政治

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

日本郵政:社長人事、調整難航 煮え切らぬ首相

 ◇総務相更迭/社長が辞任/けんか両成敗

 麻生太郎首相が、日本郵政の西川善文社長の進退問題で決断を下せずにいる。認可権を盾に西川氏の辞任を求める鳩山邦夫総務相が折れていない一方で、政府・与党内からは「鳩山総務相のスタンドプレーだ」との批判が出ており、双方の意見を聞くたびに自らの考えも揺れ動く。政府・与党は17日の党首討論前に決着を図る方針だが、煮え切らずにブレ続ける首相の態度に、周囲の調整も難航している。【坂口裕彦】

 首相周辺によると、首相は当初、矛を収めない鳩山氏に激怒し、同氏の更迭で事態打開を図る方針だった。だが鳩山氏の態度が硬いと見るや、西川氏の自発的辞任を促す方向にカジを切った。首相は一度は河村建夫官房長官に、西川氏に辞任を促すよう指示を出したとされる。

 首相官邸は、後任人事も含めた感触を財界に探った。しかし自民党内では、三顧の礼で西川氏を迎えた小泉純一郎元首相らが更迭案に猛反発。西川氏に辞任する意向がないことから、政府内でも「西川氏が辞任すれば、改革後退と受け取られる」(政府高官)との慎重論が強まった。

 ここにきて浮上しているのが「けんか両成敗」による鳩山、西川両氏辞任案だが、両氏がともに辞任に応じる見通しは立っていない。西川氏に辞任を促し、内閣改造で鳩山氏を総務相から自民党幹部などに代える案もささやかれる。

 首相は、鳩山氏に河村氏、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相を加えた3者による調整を指示しており、河村氏と浅野勝人官房副長官は9日夜、鳩山氏に電話で発言の自制を促した。しかし、鳩山氏は10日に政府関係者に連絡を入れ、「官房長官にいろいろ言われたくないと首相に伝えてくれ」と不信感をあらわにした。総裁選で3回、首相を支援した自負があるだけに、感情的なしこりも事態を複雑にしている。

 首相は11日夜、首相官邸で記者団に「今、まだ判断していない。早く結論を出した方がいいのでは、という感じはする」と述べるにとどめた。「非常に複雑な連立方程式」(政府高官)の解を首相は見いだせずにいる。

毎日新聞 2009年6月12日 東京朝刊

政治 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報