あまりにも庶民感覚からかけ離れた議員特権。全国1840市区町村と47都道府県の中から、栄えある「ワースト大賞」に東京都議会が選ばれたことは、JanJan(10日付け)や新聞・テレビで報道された。
「議員特権ワーストコンテスト」を主催した「なくそう議員特権キャンペーン2007」の代表が14日、東京都議会を訪れ、川島忠一議長宛に表彰状と副賞の掛け軸を贈呈した。
東京都が「ワースト大賞」に輝いた理由は―
・議員1人につき月額60万円(全国自治体で最高額)、領収書要らずの政務調査費・議員表彰に太田道灌ブロンズ像(9万円相当)、肖像画(65万円〜90万円相当)などの議員特権が全国的にも抜きん出ていたためだ。
政務調査費は年間で720万円にも上るが、普通のサラリーマンの年収のはるか上を行く。議員報酬(給料)のうえにこの720万円、それも領収書要らずが加わるのだ。すべて都民の税金で賄われる。
東京都議会の川島忠一議長は、あいにく時間の調整がつかなかった為、14日の贈呈式には議会局管理部の須田敏秘書課長が対応した(写真)。須田秘書課長は困惑した表情で「(ワースト大賞の表彰状と掛け軸を)受け取ったら議長に怒られるかな〜」と心細げに語るのだった。
役所の職員は議員に弱い。議長ともなればなおさらだ。議会の秘書課長といえどもレッキとした公務員である。「議員特権についてのワースト大賞」を受け取れと言われても困ることは確かだ。
ちなみに須田秘書課長はワタシがフリージャーナリストだと分かると、ポケットの中でクチャクチャになった名刺を差し出した。その一方で「なくそう議員特権……」の代表らにはきれいな名刺を渡した。30年近く記者をやってきたが、名刺交換でこんな“仕打ち”を受けたのは初めてだ。
東京都議会を訪れて驚いたのはその豪華絢爛さだ。廊下の壁、柱まで大理石で作られている。床には分厚い絨毯。ワタシは捻挫しそうになった。途上国の王宮よりもはるかに贅沢だ。一体どんな雲上人が住んでいるのだろうか。これでは議員も事務方も都庁詰めの記者も、特権意識を知らず知らずのうちに抱くようになっても仕方あるまい。
議員特権のあきれた実態がテレビのワイドショーなどで報道され始めた(議会詰めの記者が担当するストレート・ニュースでは取り上げない)。統一地方選挙を前に議員特権を返上する地方議会がチラホラ出始めているが、ほんの数えるほどだ。全国には1840市区町村と47都道府県に議会がある。
議員さんたちはお手盛りで自らに都合の良い条例を作ってきた。特権を易々と手放すはずがない。「百年河清、いや千年、いや1億年を待つ」。議員特権の廃止は難しそうだ。
(竹谷昇)
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ワースト大賞の掛け軸を受け取る東京都議会の須田秘書課長(後姿。都議会・議長応接室で。写真:3枚とも竹谷撮影)
ワースト大賞の表彰(拡大版)。14日は普通のサイズの表彰状が贈呈された。
柱、廊下の壁まで大理石。分厚い絨毯。御殿でも王宮でもない。(東京都議会廊下)
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