2009年6月14日22時5分
ケーブルテレビ局・スターキャットの「天ちんアワー どえりゃ〜7時」に出演する河村たかし名古屋市長=名古屋市中区栄1丁目
安田文吉・南山大教授
名古屋市の河村たかし市長が、市内の児童生徒に名古屋弁について教える政策を打ち出した。江戸時代には外交用語だった歴史をひもとくなどして、「恥ずかしくない言葉」と認識してもらう、という。専門家も「正しく話せば美しい」と評価する名古屋弁。河村市長のもくろみ通り、復権はなるか。
「いろいろ言われるけど、フランス人がフランス語を話すのと一緒」
先月25日、ケーブルテレビ「スターキャット」(本社・名古屋市中区)の名古屋弁のトーク番組「天ちんアワー どえりゃ〜7時」の収録に臨んだ河村市長はこう主張した。
河村市長は「名古屋弁」を必ず「名古屋ことば」と言い換える。「〜弁」は標準語に対する方言だが、「名古屋ことばは、地方で独自に醸成された言葉」との持論からで、衆院議員時代にはNHKにも表現を改めるよう申し入れたほどだ。
その河村市長が打ち出した「名古屋ことば探検室」の設置は、市民が「よその地方で話すのが恥ずかしい」とのイメージを持っていることへの危機感が発端になった。
芥子川律治著「名古屋方言の研究」は、過去の文献に「御使者番を勤むる者は、(中略)尾張風のなまりを唱いて、長口上を忘れぬようにし」とあることから、「尾張藩士のことばが、各藩の江戸における外交用語だったことを示すものである」と指摘している。
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河村市長の名古屋弁は「汚い。品がない」との批判が上がっているが、本当に汚いのか。名古屋弁に詳しい安田文吉・南山大教授(近世文学)に、4月12日の名古屋市長選告示日の河村市長の演説ビデオを見てもらい、分析してもらった。
――名古屋市の河村たかし市長の話し言葉は名古屋弁ですか。
アクセント、抑揚とも純粋な名古屋弁に間違いありません。
――どうして汚く聞こえるのですか。