ハンギョレ】性暴行の被害にあうお婆さんが増加 [08/8/14]

 4年間で倍増…周囲は放置で「心痛」

 「周りの人々に知られることが一番恐ろしい」

 性暴行の被害にあうお婆さんが増えている

 ソウル銅雀(トンジャク)区に住む朴さん(66・女)は、今年2月末、町内のスーパーマーケット職員の李さん(47)に性暴行された。酒に酔った李さんに対して「蜂蜜水を飲んで行きなさい」と家に入れたのが災いの元だった。朴さんは「ただ忘れたい」「もう思い出したくない」と言った。(中略)

 性暴行の被害にあう60代以上のお婆さんたちが増えているが、政府や社会の注目を引くことがないまま放置されている。最高検察庁の犯罪分析資料を見れば、61歳以上女性のrape被害件数は、2003年の96件(1.4%)から2006年の217件(1.8%)へと、4年間で倍増した。性犯罪申告に対する認識と環境などが改善したこともあるが、他の年齢層に比べても高い増加率を見せた。実際、年寄りの性暴行被害件数は、性犯罪申告率が低い点などを考慮すれば、調査数値より更に多いことが予想される。

 専門家たちは、何よりも「まさか年寄りに性暴行を…」という偏見が問題と指摘する。お婆さんは児童や障害女性のように自身の保護能力が低く、いつでも性暴行にあう危険に置かれているというのだ。

 李韓国性暴行相談所所長は、「性暴行は全年齢の全ての女性が被害にあうことがありうる」「年寄りや障害女性など、脆弱な階層で起こった事件がちゃんと見えないだけだ」と言った。

 お婆さんたちは性暴行の被害にあっても積極的に対処しにくい。羞恥心と自責感が強く、事件による後遺症が大きいからだ。

 去る4月に性暴行の被害にあった催さん(64)は、「周りの人々がこの事を知ることが一番恐ろしかった」「20年以上住んだ町内で後ろ指を指されないか恐ろしくて、誰にも話すことができず、胸が痛いばかりだった」と言った。加害者たちが主に周辺に住む近くの人であることも積極的な対処を難しくする。去年の秋に、「普段弟のように大事にした人」に性暴行された金さん(64・女)は、「常に顔を合わさなければならないのに、『私が婆さんを相手にするか』と大口を叩く加害者を見て、何が起こるか分からなくてためらった」と言った。

 積極的に問題を解決しようとしても適切な方法が分からない場合が多い。年寄りの性暴行被害に対する統計資料もほとんどない状況で、政府次元の予防対策の用意や被害者支援は期待しにくい。はなはだしくは、性暴行相談所の存在さえ知らないお婆さんたちが少なくない。ソン女性部代弁人は、「性暴行被害女性の支援プログラムはあるが、特別に年齢を特化して運営していない」「(お婆さん性暴行に対して) まだ特別に用意したことはない」と言った。