障害者団体向け割引制度を悪用したとして、16日に新たに8人が逮捕され、2人が再逮捕された郵便法違反事件。郵便事業会社(日本郵便)を所管する鳩山邦夫総務相はこの日、「絶対許してはならない事件で本当に情けない」と話したが、東京都文京区の障害者団体「白山会」会長、守田義国容疑者(69)と、同容疑者側からの献金問題が浮上している民主党の牧義夫衆院議員(51)=愛知4区=は約20年前、牧議員が鳩山総務相の秘書時代に知り合った仲だった--。【林田七恵、久保聡】
「守田さんは昔からの知人で、東京の支援者。今でも2、3カ月に1回は会う仲」。牧議員は以前、毎日新聞の取材にこう話していた。牧議員は87年8月~98年12月、鳩山総務相の秘書で、守田容疑者は当時、鳩山総務相の地元・東京都文京区で会社経営などをしており、選挙時などに鳩山総務相を支援していたという。
守田容疑者は秘書として区内を回っていた牧議員と知り合い、意気投合。牧議員が97年に設立し、社長に就任した飲食店経営会社「日枝商事」では、守田容疑者が取締役を務め、翌年には牧議員に代わって、自分が社長に就任した。守田容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に「うちも文京区。秘書時代からこの辺をぐるぐる回ってれば、知っているということ」と牧議員との関係を話していた。
一方、違法ダイレクトメールを巡っては、日本郵便が昨年10月以降、制度の悪用が確認された障害者団体19団体に正規料金との差額(計約49億円)を請求したほか、民間会社4社にも約30億円を請求。「一番やりやすいところ(障害者団体)だけやって、上(広告主)はみんな、ふたされて、これじゃたまらんでしょ」。守田容疑者はこうも話し日本郵便が広告主側ではなく、障害者団体に正規料金との差額を請求したことを批判。「日本郵便が承認したから発行したのに、なんで請求されるのか。鳩山さんにしっかり指導してもらいたいよ」と語る場面もあった。
牧議員は昨年5月、国会で広告会社「新生企業」のライバル会社を批判する質問をした。守田容疑者が経営する会社から07~08年に計24万円の献金を受け取っていたことが分かっている。
毎日新聞 2009年4月17日 東京朝刊