄くず、なんでもOK」などとうたい、地域の小学生らが集めたアルミ缶を安価で引き取るなどして転売。その利益をさらに外国為替証拠金(FX)取引に投じるなどして18年までの2年間に、4億5000万円の所得を隠し、約1億6000万円を脱税していた。

 売り上げを過少申告して課税を免れていたが、家賃数百万円の六本木ヒルズに住み、盛大なパーティーを開いたり、高級外車を乗り回したりと豪勢な暮らしぶりが目立ち、国税の査察を受けた。

 また、地球温暖化対策への期待から需要が拡大する太陽光発電パネルに使うシリコンの再生業を営んでいた群馬県と横浜市の2業者は昨年3月までの約3年間で、計約4億円を脱税。隠した所得は計約14億円に上り、会社の倉庫内には段ボールや空き缶に入った現金が山積になっていた。

 2業者は、大手素材メーカーから製造過程で出たシリコンくずを安価で引き取り、国内の太陽光発電メーカーに転売して利益を上げた。シリコン価格は当時、クリーンエネルギー政策で先行した欧州での太陽光パネルの需要拡大を受け、品薄状態が続き、4年前の約2・2倍に高騰。シリコンくずはかつて「使い道がない」として捨てられていたが、再生業者から回収依頼を受けた素材メーカーは「捨てていたものを引き取ってくれるなら」と契約書も交わさぬまま取引を開始。2業者はこれを悪用し、売り上げや仕入れ価格を偽装し脱税したとみられる。

 国税関係者によると、リサイクル業者は現金取引が多く、仕入れや販売価格が把握しづらい傾向があるといい、「脱税の温床となりやすい」。ある幹部は「脱税さえしなければ、エコロジーな活動で評価できるのだが…」と話した。

 国税庁のまとめによると、強制調査で発覚した脱税のうち、手口などが悪質として昨年度中に検察庁に告発されたのは計153件。企業や団体による法人税の脱税が全体の75%を占め、脱税額が3億円を超した大型事案は14件と前年度より6件減った。

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最終更新:6月15日23時52分

産経新聞

 

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