T.学際コースとは

 人文系・社会系・自然系の諸学に基礎を置く5学科・8専修からなる教育学部では2000年4月から新たな理念に基づいて学際コ−スを設置することになりました。現行の学科・専修単位の教育体制を基本的には維持しながら、今日的諸課題に対応した学際的で総合的な(interdisciplinary and integrated)教育課程の必要性を認めたものです。
 ともすれば既存の学問体系の知識や技能の修得に重きを置いたこれまでの教育方法や教育内容では対応困難な諸問題が地球的規模で発生しており、私たちに大きな影響を及ぼしています。また時代趨勢としての国際化や情報化は旧来型の教育的諸価値の再考を求めています。今までの知識普及型あるいは技能獲得型の学部教育を越えた、問題発見・課題解決型の教育価値の創造を目指した学際コ−スは21世紀の中核を担う若い人々に広い視野と深い問題関心を培って貰うことを何よりの狙いとしています。新たな世紀の知の冒険に挑む諸君の旺盛な意欲に期待します。

 

U.学際コースの編成
 学際コース」には《地球システム領域》《メディア・言語コミュニケーション領域》《現代社会・文化領域》の3つの重点領域が設定されています。学生は各自の選択した領域の必修・選択科目を中心に履修しながら、各自の興味に従って他領域や既存の学科・専修の科目を横断的に学ぶことができます。

 

V.学際コースの3領域

《地球システム領域》
 
地球は、磁気圏、固体地球圏、流体圏、生物圏、人間圏のサブシステムがうまく組み合わさってひとつのシステムとして機能しています。人類は他のサブシステムとエネルギーと物質のやり取りをしており、他のサブシステムから独立して存在することはできません。この機能と環境は 46 億年の歴史を経て作られてきました。20世紀の科学・技術の高度な発展による人類の大繁栄は、人間圏とそれを取り巻くサブシステムに狂いを生ずるようになってきました。これが地球環境問題です。地球温暖化、オゾンホール、森林破壊、食糧問題、人口爆発、資源-廃棄物問題など、人類は誕生以来最大の難題を抱えています。人類の持続的発展には、新たな知的枠組みが必要なのです。地球システム領域ではシステムとしての視点から地球を捉え、従来の学問分野の枠を越えて、地球環境問題をはじめとする諸々の問題を探求してゆきます。

《メディア・言語コミュニケーション領域》
 情報メデイア概念の理解の上に、広くコミュニケーションについてアプローチします。
 メディアコミュニケーション論では、マルチメディアのもとでのコミュニケーションを分析・検討の対象とし、マスコミュニケーションからパーソナルコミュニケーションにいたる、社会的、組織的コミュニケーションについて明らかにします。
 言語コミュニケーション論では、現代言語学の理解を深めつつ、グローバル社会におけるコミュニケーションの諸問題を考察します。

《現代社会・文化領域》
 20世紀、特に第二次大戦後の世界は大きな変化を遂げ、それに伴い新たな複合的な問題が浮かび上がってきました。文化もまた、こうした変化の影響を受け、複雑な展開を遂げてきました。現代社会が抱える諸問題、現代文化が繰り広げる諸現象は、これまでの見方、捉え方で十分解明できるものではなくなっているといえるでしょう。それは地球規模、地域規模、国家規模、地方規模などさまざまな区切り方をした場合にも該当する考えといえます。この領域の第一の目標は、こうした複合的な問題に広域的視野をもって果敢に挑戦して行く精神を育てることです。社会と文化の関わりを見失うことなく、21世紀に新たな展望を開けるような学際的考察を試みる学問のあり方を追求していきます。

 

学際コース各領域のイメージ





学際コーストップ

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